障害者の防災対策とまちづくりに関する研究

文献情報

文献番号
201317014A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者の防災対策とまちづくりに関する研究
課題番号
H24-身体-知的-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
北村 弥生(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 障害福祉研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 深津 玲子(国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター)
  • 前川 あさ美(東京女子大学)
  • 河村 宏(NPO法人 支援技術開発機構)
  • 濱田 麻邑(NPO法人 支援技術開発機構)
  • 池松 麻穂(NPO法人 支援技術開発機構)
  • 猪狩 恵美子(福岡女学院大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、災害時要援護者のうち対策が遅れている知的・発達障害(児)者を中心に、身体障害者(肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、盲ろう)に対する災害準備と急性期・復旧期・復興期における情報提供と心理的支援を含めた福祉的避難支援のあり方を4つの側面(被災地の経験、全国の支援者による情報提供の在り方、個別避難計画の作成、防災教材の作成)から明らかにすることを目的とする。以下、特別に指定しない場合は全障害を指す。
研究方法
第一課題では、被災地(岩手県、宮城県)において発達障害児・者の保護者80名と支援者87名を対象に質問紙法による調査を実施した。第二課題では、災害準備期、急性期、復旧・復興期における情報提供のあり方を明らかにすることを目的に、全国の発達障害者支援センター発達障害者支援センター84か所へのインターネットを介した質問紙法による調査ならびに埼玉県内の市区町村への郵送法による調査を実施した。第三課題では、個別避難計画の事例集を作成するために、1)地域の避難訓練に障害当事者が参加するための試行、2)簡易ベッドと簡易マットの接触圧測定、3)先行事例の調査を行った。第四課題では、障害者の災害対策に関するマニュアル5種類とその電子化2種類を作成した。また、海外ネットワークの構築では、米国連邦緊急事態管理庁FEMA、インド、フィリピンとの国際的な連携の場を持った。
結果と考察
第一課題では、「今回の震災時に足りなかったこと」として①居場所、②情報、③物資、④理解の四点の問題が見出された。震災後の経過とともに②と③の問題は軽減・消失したが、①は平成25年においても、安心できる場(住居、地域、学校など)を確保できていない家族が多数存在していることを示し、④では、震災前からの課題が増幅し、危機感をさらに強めている様子を示した。「震災を通して経験したこと、自分に起こったこと」では、『自己受容と自己成長への気づき』『子どもへの感動と発見』『人生への感謝や価値観の変化』『他者との絆や地域交流の重要性への気づき』の4因子が抽出され、Post traumatic growthと類似した内容が見出された。また、面接と質問紙の自由記述からは、震災から3年という年月が経ったことで体験するようになった新たな『サバイバーズ・ギルト』も注目された。最後に、「未来の震災をみすえて心掛けておくこと」として①自分を守る力と防災教育の必要性、②経験を語り継ぎ蓄積する必要性がうかびあがった。
 第二課題では、前年度に作成された「災害時の発達障害児・者支援エッセンス」を以前に読んでいたのは4割だったこと、都道府県の防災マニュアルには発達障害に関する記述は少ないことが明らかになった。
 第三課題については、1)訓練ではそれぞれヘルパー、ガイドヘルパー、手話通訳者を同行することで、必要な情報と介助を受けることができること、2)障害者が防災訓練に参加することによって、緊急時に支援を得るボランティア候補者を得たり、自主防災組織役員にニーズを具体的に示し、共同作業をおこなうきっかけをつくることができること、3)緊急時の確実な支援のためには、地域住民の理解と支援技術の獲得を促す必要があることが示唆された。避難所で使うベッドの候補としては、キャンプ用のベッドと国内で2000円未満で購入できる携帯用のエアマットの組み合わせが最も接触圧が低かったが、幅が50センチ程度と狭く、移乗が不安定であるという難点があることがわかった。
先行事例の調査では、1)首都圏の定住型マンションの自治会、2)社会福祉法人に隣接する自治会における防災活動、3)一人暮らし人工呼吸器装着者による自助体制(前年度)の発展と共助体制の構築を調査し、自助、共助、公助が互いに相乗効果を生じることを示した。被災地における事前の情報収集では、訪問学級に対する支援準備の好事例は見いだせなかった。
第四課題としては、「災害と発達障がい」(16ページ)、発達障害の大学生を対象に想定した「防災実践ハンドブック」(36ページ)、地域住民のためのリーフレット3種類(A4サイズ1枚、両面3つ折り)を作成した。日本自閉症協会に研究代表者が協力して作成した「自閉症のひとのための防災ハンドブック」を素材にしたマルチメディアデイジー版(日英)は公開の準備中である。作成した教材は、個々の対象者の生活圏内での実践と連携させた教育プログラムを実施し効果を検証する他、インターネットを介して公開し、活用を促す計画である。
 国際的なネットワーク構築は、世界防災会議(平成27年)で新たに設定される行動枠組みに障害者を盛り込むために貢献している。
結論
 5つの研究課題のいずれにおいても、災害前の準備が重要であることが指摘され、対処方法を蓄積した。平成26年度には、3年間の成果を整理する。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-05-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201317014Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,750,000円
(2)補助金確定額
6,750,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 858,164円
人件費・謝金 2,212,418円
旅費 2,074,084円
その他 1,605,405円
間接経費 0円
合計 6,750,071円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-05-28
更新日
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