がん対策推進基本計画とがん診療連携拠点病院の小児がん診療体制への適用に関する研究    

文献情報

文献番号
201313035A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策推進基本計画とがん診療連携拠点病院の小児がん診療体制への適用に関する研究    
課題番号
H23-3次がん-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
原 純一(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 智章(九州大学医学研究院 小児外科学)
  • 副島 俊典(兵庫県立がんセンター 放射線治療科)
  • 上田 孝文(国立病院機構大阪医療センター 整形外科)
  • 堀部 敬三(国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 柳澤 隆昭(埼玉医科大学国際医療センター 包括的がんセンター 脳脊髄腫瘍科 小児脳脊髄腫瘍部門)
  • 吉峰 俊樹(大阪大学大学院医学系研究科 脳神経外科学)
  • 柴田 亜希子(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センターがん統計研究部・がん疫学)
  • 小田 慈(岡山大学大学院 保健学研究科)
  • 瀧本 哲也(国立成育医療研究センター臨床研究センター臨床研究推進室、小児血液腫瘍学、研究所)
  • 多田羅 竜平(大阪市立総合医療センター緩和医療科兼小児内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
7,417,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成25年2月に小児がん拠点病院が全国に15カ所指定されたのを受けて、さらなる小児がん診療の質の向上と均てん化を同時に達成するための方策を作成する。
研究方法
1) 23年度本研究に実施した小児がん患者家族への調査で明らかとなった患者要望に対する方策のコンセンサス案の作成
2) 患者団体とのタウンミーティングによるコンセンサス案に対する意見聴取。3) 小児がん専門医研修施設へのアンケート調査。4) 小児がん診療施設に対する要望についての小児がん患者自身への面接調査。5) 小児がん診療施設に対する要望についての小児がん患者自身へのアンケート調査(公益財団法人がんの子供を守る会に委託)6) 小児がん専門医研修施設の診療実態と意識調査。7) NICEガイドライン「英国NHSの小児AYA世代がん患者のアウトカムの向上を目指して」の翻訳
結果と考察
今年度は、23年度に調査した小児がん患者家族の小児がん医療に対する要望を解決する方策をとりまと
めた。具体的には、患者要望を解決するためのコンセンサス案を班員で作成し、これに対しての患者団
からの意見を合わせて最終案を作成し、日本小児血液がん専門研修施設に配布し、賛否と問うた。これにより上記の課題を解決するための36の方策の提言を行った。今年度はさらにこれまで小児がん患者自身の意見収集が全国的に行われたことがなかったため、アンケート調査を行い。85名から回答を得た。医療者の説明不足や配慮不足を指摘するものが最も多く、要望として、年齢に応じた説明や子どもをひとりの人間としてみてほしいというものが多かった。次いで教育の担保を含む療養環境の整備を求める意見が多かった。入院生活が1年にも及ぶことから、病院は同時に生活の場でもあり、日常生活に近い療養環境を整備することが求められている。
結論
今回の研究で、小児がん診療の全国的な実態、小児がん診療医の意向や考え方、小児がん患者自身
と小児がん患者家族の小児がん診療に対する要望がすべて明らかとなった。これらを勘案して、小児
がん診療体制のあり方を提言した。これはおもに小児がん診療を担当する全国86施設の日本小児血液
がん専門医研修施設のコンセンサスを得たものである。小児がん診療体制の整備は小児がん拠点病院の認定という第一段階を終えたばかりで、今後は今回の提言に基づいてさらなる整備を進めることが望まれる。また、この提言の一部は今後の全国の小児がん診療施設の目指すべき方向性を示すと同時に、小児がん拠点病院の満たすべき追加の要件とすべきものと考えられる。なお、今回の提言には病院の役割、あるいは狭義の医療の範囲を超えるものも含まれる。これらについては、患者支援団体との恊働においてなされることが望ましく、小児がん診療施設はこれら支援団体への協力や育成を図っていくことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2015-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201313035B
報告書区分
総合
研究課題名
がん対策推進基本計画とがん診療連携拠点病院の小児がん診療体制への適用に関する研究    
課題番号
H23-3次がん-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
原 純一(大阪市立総合医療センター 小児血液腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 智章(九州大学大学院医学研究院 小児外科学)
  • 副島 俊典(兵庫県立がんセンター 放射線治療科)
  • 上田 孝文(国立病院機構大阪医療センター 整形外科)
  • 堀部 敬三(国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
  • 柳澤 隆昭(埼玉医科大学国際医療センター 包括的がんセンター 脳脊髄腫瘍科 小児脳脊髄腫瘍部門)
  • 吉峰 俊樹(大阪大学大学院医学系研究科 脳神経外科学)
  • 柴田 亜希子(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センターがん統計研究部・がん疫学)
  • 小田 慈(岡山大学病院小児血液・腫瘍科/岡山大学大学院保健学研究科)
  • 瀧本 哲也(国立成育医療研究センター臨床研究センター臨床研究推進室)
  • 多田羅 竜平(大阪市立総合医療センター緩和医療科兼小児内科)
  • 正木 英一(国立成育医療研究センター放射線診療部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における小児がん診療の実態を明らかにすること、小児がん患者自身とその家族の小児がん診療に対する要望を知ること、これらを踏まえて患者要望を最大限実現しつつ、小児がん医療の質の向上を図るための方策を提言することである。
研究方法
小児がん診療に対する患者家族および患者自身の要望を収集する一方、小児がん診療の診療実態調査を行い、さらに英国とカナダでの小児がん診療体制を参考にして、患者要望の解決方法のコンセンサス案を班員の合議で作成した。このコンセンサス案に対する意見聴取を患者団体からタウンミーティングで行うと同時に、小児がん診療小児科医からもアンケート調査として実施した。これらの結果から、小児がん診療体制に対する提言を作成した。
結果と考察
がん診療連携拠点病院の指定要件の小児がん診療へ応用するための改変案を作成したほか、小児がん診療体制に対する提言を作成した。緩和ケア、小児がん登録、診療体制、診療の質の確保、情報提供、療養環境の整備、治療中の教育の担保、精神的サポート、長期フォローアップ、患者負担の軽減、その他(チーム医療の推進、小児がん診療体制の周知、患者支援団体との恊働)の11項目より構成される。今回の提言作成にあたっては、調査によって明らかとなった小児がん患者自身とその家族の要望を最大限実現することを目標としつつ、モデルとしての英国とカナダでの小児がん診療体制調査やわが国での小児がん診療実態と診療担当医の意識・意向を加味したうえで最終的に作成した。作成段階では日本小児血液・がん学会専門医研修施設に提言案に対する意見聴取を行い、コンセンサスを得た。本研究の過程で得られた、小児がん各分野の診療実態の包括的な情報ならびに小児がん患者とその家族の要望は貴重なものであり、特に小児がん患者自身の要望調査はこれまで国内で実施されたことはなく、初めて子どもたち自身の生の声が明らかとなった。今後も引き続き、これらの情報を活用していくことが望ましい。今後は小児がん拠点病院がモデルとなってこれらの提言を行政の支援も得ながら、実現していくことが望まれる。その際、医療機関や行政のみでは達成困難な事項も多く含まれることから、患者支援団体との恊働が必須である。医療機関などは、これらの団体の育成にも協力していくことが必要である。
結論
小児がん診療体制への提言を行ったが、これらは日本小児血液・がん学会専門医研修施設のコンセンサスが得られたものを中心にまとめたものである。幸い、平成24年度の第2次がん対策推進計画開始の追い風も受けて、本研究が開始された3年前より小児がん医療は大きく前進しつつある。今後はさらに高い目標を設定し、その実現に努力していくことが必要である。

公開日・更新日

公開日
2015-11-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201313035C

成果

専門的・学術的観点からの成果
わが国の小児がんの診療体制・実態を明らかにした。同時に、小児がん患者自身とその家族の小児がん診療に対する要望も調査を行った。この要望を最大限生かすための方策を現時点での小児がん診療実態も考慮にいれて立案した。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
平成24年5月24日に開催された厚生労働省小児がん医療・支援のあり方に関する検討会で要件案を提案した。提案は現行のがん診療連携拠点病院の要件を基本として小児がん診療に適応するよう本研究に基づき一部を改変、さらに追加したものである。その後、この案を叩き台として最終的に要件が決定された。
その他のインパクト
患者支援団体エスビューローが毎夏に2-3日間開催する小児がん・脳腫瘍全国大会の一部で公開班会議を実施した。その中で、小児がん対策についてのタウンミーティングを開催した。新聞で取り上げられたほか、研究班として小児がん対策に取り組んでいることを広報することができた。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
副島敏典, 原 純一 他10名
小児がん診療に関する放射線治療の実態調査
The Japanese Journal of Pediatric Hematology/Oncology , 51 (1) , 9-13  (2014)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2016-06-10

収支報告書

文献番号
201313035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,900,000円
(2)補助金確定額
8,900,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,783,277円
人件費・謝金 1,288,248円
旅費 866,010円
その他 3,479,735円
間接経費 1,483,000円
合計 8,900,270円

備考

備考
利息及び自己資金

公開日・更新日

公開日
2015-09-10
更新日
-