特定健康診査による個人リスク評価に基づく、保健指導と連結した効果的な慢性腎臓病(CKD)地域医療連携システムの制度設計

文献情報

文献番号
201316006A
報告書区分
総括
研究課題名
特定健康診査による個人リスク評価に基づく、保健指導と連結した効果的な慢性腎臓病(CKD)地域医療連携システムの制度設計
課題番号
H24-難治等(腎)-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 毅(福島県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井関 邦敏(琉球大学 医学部)
  • 鶴屋 和彦(九州大学大学院 医学研究院)
  • 山縣 邦弘(筑波大学 医学医療系)
  • 守山 敏樹(大阪大学 保健センター)
  • 木村 健二郎(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 成田 一衛(新潟大学大学院 医歯薬総合研究科)
  • 藤元 昭一(宮崎大学 医学部)
  • 今田 恒夫(山形大学 医学部)
  • 近藤 正英(筑波大学 医学医療系)
  • 笠原 正登(京都大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(腎疾患対策研究経費)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
17,865,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性腎臓病(CKD)対策は、健診でのCKDの早期発見、保健指導による一次予防、かかりつけ医と腎臓専門医への適切な受診勧奨および医療連携が有機的に連動する必要がある。本研究は、①特定健診によるエビデンスに基づく個人リスクの定量的評価法の確立と、テーラーメードな健診・保健指導プログラム、受診勧奨基準の設定、②新しいCKD重症度分類に対応したかかりつけ医から腎臓専門医への紹介・逆紹介基準の作成、③作成された基準による医療連携のアウトカムおよび費用対効果の検討を行い、全国統一的な特定健診の特色を活かした汎用性があり、科学的、効率的、経済的に許容可能なCKD医療連携システムを確立することを目的とする。
研究方法
(1)先行研究(平成20-22年度厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)「今後の特定健康診査・保健指導における慢性腎臓病(CKD)の位置付けに関する検討」の特定健診コホート群の規模と観察期間を拡大し、横断的・縦断的観察を継続する。
(2)CKD進行・心血管イベント・死亡のアウトカムを抽出し、健診データと突合することにより、個人リスクの定量的評価法を確立する。それに基づき、①健診・保健指導要綱及び医療連携での受診基準の作成 ②個人の危険度別の保健指導・医療連携プログラムの提言と検証 ③かかりつけ医と腎臓専門医への受診勧奨、紹介・逆紹介基準の作成を行う。
(3)本邦の先行疫学研究データ(FROM-J, CKD-JAC等)と上記(1)、(2)の成果をモデルに組み込んだ医療経済解析を行う。
結果と考察
(1)本年度までに27都道府県に属する自治体を中心とする保険者から協力を得、平成20年度から24年度までの最長5年間の約225万件のデータを回収し、個人の経年的観察が可能なデータセットをアップデートした。データセットを用い、「中性脂肪/HDLコレステロール比とCKD新規発症」「血圧コントロール、尿酸値と腎機能低下」、「CKDの高リスク群としての肥満と痩身の関連」、「検尿判定基準と心臓および脳血管病新規発症率との関連」、「CKD予備群に対する腎機能低下因子」、「血清クレアチニンを測定しない場合のCKD見逃し率の推定」、「5つの健康習慣(禁煙、体重管理、節酒身体活動、食事)と回復性睡眠の関連」「運動習慣と蛋白尿の関連」、「不規則な食習慣とCKDの関連」などを横断的・縦断的に解析し一部は既に公表した(Tsuruya K et al: Atherosclerosis 233: 260-267,2014, Sato Y et al: Clin Exp Nephrol 18: 75-86, 2014) 。(2)人口動態調査の死亡個票と健診データの突合とリスク解析の技術的検討のため、「特定健診受診者コホートにおけるメタボリック症候群の有無と死亡アウトカムに関する研究」を実施するとともに、一部保険者(自治体)につき、平成20年度特定健診受診者のうち死亡した受診者を特定し、特定健診データと死亡個票データを直接突合することに成功した。(3)本邦の先行介入研究データをモデルに組み込んだ医療経済解析として、「慢性腎臓病(CKD)に対するかかりつけ医/非腎臓専門医と腎臓専門医の地域での連携の費用対効果」の解析を開始し、FROM-J研究の成果を組み込んだ経済モデル(マルコフモデル)を作成した。以上より、CKDの発症・進展に関連する各種臨床指標とリスク評価の際に着目すべきいくつかの生活習慣が新たに抽出されるとともに、心血管イベントならびに死亡リスクの評価、CKD医療連携の費用対効果の解析もそれぞれ進展し、特定健診による個人リスク評価に基づく包括的なCKD地域医療連携システムの制度設計のための基盤がほぼ確立できたと考えられる。
結論
本年度の特定健診データ解析、死亡アウトカム抽出作業、医療経済学的解析により、次年度に予定される個人リスク評価、早期発見・保健指導による一次予防プログラムの設定、二次予防も含めた医療連携基準作成及び医療経済モデル作成の際に考慮されるべき各種データが集積された。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201316006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
23,224,000円
(2)補助金確定額
22,929,000円
差引額 [(1)-(2)]
295,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,293,696円
人件費・謝金 50,400円
旅費 3,601,280円
その他 6,624,795円
間接経費 5,359,000円
合計 22,929,171円

備考

備考
研究分担者の今田恒夫先生(山形大学)において、当初購入計画して予算計上し必要物品(解析用ソフト・消耗品等)を購入しましたが価格が予算より安価で購入することができたため本年度の研究費に残金が発生してしまいました。

公開日・更新日

公開日
2014-08-23
更新日
-