アトピー性皮膚炎の難治性皮膚病変の病態解析と病態に基づいたピンポイントな新規治療の開発  

文献情報

文献番号
201322022A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎の難治性皮膚病変の病態解析と病態に基づいたピンポイントな新規治療の開発  
課題番号
H24-難治等(免)-一般-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
横関 博雄(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 )
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 貴浩(防衛医科大学校   皮膚科)
  • 片山 一朗(大阪大学大学院 皮膚科)
  • 戸倉 新樹(浜松医科大学    皮膚)
  • 烏山 一(東京医科歯科大学  免疫アレルギー分野)
  • 安東 嗣修(富山大学大学院 応用薬理学)
  • 椛島 健治(京都大学 医学研究科 皮膚科)
  • 室田 浩之(大阪大学 大学院皮膚科)
  • 金田 安史(大阪大学 大学院医学系研究科 遺伝子治療学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
12,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は重症型アトピー性皮膚炎(AD)における難治性皮膚病変(痒疹、紅皮症、顔面紅斑)などの発症頻度及びアトピー性皮膚病変の難治性皮膚病変の診療ガイドラインを作成して適切な標準的治療法の確立を目指している。
研究方法
1)外因性•内因性アトピー性皮膚炎(AD)における臨床症状、かゆみ関連因子の比較検討2)内因性AD(31名)と外因性AD(55名)の2群に分別した。3)痒疹モデルの作成4)IgE-CAIにおける好酸球の機能解析5)ADでみられる痒み過敏選択的な治療戦略の確立6)ADマウスモデルの自発的痒み関連動作への皮膚好塩基球の関与7)フィラグリン遺伝子に変異を有するflaky tailマウスの解析8)生体皮膚への機能性高分子導入法の開発に関する研究9)iPS細胞を用いたフィラグリン遺伝子の役割解析
結果と考察
結果
1)結節性痒疹、顔面紅斑、紅皮症、脱毛などが外因性ADに多く、手湿疹、亜急性痒疹が内因性ADに多いことが明らかになった。2)内因性AD患者は、外因性ADよりいずれの金属に関してもパッチテスト陽性率は高いが、特にNiとCoに関して、内因性ADのほうが有意差をもって陽性率が高かった。3)TNP-OVAを耳介皮内に反復投与したSTAT6欠損マウスでは、耳介腫脹はWTマウスに比べて著明に増悪していた。さらに、WTマウスの耳介にSTAT6 siRNAを投与すると、耳介腫脹はscramble siRNAに比べて増悪した。4)ΔdblGATAマウスでは、IgE-CAIにおける耳介腫脹が2/3程度に減弱し、皮膚に浸潤する好塩基球数が正常マウス1/3-1/2と減少していた。5)アーテミンがヒトのアトピー性皮膚炎の皮膚病変部真皮に蓄積していることが確認された。6)健常NCマウスと比べて、AD誘発NCマウスでは,明らかな皮膚炎及び自発的掻き動作が誘発した。7)IL-17A欠損flaky tailマウスは、flaky tailマウスと比較して、皮膚炎の軽減や血清中のIgE産生の低下を認めた。8)HVJ-Eのみを樹状細胞やマウス脾臓細胞に加えてもIFN-γの産生はほとんど認められなかった。9) ヒトiPS細胞において、K14遺伝子の下流にeGFP遺伝子をノックインすることに成功した。また、ヒトフィラグリン遺伝子を切断するTALENsを作製した。
考察
内因性ADの発症機序の一つの可能性として、摂取された金属が汗を通じて経皮的に排泄され、正常な表皮バリアをも通過することで、金属アレルギーを発症し、皮疹が生じていると推測した。痒疹様反応はTh2優位であるが、STAT6シグナルは抑制的に作用していることが示された。アトピー性皮膚炎では皮膚局所におけるアーテミンの蓄積がなんらかの形で中枢神経を増感させることによって痒みが誘導されるのではないかと考えられた。アーテミンはアトピー性皮膚炎の痒みの治療標的になりうると考えられた。また、AD誘発NCマウスでは掻くことのできる皮膚炎発症部位において,好塩基球の増加が認められた。好塩基球から遊離されるmMCP-11がアトピー性皮膚炎の痒みの誘発に関与している可能性が示唆される。IL-17Aはマウスアトピー性皮膚炎モデルにおいて、病変部および所属リンパ節においてTh2促進的に作用することが示された。HVJ-Eと一本鎖IL12蛋白質の併用により脾臓細胞や樹状細胞からのIFN-γ産生が、各々を単独で用いる時よりもはるかに強く増強されることが明らかになった。iPS細胞を用いた3次元表皮シートモデルにより遺伝子変が表皮全体の構築、サイトカインなどにどのような影響を与えるか明らかにできる。
結論
本研究により、フィラグリン遺伝子変異が与える影響を検討するシステムの構築が完了した。今後、分化誘導して得られた表皮角化細胞において、フィラグリン遺伝子変異の有無のみが違う状況の比較検討をすることにより、アトピー性皮膚炎においてフィラグリン遺伝子変異が存在することの意味合いについて、これまでと違った面よりアプローチができると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2014-07-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
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分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2014-07-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201322022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
16,500,000円
(2)補助金確定額
16,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,432,652円
人件費・謝金 673,634円
旅費 766,092円
その他 813,282円
間接経費 3,807,000円
合計 16,492,660円

備考

備考
見積額と請求額に差が有り、計算より経費がかからずにすんでしまったため。

公開日・更新日

公開日
2014-06-02
更新日
-