がん対策における緩和ケアの評価に関する研究

文献情報

文献番号
201314050A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策における緩和ケアの評価に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-がん臨床-指定-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 雅志(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん医療支援研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
  • 木澤 義之(神戸大学大学院医学研究科・先端緩和医療学分野・緩和医療学)
  • 宮下 光令(東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野・緩和ケア看護学)
  • 中澤 葉宇子(国立がん研究センター がん対策情報センター がん医療支援研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では、がん対策推進基本計画(以下、基本計画)で定められた「全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上」の達成を目的とする施策による変化を評価することを目的とする。具体的には、がん対策における「緩和ケア」の進捗管理指標を作成し、基本計画策定後の変化について、既存のデータ等を含めて推移を示して変化を検証するとともに、患者や医療者等からみた変化とその変化の発現にいたる理由について質的・量的な検証を行うことによって、施策に係る問題点や課題を明らかにし、緩和ケアに関するがん対策の目標達成状況を評価する。また、がん診療連携拠点病院(以下、拠点病院)の緩和ケア提供体制について、PDCAサイクルの構築に活用できる方法を検討することである。
研究方法
研究方法は、 (1)基本計画策定後の患者や医療者からみた緩和ケアの変化に関するインタビュー調査、(2)基本計画策定前後の患者・家族・医療者からみた緩和ケアの変化に関する量的調査、(3)定型的方法(デルファイ法)を用いた緩和ケアの進捗管理指標の作成、(4)緩和ケアに関する既存指標を用いて、【患者や家族から見た変化】【医師や看護師等の医療従事者からみた変化】【拠点病院の変化】【緩和ケアに関するリソースの変化】【死亡場所の変化】などの多角的視点から、基本計画策定前後約10年間の推移を把握する。また、(5) 定型的方法(デルファイ法)を用いて、拠点病院の緩和ケア提供体制について評価する方法を検討し、PDCAサイクルの構築に向けた研究を行う。
結果と考察
以下、平成25年度に実施した研究結果のみについて報告する。
(1)のインタビュー調査については、基本計画策定後の医療現場の変化を明らかにすることを目的として、現・前がん対策推進協議会委員9名,現・前緩和ケア推進検討会委員3名,拠点病院の緩和ケアの提供体制における実地調査に関するワーキンググループ構成員6名を含む医師・看護師・患者・遺族28名を対象にインタビュー調査を実施した。主な調査内容は①基本計画策定後(2007年以降)の緩和ケアの変化,②緩和ケアに関する施策の有用性,③緩和ケアに関する施策の全般的評価,④今後への推奨について対象から意見を聴取した。現在、継続してインタビュー調査とインタビュー内容の分析を実施中である。
(3)緩和ケアの進捗管理指標の作成に関する研究では、がん対策における「緩和ケア」分野の進捗管理指標を開発することを目的として、現・前がん対策推進協議会委員,現・前緩和ケア推進検討会委員,拠点病院の緩和ケアの提供体制における実施調査に関するワーキンググループ構成員,緩和ケアに係る医療者48名の意見を集約し、緩和ケア分野の進捗管理指標を作成した。意見の集約方法は、定型的方法(デルファイ法)による3回の郵送調査と、3回の調査結果に基づくグループディスカッションによる検討会議を実施した。
検討の結果、最終的に11ドメイン【死亡場所に関する状況】【医療用麻薬の利用状況】【緩和ケア専門サービスの普及状況】【緩和ケア専門人員の配置状況】【一般医療者に関する教育状況】【一般市民への普及状況】【緩和エアに関する地域連携の状況】【がん患者のQOL】【終末期がん患者のケアの質の状況】【終末期がん患者のQOLの状況】【家族ケアの状況】、15項目で構成する指標が選定された。選定された指標について、H26年度に測定方法の検討と測定を実施する予定である。
(5) 拠点病院の緩和ケア提供体制に関するPDCAサイクルの構築に向けた研究では、拠点病院が実施設で緩和ケア提供体制に関するPDCAサイクルを構築するための1stepとして、拠点病院が目指すべき基準を作成し、作成した基準に基づき評価を実施するための評価指標を開発すことを目的とする。開発の方法は、8名の緩和ケアに係る専門家と2名の研究者の意見を集約するため、定型的方法(デルファイ法)による1回の電子メールを用いた調査を実施した。調査の結果、緩和ケアの基準として6カテゴリー【施設全体の緩和ケアに取り組む体制】【院内の緩和ケアに関する連携体制】【基本的な緩和ケアの提供体制】【専門的な緩和ケアの提供体制】【相談支援センターの緩和ケアに取り組む体制】【緩和ケアに関する地域連携】で構成する22の基準と72の評価推奨項目が暫定版として選定された。選定された暫定版22基準と72項目について専門家パネルにて再度検討を行ったうえで、評価指標を確定する予定である。
結論
(3)の緩和ケアの進捗管理指標の作成に関する研究で選定されたことによって、がん対策の緩和ケアについて進捗を管理する方法が提案できるとともに、今後の経年的な測定によってがん対策による進捗状況が管理可能となった。平成26年度に引き続き研究計画を進める予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-09-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201314050C

収支報告書

文献番号
201314050Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,650,000円
(2)補助金確定額
13,650,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 445,976円
人件費・謝金 22,425円
旅費 869,210円
その他 9,166,747円
間接経費 3,150,000円
合計 13,654,358円

備考

備考
「(2)補助金確定額」より最終的に4358円の過剰支出となった。理由としては、会議へ招聘した講師旅費について、各個人の交通事情により旅費の予測と実際の金額調整が難しかったため、結果的に端数が出てしまいました。(過剰支出分は研究者の自己負担としています)

公開日・更新日

公開日
2015-09-10
更新日
-