麻疹ならびに風疹排除およびその維持を科学的にサポートするための実験室検査に関する研究

文献情報

文献番号
201318046A
報告書区分
総括
研究課題名
麻疹ならびに風疹排除およびその維持を科学的にサポートするための実験室検査に関する研究
課題番号
H25-新興-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
竹田 誠(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
研究分担者(所属機関)
  • 駒瀬 勝啓(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 森 嘉生(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 木所 稔(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 木村博一(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 小沢邦寿(群馬県衛生環境研究所)
  • 調 恒明(山口県環境保健センター)
  • 加瀬哲男(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 庵原俊昭(国立病院機構三重病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
25,713,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
麻しんに関する特定感染症予防指針が改正され、平成27年度までに麻しん排除を達成しWHOの認定を受けるという目標が掲げられた。そのためには、サーベイランスの質の高さを証明しうる優れた実験室診断技術とその体制が必要である。一方、昨年度以来、風疹の大きな流行がみられ、多数の先天性風疹症候群(CRS)の出生が報告された。平成26年4月に新たに「風しんに関する特定感染症予防指針」が適用され、風疹の予防対策、サーベイランスが強化される予定である。本研究班の主な目的は、地方衛生研究所や国立感染症研究所に輸送された臨床検体の実験室検査に関して、実用性を重視しつつも、麻疹風疹実験室診断の技術を最高水準にまで高めることである。
研究方法
本年度は、麻疹と風疹のリアルタイムPCR法の導入に関する研究、麻疹ウイルスと風疹ウイルスの分子疫学的解析、自治体における麻疹と風疹の排除に関する公衆衛生学的データの解析、麻疹と風疹IgM測定に関する研究などを実施した。
結果と考察
クロスコンタミネーションのリスクを低減し、且つ利便性の観点からリアルタイムPCR法の導入は不可欠と考えられる。麻疹と風疹のリアルタイムPCR法が開発された。感度においては、従来のRT-nested PCR法より低いことが示された。今後、試験結果をどのように実験室診断の判定に利用していくのかについて検討が重要である。一方、これまでのIgM ELISAキットによる麻疹の偽陽性が問題視されていたが、開発された改良キットでは、他の発疹性疾患との非特異的反応がほとんど出ないことが示された。ウイルスの分子疫学的解析から、麻疹は依然として排除(あるいは排除に近い状態)が続いていると考えられたが、風疹ウイルスは、複数の株が継続して流行していると考えられた。
結論
世界では、2020年までにWHOが区分する世界の6つの地域のうちの5つの地域で、麻疹ならびに風疹(CRS含む)を排除することを目標に掲げている。国立感染症研究所と地方衛生研究所との連携をさらに進めてわが国の麻疹風疹対策、特に実験室サーベイランス機能を高め、わが国の感染症対策に資するのみならず、世界の麻疹風疹対策のリーダーシップと取っていくことを今後も目指していく。

公開日・更新日

公開日
2015-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201318046Z