中高度難聴者への超磁歪素子を用いた埋め込み型骨導人工中耳の開発

文献情報

文献番号
201317035A
報告書区分
総括
研究課題名
中高度難聴者への超磁歪素子を用いた埋め込み型骨導人工中耳の開発
課題番号
H25-感覚-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
羽藤 直人(愛媛大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 卓二(電気通信大学 電気通信学部 知能機械工学科)
  • 神崎 晶(慶應義塾大学医学部 耳鼻咽喉科)
  • 立入 哉(愛媛大学教育学部 聴覚障害児教育)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
なし

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、先進性の高い超磁歪素子を用いた埋め込み型骨導人工中耳(GMM-BAHA)を開発することが本研究の目的である。新型人工中耳の鍵は、圧電素子の約1000倍の駆動力を有する超磁歪素子にある。超磁歪素子は近年日本のメーカーが量産化に成功した磁力で高速に伸縮する合金で、骨振動に十分なパワーと広い周波数応答性を有する。本デバイスは聴覚障害による障害者への就労支援や雇用対策の画期的ツールと成り得ると考える。これらの特徴は全て革新的であり、既に国内特許の取得および国際特許の申請を行った。
研究方法
システムは体外ユニットで集音プロセッシング後、コイルで音情報を体内ユニットに送信し、磁力で超磁歪振動子を駆動させる。超磁歪素子の埋め込み振動子を中心とした体内ユニットは、数種類作成し側頭骨モデル、ヒトご遺体、モルモットでそれぞれ振動特性の検証を行った。本研究では臨床治験可能なGMM-BAHAデバイスを、平成27年度末までの3年間で開発、完了する予定である。まず平成25年度には、BAHA患者に協力を依頼しプロトタイプの骨導振動子の性能を比較評価しながら、超磁歪素子やケースの形状改良を中心とした、より高性能なデバイスの開発を進めた。具体的には、新ヒンジ型やバネ型(スリット入り)などのケース形状を変更、新規作製し特使を解析した。
結果と考察
結果としては、0.2mm厚のスリットが入ったタイプでは、従来のケースタイプより特に低音域で最大100倍程度の振幅・電圧特性が得られた。また、baha使用患者にGMM-bahaの振動子(一点固定および2点固定)を装着し、駆動力や周波数特性を解析した。その結果、高周波帯域、特に8kHzにおいて既存のbahaより良好な聴覚特性が得られた。さらには欧州で臨床治験中のMEDEL社(共同研究先)製 Bonebridgeとのとの比較研究を行い、Bonebridgeと遜色なく、むしろ高周波領域では良好な振動特性であることが明らかとなった。なお、BAHAとの比較臨床試験は倫理委員会の了承を得て行った。
結論
このように高音域で十分な利得を持つ超磁歪素子の特性からは、従来の気導補聴器では十分な聴覚補聴が困難な、高度感音難聴患者にも適応拡大できると考えている。今後さらなる改良を加え、臨床応用へ向けた最終段階の試作機を今後完成していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317035Z