非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の前駆期-先行感染症期の病態解明による障害防止研究

文献情報

文献番号
201317080A
報告書区分
総括
研究課題名
非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の前駆期-先行感染症期の病態解明による障害防止研究
課題番号
H24-神経-筋-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 幸利(独立行政法人国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 森 寿(富山大学大学院医学薬学研究部、分子神経科学)
  • 西田 拓司(独立行政法人国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,175,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
非ヘルペス性急性辺縁系脳炎(NHALE)では記憶の障害が高頻度に残り、日常生活の支障が大きい。NHALEの前駆期-先行症状期の病態解明を行い、先行症状出現時点でのNHALE発病予防、早期診断治療を可能にしたい。
研究方法
1.NHALE症例の前駆期保存検体を用いた前駆期自己免疫状況の検討(2012-14年度)
2.Passive transferマウスモデルを用いた前駆期自己免疫状況の検討(2013-14年度)
3.正常対照の年齢・性別血清GluN2B-NT2抗体の自然経過と抗体高値対照例の検討(2014年度)
4.免疫調節遺伝子のゲノム解析(2012-14年度)
5.NHALE先行症状期に無菌性髄膜炎を呈した症例の髄液所見の検討(2014年度)
6.Passive transferマウスモデルを用いた先行症状期自己免疫状況の検討(2014年度)
7.抗神経抗体の測定法開発(2012-14年度)
結果と考察
【前駆期-正常対照の抗体値研究】0-20歳の非炎症性の病因のてんかん症例(55例)と、静岡てんかん・神経医療センター職員(74例)の血清を用いて、正常対照のグルタミン酸受容体(GluR)抗体(抗原:GluN2B-NT2, GluN1-NT, GluD2-NT)を検討した。20-40歳の女性の中に、回帰曲線からかなり外れた高い値をとる群が存在し、NMDA型GluR抗体が高い前駆期症例の存在を示唆した。
【先行症状期-一般検査値研究】非傍腫瘍性NHALE42例、てんかん患者で感染症状を呈した年齢・性を合わせた感染症対照42例、年齢・性を合わせた感染のないてんかん小児と健康成人対照42例について、一般臨床検査値を比較検討した。非傍腫瘍性NHALEのリンパ球数は感染症対照(p<0.01)、対照(p<0.01)に比べて有意に低値で、発病日に向けて低下する傾向を認めた。血小板数は感染対照(p<0.05)や対照(p<0.01)より有意に低値であった。CRPは、発病日に向けて増加する傾向を認め、対照(p<0.02)より有意に高値であったが、感染症対照(p<0.01)より有意に低かった。IgAは感染症対照(p<0.03)や対照(p<0.01)より有意に高値であった。
結論
NHALE患者には、発病のかなり前からNMDA型GluR抗体が存在し、前駆期として軽度の精神神経症状を呈する例がある。先行症状期にはリンパ球・血小板が減少することが明らかとなり、リンパ球・血小板に発現するNMDA型GluRが抗原として抗体をブースターし、発病に至る可能性がある。NHALE発病期の病態はNMDA型GluR抗体のみでは説明できず、granzymeB、補体などの複数の因子が関与していると考える。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317080Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,480,000円
(2)補助金確定額
6,480,417円
差引額 [(1)-(2)]
-417円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,987,753円
人件費・謝金 0円
旅費 96,940円
その他 4,090,724円
間接経費 305,000円
合計 6,480,417円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-