多剤耐性結核に対する新規治療用DNAワクチンの開発・実用化に関する研究

文献情報

文献番号
201318076A
報告書区分
総括
研究課題名
多剤耐性結核に対する新規治療用DNAワクチンの開発・実用化に関する研究
課題番号
H25-新興-一般-016
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 全司(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中島俊洋(ジェノミディア株式会社)
  • 金田安史(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 井上義一(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター )
  • 露口一成(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター )
  • 朝野和典(大阪大学医学部附属病院感染制御部)
  • 庄司俊輔(国立病院機構東京病院)
  • 齋藤武文(国立病院機構茨城東病院)
  • 三上礼子(東海大学医学部)
  • 松本智成(大阪府結核予防会大阪病院)
  • 熊ノ郷淳(大阪大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
46,155,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.結核は世界の三大感染症で、アジアに多い多剤耐性結核は、有効な治療法がなく、莫大な医療費など社会への影響大。世界で毎年約50万人発症。HVJ-エンベロープ(E)/HSP65 DNA+IL-12 DNAワクチン治療が実用化されるとそのインパクトは非常に大きい。BCGに代わる新ワクチンの臨床開発は欧米でも成功していない。BCGは、多剤耐性結核予防・治療には無効であり、新規多剤耐性結核治療ワクチン開発が切望されている。
2.ヒトの結核感染に最も近いカニクイザルで本ワクチンは有効性が示されており、今後first in humanの臨床治験に進む必要がある。
3.国内患者数が約200人/年と少なく、企業治験が進まないため、公費の医師主導治験で開発する必要性
4.国内ではワクチンの新規技術であるDNAワクチン開発が遅れている。2013年米国で開発されたDNAワクチンの国内治験が開始されたが後期治験からで、国内開発に必要なガイドライン策定には純国産品でのfirst in human治験実施の必要性。
研究方法
1.研究代表者は、本ワクチン(HVJ-E/HSP65 DNA + IL-12 DNA)の有効性を、世界に先駆けてヒト結核感染に最も近いカニクイザルで明らかにした。残された課題は臨床で安全性と多剤耐性結核に対する治療効果を明らかにする事である。そのため、国立病院機構(NHO)で多剤耐性結核に対する医師主導治験(第Ⅰ相)を実施し、本ワクチンの薬事法に基づく承認取得を目指す。
2.この新しい結核ワクチンの効果と毒性・安全性の前臨床試験(マウス・サルですでに結核治療効果)
3.世界に先駆け、DNAワクチンガイドラインを策定する。
4.first in humanの臨床治験を計画実施する。
5.患者基礎データとして、NHOで加療を行った多剤耐性結核患者のプロフィールや治療内容を把握。
結果と考察
Ⅰ. ワクチンのGMP製造
1.ICQ/Q5Dガイドラインに従い治験薬製造用の本ワクチン(pVAX/HSP65 DNA+ヒトIL-12 DNA)のマスターセルバンク(MCB)を分担研究者中島と共にAMBiS社で作製(中島・岡田)
2.これを元に、GMPレベルの本ワクチンを100mg作製(1バッチ)。これを用いて本ワクチンのサル安全性試験の計画を立案中。(岡田・中島)
3.作製された上記本ワクチンの品質規格を評価。ICHのQ5B・Q5Dガイドライン準拠の特性解析、品質試験。(中島)
Ⅱ. 用法用量設定
1.pVAX/HSP65 DNA+マウスIL-12 DNAを作製(70mg)(岡田)
2.マウスでこのワクチンの平成26年度信頼性基準適合用試験のための用法用量試験の予備試験を実施中。
3.用量検討(DNAワクチン投与量検討) マウスにワクチンを25μg~280μg投与し、4~6w後の脾細胞を抗原Hsp65蛋白でin vitro刺激しIFN-γ、IL-2、IL-6、TNFα(T細胞免疫能)産生をELISAで解析中。DNA量が25μgでもIFN-γ産生を増強しワクチン効果確認。(岡田・井上・露口・中島・朝野・熊ノ郷)
4.用法検討(DNAワクチン投与回数検討)
Ⅲ. GLP毒性試験・安全性試験
GLP毒性試験・安全性試験:サルを用いて試験項目、試験デザインを計画(中島、岡田、井上)。
Ⅳ. HVJ-Eのアジュバント効果
マウスへの投与実験により、HVJ-Eを連続投与しても遺伝子発現の抑制は見られず、連続投与が可能。(金田)
Ⅴ. PMDA対面助言
PMDA対面助言を計画中。①中島、井上、岡田が打合せ(会議:当臨床研究センター)2013年10月21日 ②三上、井上、岡田が打合せ(会議:当臨床研究センター)2013年10月22日
Ⅵ. 多剤耐性結核患者の調査と医師主導治験に向けての計画
1.多剤耐性結核患者の調査 ①近畿中央:7年間55例MDR-TBのうち20例XDR-TB(露口、松本)。 ②東京病院:10年間に40名MDR-TB、死亡者多い(庄司)。 ③茨城東病院:多剤耐性結核の誘因は不規則治療が原因。12年間に10例(齋藤)。
2.医師主導治験に向けて大阪大学医学部治験管理センター組織化(大阪大を中心)(朝野、熊ノ郷、金田)
3.近畿中央胸部疾患センターで入院加療を行った多剤耐性結核の治療成功率は70.9%で感受性結核に比べて不良であり、超多剤耐性結核では45%とさらに不良であった。
結論
1.本ワクチン(HVJ-E/HSP65DNA+IL-12DNA)のGMP製造
2.マウスを用いて本ワクチンの用法用量試験の予備試験
3.GLP毒性試験・安全性試験の計画
4.HVJ-Eのアジュバント効果
5.PMDA対面助言への計画
6.多剤耐性結核患者の調査と医師主導治験に向けての計画

公開日・更新日

公開日
2015-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201318076Z