文献情報
文献番号
201313066A
報告書区分
総括
研究課題名
膵臓星細胞活性化におけるオートファジーの役割
課題番号
H24-3次がん-若手-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
仲田 興平(九州大学 大学病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
膵臓癌は極めて予後不良な癌腫であり、新規治療法の開発は社会的急務である。最近発見された膵間質に存在する膵星細胞は、種々の分泌因子を介し膵癌細胞の浸潤、転移を促進するとして報告された。膵星細胞が膵癌の悪性形質を誘導する責任細胞として注目されているがそのメカニズムの報告は皆無である。我々は、近年新たな癌制御メカニズムとして注目されているオートファジーがこのメカニズムに関与していると考えている。最近、オートファジーが肝炎における肝星細胞の活性化に関与している事が初めて報告されたが、膵星細胞活性化とオートファジーが関与している報告は国内外において皆無である。今回、膵星細胞が膵癌悪性度に影響を与える新たなメカニズムを解明、新たな膵癌治療戦略を構築する。
研究方法
1. ヒト膵星細胞株の樹立
すでに、膵癌患者より得られる手術切除標本を用いてヒト膵星細胞株を20株以上作成した。作成された細胞株に対して、膵星細胞の特徴とされるMyofibroblast様の形態の確認やα-SMA染色を行い、星細胞である事を確認した。
2. 活性化膵星細胞におけるオートファジー誘導の確認
膵星細胞でのオートファジー活性を共焦点顕微鏡によるGFP-LC3発現、ウエスタンブロット、更には電子顕微鏡によるオートファゴゾームの形成を観察して確認した。
3 膵癌細胞との共培養によるオートファジーを介した膵星細胞活性化の確認
星細胞が膵癌細胞との共培養により活性化が促進されるかを確認、その際オートファジーが誘導されているかを実験1と同様の方法で観察した。
4. 膵星細胞に対するAtg5ノックダウン効果の確認
膵星細胞に対してオートファジー関連因子Atg5 をノックダウンし、星細胞の活性化の変化を確認した。
すでに、膵癌患者より得られる手術切除標本を用いてヒト膵星細胞株を20株以上作成した。作成された細胞株に対して、膵星細胞の特徴とされるMyofibroblast様の形態の確認やα-SMA染色を行い、星細胞である事を確認した。
2. 活性化膵星細胞におけるオートファジー誘導の確認
膵星細胞でのオートファジー活性を共焦点顕微鏡によるGFP-LC3発現、ウエスタンブロット、更には電子顕微鏡によるオートファゴゾームの形成を観察して確認した。
3 膵癌細胞との共培養によるオートファジーを介した膵星細胞活性化の確認
星細胞が膵癌細胞との共培養により活性化が促進されるかを確認、その際オートファジーが誘導されているかを実験1と同様の方法で観察した。
4. 膵星細胞に対するAtg5ノックダウン効果の確認
膵星細胞に対してオートファジー関連因子Atg5 をノックダウンし、星細胞の活性化の変化を確認した。
結果と考察
1. ヒト膵星細胞株の樹立および性状の確認
膵癌患者より得られる手術切除標本を用いてヒト膵星細胞株を作成した。その際、同症例標本より癌組織近傍の膵組織および癌組織より離れた膵組織から星細胞を培養し、オートファジー誘導性の違いを確認したところ、癌組織近傍より作製した星細胞において癌組織より離れた組織から培養した星細胞に比べてオートファジーが誘導される症例が一部に見られた。さらに複数の星細胞株それぞれに対してオートファジー誘導性の違い、オートファジー必須遺伝子Atg5発現の分布を確認したところ、個々の症例に由来する星細胞によりオートファジーの誘導性が異なる可能性がある事を確認した。更には、オートファジー抑制剤3-MAの投与により一部の星細胞で脂肪滴の発現が抑制され、Quiescent星細胞様性質を示す事を確認した。
2. 膵癌細胞、星細胞におけるオートファジー誘導の確立。膵癌細胞および星細胞にGFP-LC3を導入し、星細胞での容易なオートファジー発現観察を確認する手法を確立した。また、ストレス条件下に癌細胞でオートファジーが誘導される事も同時に確認した。
3. 膵癌細胞、星細胞共培養における3MA投与による膵癌細胞浸潤能力への影響(大内田、水元担当)
膵星細胞、癌細胞に3MAを投与したところ星細胞、癌細胞でオートファジーの誘導が抑制される細胞を認める事を確認した。さらに、膵星細胞と膵癌細胞との共培養モデルを確立、星細胞との共培養において膵臓癌浸潤が促進される事を確認した。癌細胞、膵星細胞共培養下にオートファジー抑制剤3MAの投与で膵癌細胞の浸潤が抑制される事を確認した。
4. 膵星細胞に対するAtg5ノックダウン効果の確認 (仲田担当)
膵星細胞に対してオートファジー関連因子Atg5 をノックダウンし、星細胞の活性化の変化を確認した。その効果を確認したところ約80%のノックダウン効果を得た。Control繊維芽細胞とノックダウン細胞におけるオートファジー誘導を比較したところAtg5ノックダウン細胞においてオートファジーの誘導が抑制されている事を確認した。更にAtg5ノックダウン細胞においては脂肪滴発現が抑制され、ノックダウン繊維芽細胞において星細胞の活性化が抑制されている事が示唆された。
膵癌患者より得られる手術切除標本を用いてヒト膵星細胞株を作成した。その際、同症例標本より癌組織近傍の膵組織および癌組織より離れた膵組織から星細胞を培養し、オートファジー誘導性の違いを確認したところ、癌組織近傍より作製した星細胞において癌組織より離れた組織から培養した星細胞に比べてオートファジーが誘導される症例が一部に見られた。さらに複数の星細胞株それぞれに対してオートファジー誘導性の違い、オートファジー必須遺伝子Atg5発現の分布を確認したところ、個々の症例に由来する星細胞によりオートファジーの誘導性が異なる可能性がある事を確認した。更には、オートファジー抑制剤3-MAの投与により一部の星細胞で脂肪滴の発現が抑制され、Quiescent星細胞様性質を示す事を確認した。
2. 膵癌細胞、星細胞におけるオートファジー誘導の確立。膵癌細胞および星細胞にGFP-LC3を導入し、星細胞での容易なオートファジー発現観察を確認する手法を確立した。また、ストレス条件下に癌細胞でオートファジーが誘導される事も同時に確認した。
3. 膵癌細胞、星細胞共培養における3MA投与による膵癌細胞浸潤能力への影響(大内田、水元担当)
膵星細胞、癌細胞に3MAを投与したところ星細胞、癌細胞でオートファジーの誘導が抑制される細胞を認める事を確認した。さらに、膵星細胞と膵癌細胞との共培養モデルを確立、星細胞との共培養において膵臓癌浸潤が促進される事を確認した。癌細胞、膵星細胞共培養下にオートファジー抑制剤3MAの投与で膵癌細胞の浸潤が抑制される事を確認した。
4. 膵星細胞に対するAtg5ノックダウン効果の確認 (仲田担当)
膵星細胞に対してオートファジー関連因子Atg5 をノックダウンし、星細胞の活性化の変化を確認した。その効果を確認したところ約80%のノックダウン効果を得た。Control繊維芽細胞とノックダウン細胞におけるオートファジー誘導を比較したところAtg5ノックダウン細胞においてオートファジーの誘導が抑制されている事を確認した。更にAtg5ノックダウン細胞においては脂肪滴発現が抑制され、ノックダウン繊維芽細胞において星細胞の活性化が抑制されている事が示唆された。
結論
今回の研究遂行により膵癌の浸潤性が膵星細胞、膵癌細胞双方に対するオートファジーを抑制することにより、相乗的に浸潤性を抑制する事が予想される。また、Desmoplaisa形成も抑制し、化学療法抵抗性を解決出来るのではないかと考えている。
膵癌細胞および星細胞共培養下に膵癌浸潤能が増強されるがオートファジー抑制剤により浸潤能が抑制されている。今回、オートファジー抑制剤3MAを投与する事により膵臓癌の浸潤能が抑制された。今後はオートファジーを特異的に抑制する為にオートファジー関連遺伝子であるAtg5ノックダウンを行う事により同様の結果が示されるかを検討する予定である。
膵癌細胞および星細胞共培養下に膵癌浸潤能が増強されるがオートファジー抑制剤により浸潤能が抑制されている。今回、オートファジー抑制剤3MAを投与する事により膵臓癌の浸潤能が抑制された。今後はオートファジーを特異的に抑制する為にオートファジー関連遺伝子であるAtg5ノックダウンを行う事により同様の結果が示されるかを検討する予定である。
公開日・更新日
公開日
2015-09-02
更新日
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