統合的遺伝子解析システムを用いたヒト発達障害研究

文献情報

文献番号
201317086A
報告書区分
総括
研究課題名
統合的遺伝子解析システムを用いたヒト発達障害研究
課題番号
H25-神経-筋-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
松本 直通(横浜市立大学 医学研究科 環境分子医科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 伸彦(大阪府立母子保健総合医療センター 遺伝診療科)
  • 加藤 光広(山形大学医学部発達生体防御学講座 小児医科学分野)
  • 小坂 仁(自治医科大学小児科学講座・小児科学)
  • 橋本 亮太(大阪大学大学院大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科附属子どものこころの分子統御機構研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
25,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本申請研究は、申請者が研究代表を務めたH22-24年度障害者対策総合研究事業の発展研究として平成25年度から開始し、点変異と遺伝子の構造異常の両方を効率的・安価に検出する新たな統合的遺伝子解析システムを用いて、ヒト発達障害関連の遺伝子異常を効果的に同定し、診断システムを確立することを目指す。
研究方法
1.症例集積:小児神経臨床研究ネットワーク等を通じて全国の小児神経科医から年齢依存性てんかんとその類縁疾患を、臨床遺伝ネットワーク等を通じて集積した知的障害関連疾患を集積する。
2. 統合的遺伝子解析システム開発:大田原症候群を含む年齢依存性てんかん群では、ARX・STXBP1を含むてんかん関連遺伝子35個とさらに15個を加えた50個の2種のパネルを、Coffin-Siris症候群で変異を認めたSWI/SNF複合体の関連遺伝子22個を含む候補遺伝子パネルをデザインし、ゲノムDNAを分画、卓上型次世代シーケンス(NGS)で解析を行う。
3. インフォーマティクス解析:NGS解析で既に全エクソン解析において研究室内で確立した解析フローを統合遺伝子解析システムにも応用する。NGSデータは、研究室独自のインフォーマティクスフローにより効率的な点変異の検出が可能で、かつCNVに関してはAlex NORDプログラムを用いる。
4.バックアップシステム:従来型の超細密マイクロアレーと全エクソーム解析・全ゲノム解析による網羅的なゲノム解析手法を遺伝子統合解析システムでの陰性例に適宜用いて新規遺伝子異常とコピー数異常を同定する。特にH25年度はXHMMプログラムによる全エクソームデータでCNV検出システムの確立を進めた。
5.効果的遺伝子診断システムの確立:本研究の知見に基づく迅速、効果的かつ安価な疾患遺伝子診断システムを考案する。
本研究は、所属施設IRBの承認を受け適切な倫理的配慮と手続きを得て行われた。
結果と考察
1.症例集積:小児神経臨床研究ネットワーク等を通じて全国の小児神経科医から年齢依存性てんかんとその類縁疾患を含めた計720例と臨床遺伝ネットワーク等を通じて集積した知的障害関連疾患を1500例が集積した。
2. 統合的遺伝子解析システム開発:大田原症候群を含む年齢依存性てんかん群では、ARX・STXBP1を含むてんかん関連遺伝子35個とさらに15個を加えた50個の2種のパネルを、Coffin-Siris症候群で変異を認めたSWI/SNF複合体の関連遺伝子22個を含む候補遺伝子パネルをデザインし、ゲノムDNAを分画、卓上型次世代シーケンス(NGS)で解析を進めた。
3. インフォーマティクス解析:NGS解析で既に全エクソン解析において研究室内で確立した解析フローを統合遺伝子解析システムにも応用する。NGSデータは、研究室独自のインフォーマティクスフローにより効率的な点変異の検出が可能で、かつAlex NORDプログラムを用いると非常に小さな(100 bp程度)欠失まで検出することが可能であった。
4.バックアップシステム:従来型の超細密マイクロアレーと全エクソーム解析・全ゲノム解析による網羅的なゲノム解析手法を遺伝子統合解析システムでの陰性例に適宜用いて新規遺伝子異常とコピー数異常を同定する。特にH25年度はXHMMプログラムによる全エクソームデータでCNV検出システムの確立を進めた。現状で高密度マイクロアレーで検出可能なCNVの約60%を検出することが可能であった。
5.効果的遺伝子診断システムの確立:本研究の知見に基づく迅速、効果的かつ安価な疾患遺伝子診断システムを考案していく。
結論
遺伝子パネルで変異が検出できない場合、全エクソーム解析を再試行するが、遺伝子パネル+全エクソームの系と最初から全エクソームの系における価格的な比較を行い、遺伝子パネル/全エクソームのコスト比が、遺伝子陽性率を上回らない限り全エクソーム解析を最初から行う方が安価であるという結論に至った。解析スピードも併せて考えると全エクソーム解析を第一選択とするメリットが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317086Z