「がん相談対応評価表」を用いた相談支援の質評価のプログラムの介入研究の結果、プログラム参加３施設の特に新人の相談員において、プログラムの実施前後の得点の変化がみられることが確認された。相談対応という質的な評価が必要であるが評価がきわめて難しい評価ツールの開発と実際の効果の判定は、今後検討数を蓄積していく必要はあるものの、学術的にも非常に意義が高いものである。

臨床的観点からの成果

本年度の研究成果から示された「がん相談対応評価表」を用いた相談支援の質評価のプログラムは、関係者間で目的やその必要性を共有しながら時間をかけて取り組むことで、参加者の主体性を引き出し、継続的な取組として取り入れられると考えられた。次年度以降も同県内や他の県においても関心が高まっており、「がん相談対応評価表」の活用が広がっていくものと考えられる。

ガイドライン等の開発

がん相談支援センターの相談員用の学習ツールとして「がん専門相談員のための学習の手引き（改訂版）」、「相談員のためのがんサロンの設立と運営のヒント集」、「がん専門相談員のための『小児がん就学の相談対応の手引き』」を作成し、全国397のがん診療連携拠点病院および15の小児がん拠点病院に配布した。また相談員学習用の相談事例（DVDおよび逐語録、学習ポイントを含む）教材を作成した。

その他行政的観点からの成果

H24年度までに行ってきた全国および各地域での相談支援センターや関連機関における役割分担の検討・提案内容は、がん診療連携拠点病院連絡協議会情報提供・相談支援部会での検討内容に取り入れられた。また部会での検討を通じて、厚生労働省の検討会に提案された。

その他のインパクト

全国のがん相談支援センターの相談員に呼びかけて、事例検討方法のワークショップおよび相談の質向上プログラムのワークショップを行った。本研究で開発・検討を行った教育･学習素材は、国立がん研究センターに寄贈され、相談員用の研修会の素材として活用される予定である。

発表件数

原著論文（和文）

1件

原著論文（英文等）

2件

その他論文(和文)

13件

その他論文(英文等)

0件

学会発表(国内学会)

12件

学会発表(国際学会等)

0件

その他成果(特許の出願)

0件

その他成果(特許の取得)

0件

その他成果(施策への反映)

2件
教育プログラム（相談事例、事例検討WS）の国立がん研究センター（相談員研修実施機関）への提供

その他成果(普及・啓発活動)

3件
「がん専門相談員のための学習の手引き（改訂版）」、「相談員のためのがんサロンの設立と運営のヒント集」、「がん専門相談員のための『小児がん就学の相談対応の手引き』」の作成と全国拠点病院への配布

特許

主な原著論文20編（論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る）

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1

Takako Nakanotani, Tatsuo Akechi, Tomoko Takayama, et al.
Characteristics of Elderly Cancer Patients' Concerns and Their Quality of Life in Japan: A Web-based Survey
Japanese Journal of Clinical Oncology , 44 (5) , 448-455 (2014)
10.1093/jjco/hyu029

原著論文2

Yokoo M, Akechi T, Takayama T, et al.
Comprehensive assessment of cancer patients' concerns and the association with quality of life.
Japanese Journal of Clinical Oncology , 44 (7) , 670-676 (2014)
10.1093/jjco/hyu060

公開日・更新日

公開日

2016-06-13

更新日

2018-06-08

収支報告書

文献番号

201314022Z