生活習慣病の治療・予防における統合医療の包括的な有用性評価

文献情報

文献番号
201315072A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病の治療・予防における統合医療の包括的な有用性評価
課題番号
H25-循環器等(生習)-一般-029
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
林 邦彦(群馬大学大学院保健学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 野田 光彦(国立国際医療研究センター)
  • 磯 博康(大阪大学医学系研究科)
  • 清原 裕(九州大学医学研究院)
  • 岩谷 力(国際医療福祉大学大学院)
  • 星地 亜都司(自治医科大学)
  • 水沼 英樹(弘前大学医学研究科)
  • 久保田 俊郎(東京医科歯科大学)
  • 鈴木 庄亮(群馬大学)
  • 李 廷秀(リチョンスウ)(東京大学医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国では,生活習慣病の治療のみならず進展予防においても,漢方,アロマテラピー,食習慣改善法,ヨガ・体操といった運動法などが利用されている。現在,わが国で中心的な治療法である薬物治療や手術治療に,これらの予防法を補完的にうまく取り入れて生活習慣を改善することは,対症的療法から原因的療法への転換や,健康維持の自己管理の観点からも重要といえる。しかしながら,これら療法のなかには有効性や安全性のエビデンスが確立していないものが少なからずある。そこで,本研究課題では,生活習慣病での標的疾患群を,1) 循環器系疾患領域,2)運動器疾患領域,3) 更年期障害など婦人科系疾患領域,4) その他の生活習慣病に分類し,生活習慣病全体での包括的な評価を試みることとした。世界の研究論文の悉皆的検索に基づく包括的メタ解析と,前向きコホート研究データを用いたアウトカム研究の2つの研究から,各種の統合医療法における有効性と安全性のエビデンスを整理して,わが国における生活習慣病の罹患減少や進展予防に,また健康日本21(第2次)の目標達成に資するような有用な統合医療法を見出すことを目的とする。
研究方法
①系統的レビューと包括的メタ解析
 文献検索においては,研究報告論文を検索する文献データベースをMEDLINE,Cochran Library,医学中央雑誌とした。悉皆的に文献渉猟するため,治療法・予防法の検索キーワードは統合医療・代替医療(Integrative Medicine, CAM)の全てのシソーラス語を含むように広範囲に作成した。いずれのデータベース検索においても,これらシソーラス語を論文タイトルに含む,2013年までの10年間に出版された英語もしくは日本語による研究報告論文とした。
②既存コホート研究によるアウトカム研究
 アウトカム評価を実施するための準備として,前向きコホート研究である日本ナースヘルス研究の対象者に各種統合医療法の利用に関する調査票を配布した。
結果と考察
①系統的レビューと包括的メタ解析
 3つのデータベースから検索でヒットした研究報告のうち,論文タイトルに統合医療・代替医療のシソーラス語を含む2,713件について,分担班ごとに標的疾患領域の研究となりえる文献かを抄録などから評価して選択を行った。その結果,循環器系疾患分担班では146件が,運動器系疾患分担班では170件が,更年期障害分担班では36件が選択された。
 循環器系疾患領域では,やはりメタボリック症候群に関連する疾患を標的にした研究が多かった。また,統合医療法では,食品・サプリメント関連や漢方・中薬・生薬関連など経口摂取するもののほかに,運動・リラクゼーション法関連の研究も多く報告されていた。ヨガ・瞑想,マッサージ,太極拳,気功のほかにも,森林浴や足浴といった方法の研究結果が,国内から報告されていた。運動器系疾患領域では,体力・バランス・転倒・歩行といった日常生活における運動機能に関するものが,今回の予防の文脈での文献検索では最も多くヒットした。また、変形性関節症,関節リウマチ,脊柱疾患などの特定の運動器疾患の文献のほかに,腰痛,筋肉痛などの疼痛に関する研究報告が多いのも特徴と言える。統合治療法別にみると,外的に刺激を施すことになる鍼・灸,温泉入浴・足浴,カイロプラクティック,太極拳,ヨガ・瞑想などが多かった。太極拳については43件と近年最も活発に研究報告がなされている統合医療法と言える。更年期婦人科系疾患領域では,更年期症状に関するもの最も多く,次いで骨粗鬆症関連であった。近年,わが国ではほてりなどの更年期障害での第二選択治療法として漢方薬が多く利用されている。しかしながら,今回の文献検索では,更年期障害に関する漢方薬の文献は一件もヒットしなかった。これは,わが国や中国では,更年期症状のための漢方薬・中薬の使用は代替治療法ではなく,中心的治療法と位置づけられているためかもしれない。
②既存コホート研究によるアウトカム研究
 アウトカム研究の準備調査として,本年度は,日本ナースヘルス研究(JNHS)の5つのコホート(合計n=14,971)および群馬ナースヘルス研究(n=699)において,統合医療利用状況の調査票を2013年12月末に送付した。
結論
生活習慣病の予防を目的とする統合医療法について,MEDLILNE,Cochrane Library,医学中央雑誌の3つの文献データベースから,包括的かつ網羅的な文献検索および一次評価を実施した。その結果,循環器系疾患領域でのべ161件,運動器系疾患領域でのべ180件,そして更年期疾患領域でのべ43件の文献が選択された。来年度には,二次評価とメタアナリシスを実施して,包括的な有用性評価を行う。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201315072Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,750,000円
(2)補助金確定額
9,750,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,292,654円
人件費・謝金 0円
旅費 108,840円
その他 5,098,506円
間接経費 2,250,000円
合計 9,750,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-10-13
更新日
-