文献情報
文献番号
201317070A
報告書区分
総括
研究課題名
精神疾患の有病率等に関する大規模疫学調査研究:世界精神保健日本調査セカンド
課題番号
H25-精神-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
川上 憲人(東京大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 立森久照(独立行政法人精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
- 竹島 正(独立行政法人精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、①第1回「こころの健康についての疫学調査」(世界精神保健日本調査ファースト)から10年が経過した2010年代半ばにおけるわが国の地域住民の精神疾患の頻度、受診行動、関連要因、社会生活・自殺行動などへの影響を日本の代表サンプルにおいて明らかにすること、②統合国際診断面接法(CIDI)3.0による双極性障害と物質関連障害の診断評価の妥当性を明らかにすること、③精神疾患の疫学研究に関する国際共同研究およびその行政施策への応用についての国際会議を開催しその成果をまとめることである。
研究方法
①本年度は関東1都6県の20歳以上75歳未満男女1,900人を対象に面接調査を行った。長期不在、死亡・病気・入院などを除いた1750人を母数とした面接調査の回答率は30.0%であった。②双極性障害および物質関連障害を有する患者とこれを有しない者に対してCIDIおよびSCIDを実施し、CIDIによる診断の妥当性検討を行うための準備を進めた。③WPA(世界精神医学会)疫学・公衆衛生セクションミーティング(2014年10月15-18日、奈良)に海外研究者、精神保健疫学に関心をもつ国内研究者等を招へいし、精神疾患の疫学研究に関する国際共同研究およびその行政施策への応用についての国際会議を開催するために準備を行った。
結果と考察
①DSM-IV-TR大うつ病性障害、社会恐怖(社会不安障害)の有病率はファースト調査より増加していた。精神疾患を経験した者の受診率はファースト調査とくらべて増加していた。特に大うつ病性障害ではファースト調査の受診率の2倍以上となっていた。過去12ヶ月間に本気で自殺を考えた者は全回答者の1.2%であり、ファースト調査と同じであった。②倫理的な手続き,調査に用いる調査票の作成,面接調査員のトレーニングを完了した。調査のフィージビリティを検討した。③WPASEPH2014の国際委員会との協議の結果、WPAに承認されたテーマである「トラウマとメンタルヘルス」はそのまま使用することとして、日本において、精神医学、公衆衛生学の双方の精神保健疫学への関心を高めるためのプログラムを充実させることを念頭に、国内委員会、プログラム骨子等をまとめた。
結論
①本年度調査は関東地方に限定した調査であり、かつ回収率が高くないため回答者が偏った可能性がある。しかし10年前に比べて、わが国において大うつ病性障害等がいくらか増加し、また大うつ病性障害による受診率が大幅に改善している可能性を示している。回答率を向上させる工夫を行い、2014および2015年度には国内の他地域の調査を進めることで、2010年代におけるわが国における精神疾患の有病率、受診率などが明らかになると期待される。②CIDIの診断評価の妥当性検討ための調査の準備を完了し,来年度から調査を開始することが可能となった。③WPASEPH2014において本研究に関連したプログラムを実施することは、日本における精神医学と公衆衛生学の精神保健疫学への関心を高め、それを持続的に発展させる重要な機会になるため、関係する学会、団体等に広く参画を呼びかけるとともに、その成果を公表していくことが望まれる。
公開日・更新日
公開日
2015-05-20
更新日
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