福祉機器の利活用と開発を促進するための社会技術基盤の創成

文献情報

文献番号
201317015A
報告書区分
総括
研究課題名
福祉機器の利活用と開発を促進するための社会技術基盤の創成
課題番号
H25-身体-知的-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
諏訪 基(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
9,215,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、福祉機器の開発・利用に関連した様々な合意形成プロセスに、ユーザを含んだ様々なステークホルダが、直接参加し、合意形成に関与するための社会技術基盤を確立することで、福祉機器の真に効果的な利活用を促進することを目的とする。
研究方法
実践事例としてのワークショップ開催(井戸端会議、マッチングカフェ、およびデザインワークショップ等)を実施し、実践に必要な手法並びに要素技術の開発を、PDCAサイクルモデルに基づき繰り返しつつ実施する。方法論構築の要素技術として、本研究ではSNSポータル、ステークホルダパネル、グラフィックファシリテーション等を重点課題とする。最終的には、福祉機器の開発・利用に関連した様々な合意形成プロセスに、ユーザとステークホルダが直接参加し意思決定に関与することができる社会技術基盤を確立する。
結果と考察
(1)井戸端会議の開催:ワークショップ参加者の母集団としての当事者/専門職パネルの組織化に着手した。ステークホルダのうちで最も重要な役割を果たすユーザに着目し、福祉機器の開発や普及を促進する原動力となるユーザパネルの組織化を実践し、その運営手法を確立することを目的とし研究を行った。今年度は、ユーザパネルの機能モデルを構築することを目標とし、当事者への聞き取り調査および当事者による意見交換会を実施した。得られた結果から、Tipsデータベース、ロールモデルの共有、ネット上での議論、ワークショップの4つの機能が抽出され、それに基づいた機能モデルを構築した。
(2)マッチングカフェの開催:今年度は、福祉機器の開発において、ユーザによる開発者へのサポート、連携を促進するための国家規模での枠組みについてどうあるべきか、課題を探ることを目的とし、看護士、理学療法士、作業療法士、排泄ケア協議会の有識者により検討会を開催し、意見交換、情報収集を行った。また、ユーザ側(障害当事者、医療福祉従事者)とモノ作り側(研究・開発・行政)がお互いの当り前を知り、効率よく実用的なモノの開発・普及につなげるための場をどのようにしたら良いかをそのあり方を探ることを目的とし、話題提供とフリーディスカッションする場を設けた。
(3)デザインワークショップの開催:
今年度は、5グループの異なるテーマのワークショップを実施し、各グループでの議論の流れを分析することで、適切なワークショップファシリテーションとコミュニティデザインの基礎的指針を抽出した。まず、機器開発を目的としたグループでは、要求機能と制約条件という設計工学的に重要な概念を参加者間で共有したことで、概念設計を効率的に進められた。また、モックアップなどのプロトタイピングを活用することで、機器開発に不慣れな参加者も、十分に議事を把握し自身の意見を発信できた。特に、制約条件を抽出する観点から実物に触れることは有効であり、ファシリテーションに有効なツールであることが確認された。次に、非開発系のワークショップでは、欧州で実施されているフォーサイトの手法を参考に、議事の流れを分析したところ、2種類の特徴的なファシリテーションプロセスを確認できた。今後は、これらのプロセスが参加者の発言に与えた影響を分析し、適切な介入手法を考察していく。
(4)インターネット上の参加型による製品企画・開発に関する調査:
インターネットを用いた顧客参加型商品開発に関して調査を実施。ヒアリング調査を行った。ヒアリングを通して、顧客参加型商品開発実施の背景及び展開内容を把握した。
結論
本研究は、福祉機器の開発・利用に関連した様々な合意形成プロセスに、ユーザを含んだ様々なステークホルダが、直接参加し、合意形成に関与するための社会技術基盤を確立することで、福祉機器の真に効果的な利活用を促進することを目的として取り組みを開始した。ワークショップを実際に運営しながら実践的に方法論を開発する手法を採用したことにより、社会技術基盤の継続性確保に掛かる課題も発掘できることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317015Z