本邦関節リウマチ患者の疾患活動性・身体障害度・有害事象・医療費用の推移を明らかにするための多施設共同疫学研究

文献情報

文献番号
201322002A
報告書区分
総括
研究課題名
本邦関節リウマチ患者の疾患活動性・身体障害度・有害事象・医療費用の推移を明らかにするための多施設共同疫学研究
課題番号
H23-免疫-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 末永康夫(別府医療センター リウマチ科)
  • 金子敦史(名古屋医療センター 整形外科)
  • 松井利浩(相模原病院 リウマチ科)
  • 佐伯行彦(大阪南医療センター 臨床研究部)
  • 税所幸一郎(都城病院 整形外科)
  • 吉永泰彦(倉敷成人病センター リウマチ膠原病センター)
  • 森 俊仁(相模原病院 手術部)
  • 杉井章二(多摩総合医療センター リウマチ膠原病科)
  • 西野仁樹(西野整形外科・リウマチ科)
  • 古川 宏( 相模原病院 臨床研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
9,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦における関節リウマチ(RA)の有病率はおよそ0.4から0.5%と考えられており、約60から70万人のRA患者がいると推計されている。病因は不明のままであり根治療法は存在しない。そして多発性関節破壊により身体障害は進行し、QOLを低下させ、労働力低下を招いている難治性疾患である。しかしながら近年の薬物療法にみられる進歩はRA患者の予後を改善させている。すなわち、病態形成因子について解明が進められ、それらの知見に基づく生物学的製剤など新規RA治療薬の開発およびその臨床応用は、RA治療を劇的に変化させている。そのような状況で本邦におけるRA患者の現状はどのように変化しているのであろうか? 本研究計画の目的は現状の経年的把握にある。
研究方法
本研究は多施設共同で行われる関節リウマチ(RA)データベース作成事業であり、情報収集システムの拡充と改良および収集項目の検討を行った後、多数施設からの患者情報入力作業と統計学的解析をすすめていくものである。情報の収集はWEBによるEDCを用いた。
結果と考察
2002年度以降の現状を経年的に明らかにすることができた。登録患者数も漸増を続け、2013年度には約12000人のデータを収集することができた。標準薬とされるメトトレキサート投与頻度や投与量の増加や生物学的製剤等新規薬剤の投与頻度増加とともに疾患活動性・身体機能の改善、のみならず有害事象の減少傾向などが初めて観測され始めた。医療費用の増加という医学以外の問題点も明らかとなってはいるが、本邦におけるRA診療は望ましい方向へ向かってきていることが検証されつつある。
結論
2002年度から開始継続されている本疫学研究も10年を超えた。この間、全国規模の多施設共同RAデータベース(NinJa)が途切れることなく構築されてきたこと自体が、まずは大きな成果であると言えよう。このデータベースは本邦におけるRA患者の現状を全国レベルで把握することができる唯一のデータベースである。すなわち1)多施設共同研究であり、2)登録情報が近年10000患者を超えている、さらには3)参加を希望する施設が増加しているという現状が担保しているものと感謝している。単年度に関する解析は1年以内に解析・報告するようにしているが、n数のおかげで短期間ながら質の高いものとなっているはずである。新規治療法が今後続々と導入される現在、本データベースは継続的に蓄積されていくべきものであり、本邦におけるRA実状の把握、治療法検証、及び有害事象の測定に極めて有用性の高いデータベースである。

公開日・更新日

公開日
2014-07-28
更新日
-

文献情報

文献番号
201322002B
報告書区分
総合
研究課題名
本邦関節リウマチ患者の疾患活動性・身体障害度・有害事象・医療費用の推移を明らかにするための多施設共同疫学研究
課題番号
H23-免疫-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 末永康夫(別府医療センター リウマチ科)
  • 金子敦史(名古屋医療センター 整形外科)
  • 松井利浩(相模原病院 リウマチ科)
  • 佐伯行彦(大阪南医療センター 臨床研究部)
  • 税所幸一郎(都城病院 整形外科)
  • 吉永泰彦(倉敷成人病センター リウマチ膠原病センター)
  • 森 俊仁(相模原病院 手術部)
  • 杉井章二(多摩総合医療センター リウマチ膠原病科)
  • 西野仁樹(西野整形外科・リウマチ科)
  • 古川 宏( 相模原病院 臨床研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦における関節リウマチ(RA)の有病率はおよそ0.4から0.5%と考えられており、約60から70万人のRA患者がいると推計されている。病因は不明のままであり根治療法は存在しない。そして多発性関節破壊により身体障害は進行し、QOLを低下させ、労働力低下を招いている難治性疾患である。しかしながら近年の薬物療法にみられる進歩はRA患者の予後を改善させている。すなわち、病態形成因子について解明が進められ、それらの知見に基づく生物学的製剤など新規RA治療薬の開発およびその臨床応用は、RA治療を劇的に変化させている。そのような状況で本邦におけるRA患者の現状はどのように変化しているのであろうか? 本研究計画の目的は現状の経年的把握にある。
研究方法
本研究は多施設共同で行われる関節リウマチ(RA)データベース作成事業であり、情報収集システムの拡充と改良および収集項目の検討を行った後、多数施設からの患者情報入力作業と統計学的解析をすすめていくものである。情報の収集はWEBによるEDCを用いた。
結果と考察
2002年度以降の現状を経年的に明らかにすることができた。登録患者数も漸増を続け、2013年度には約12000人のデータを収集することができた。標準薬とされるメトトレキサート投与頻度や投与量の増加や生物学的製剤等新規薬剤の投与頻度増加とともに疾患活動性・身体機能の改善、のみならず有害事象の減少傾向などが初めて観測され始めた。医療費用の増加という医学以外の問題点も明らかとなってはいるが、本邦におけるRA診療は望ましい方向へ向かってきていることが検証されつつある
結論
2002年度から開始継続されている本疫学研究も10年を超えた。この間、全国規模の多施設共同RAデータベース(NinJa)が途切れることなく構築されてきたこと自体が、まずは大きな成果であると言えよう。このデータベースは本邦におけるRA患者の現状を全国レベルで把握することができる唯一のデータベースである。すなわち1)多施設共同研究であり、2)登録情報が近年10000患者を超えている、さらには3)参加を希望する施設が増加しているという現状が担保しているものと感謝している。単年度に関する解析は1年以内に解析・報告するようにしているが、n数のおかげで短期間ながら質の高いものとなっているはずである。新規治療法が今後続々と導入される現在、本データベースは継続的に蓄積されていくべきものであり、本邦におけるRA実状の把握、治療法検証、及び有害事象の測定に極めて有用性の高いデータベースである。

公開日・更新日

公開日
2014-07-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201322002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
メトトレキサートによる薬剤性間質性肺炎、あるいはブシラミンによる尿蛋白に関与する遺伝因子を抽出した意義は大きい。これらの抗リウマチ薬による有害事象発生頻度を低減させる可能性があるからである。本ネットワークを用いて、種々の抗リウマチ薬による有害事象に関連する遺伝素因を探索する予定である。
臨床的観点からの成果
標準薬であるメトトレキサートの用法用量見直しや生物学的製剤など新規薬剤の登場など治療選択肢の広がりが関節リウマチの治療効果および予後を改善していることが明らかとなったことは、治療方針の選択に際して医師・患者相互の理解および意思決定の強力な参考資料となり得る。
ガイドライン等の開発
現在までのところガイドラインの作成には寄与していない。しかしながら、本邦における関節リウマチ診療の現状および問題点に関する経年的変化を十分なパワーで観測できていることから、ガイドライン作成に際して、その根拠(治療効果や有害事象の傾向)としての言及に耐えうる情報であると考えている。
その他行政的観点からの成果
関節リウマチの治療において、最も重要な抗リウマチ薬の使用頻度および使用量を正確に把握している本研究は、関節リウマチ診療の根幹に関連する医療費を算出している。そして高い効果が高価な薬剤によりもたらされていることを明らかにしている。このことは今後政策医療において、他疾患治療も含めて医薬品薬価のより適正な設定に寄与するものと考えている。
その他のインパクト
別記、論文や学会発表以外にはない。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
53件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
50件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yoshida K, Kishimoto M, Tohma S,et al.
1. Biologic discontinuation studies: a systematic review of methods; authors' response to van der Maas et al.
Ann Rheum Dis.  (2013)
原著論文2
Yoshida K, Kishimoto M, Tohma S,et al.
2. Biologic discontinuation studies: a systematic review of methods.
Ann Rheum Dis.  (2013)
原著論文3
Saeki Y, Matsui T, Saisho K, Tohma S.
3. Current treatments of rheumatoid arthritis: from the 'NinJa' registry.
Expert Rev Clin Immunol.  (2012)
原著論文4
Kanazawa T, Nishino J, Tohma S, Tanaka S.
4. Analysis of the affected joints in rheumatoid arthritis patients in a large Japanese cohort.
Mod Rheumatol.  (2012)
原著論文5
Saeki Y, Kudo-Tanaka E, Ohshima S, Tohma S,et al.
5. Baseline anti-citrullinated peptide antibody (ACPA) titers and serum interleukin-6 (IL-6) levels possibly predict progression of bone destruction in early stages of rheumatoid arthritis (ERA).
Rheumatol Int.  (2012)
原著論文6
Furukawa H, Oka Tohma S,et al.S,
6. HLA-A*31:01 and methotrexate-induced interstitial lung disease in Japanese rheumatoid arthritis patients: a multidrug hypersensitivity marker?
Ann Rheum Dis.  (2012)
原著論文7
Matsui T, Kuga Y, Nishino J,Tohma S,et al.
7. Comparison of composite disease activity indices for rheumatoid arthritis.
Mod Rheumatol.  (2012)

公開日・更新日

公開日
2014-06-20
更新日
2019-07-23

収支報告書

文献番号
201322002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
37,570,000円
(2)補助金確定額
37,572,635円
差引額 [(1)-(2)]
-2,635円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,764,619円
人件費・謝金 20,517,671円
旅費 595,608円
その他 1,024,737円
間接経費 8,670,000円
合計 37,572,635円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2014-06-18
更新日
-