文献情報
文献番号
201311001A
報告書区分
総括
研究課題名
認知機能低下高齢者への自立支援機器を用いた地域包括的システムの開発と評価
課題番号
H23-認知症-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 佳典(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
- 細井 孝之(医療法人財団健康院 健康院クリニック)
- 亀井 智子(聖路加看護大学大学院老年看護学)
- 渡辺 修一郎(桜美林大学大学院老年学研究科)
- 植木 章三(東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科)
- 稲葉 陽二(日本大学法学部)
- 松本 真澄(首都大学東京大学院都市環境科学研究科)
- 田中 千晶(桜美林大学健康福祉学群)
- 川崎 千恵(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
- 二瓶 美里(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
- 野中 久美子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
- 深谷 太郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
13,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
急増する独居の認知機能低下高齢者の自立生活を支援するためには多様なリスクをより早期に発見し、健康障害や生活機能低下を予防することが重要である。本研究の目的はこれら予防的支援機器を開発・導入し、地域包括支援センターや介護事業者等(以後、地域ケア機関)が効果的・効率的に1)対象者の日常行動パターンを把握し、2)通常パターンからの逸脱を早期に察知し、生活・健康障害の予防に活用できるシステムを呈示することである。
研究方法
本システムは、赤外線人感センサー(以後、見守りセンサー)により対象者の行動をモニタリングし、行動変化を定量的に捉えるアルゴリズムを開発し、変化信号をコールセンターに提供する。コールセンターから地域ケア機関、家族等に必要な情報を提供する。本年度は、【第1部】では、自立支援機器を用いた地域包括支援システムの1年間にわたる本試験のプロセスと介入効果を紹介し、【第2部】では、見守りセンサーにより把握すべき、室内活動量、来客状況、居室の利用状況についての実践的分析を行った。【第3部】では、自立支援機器利用に関する第2回の大規模追跡調査を実施した。
結果と考察
【第1部】から、介入群と対照群で群間差がみられたのは、要介護度とその変化、そして老研式活動能力指標の社会的役割の得点変化であった。専門職による見守りセンサーの利用実態については、介入群を担当する専門職の方が対照群に比べて、外出やトイレの状況を把握していることが明らかとなった。また、外出やトイレに加えて室内での活動状況(日中と夜間)も把握できていた。見守りセンサーの経済性評価については、機器の導入によるコストは設備費を含めても、月額8,000円程度と推計された。睡眠障害の把握については、不眠状態発生の記載が見られた時間帯のセンサー検知回数は、平均に比べていずれも1.5倍以上の数値であった。
【第2部】からは、気温の低かった日の方が室内での動きやトイレの回数が多いことが明らかになった。来客判定の有効性については、在宅状況判別により居宅内の人数が複数(来客有)であることを68%、1 人(居住者のみ)であることを53%の精度で検知できた。居室ごとの滞在時間と利用状況については、要介護度が高いほど、一部屋での滞在時間が長い傾向があり、さらに生活財が散らかり利用可能な床面積が狭くなるケースもみられた。
【第3部】から、見守りセンサーの利用者は非利用者に比べて、2年間で精神的な健康度が向上した人が多かった。福祉サービスの利用及び登録数は、2年間で全て増加していることが確認された。見守りキーホルダーは、外出時の緊急時対応の必要性が高い高齢者により多く利用されていることが明らかになった。
【第2部】からは、気温の低かった日の方が室内での動きやトイレの回数が多いことが明らかになった。来客判定の有効性については、在宅状況判別により居宅内の人数が複数(来客有)であることを68%、1 人(居住者のみ)であることを53%の精度で検知できた。居室ごとの滞在時間と利用状況については、要介護度が高いほど、一部屋での滞在時間が長い傾向があり、さらに生活財が散らかり利用可能な床面積が狭くなるケースもみられた。
【第3部】から、見守りセンサーの利用者は非利用者に比べて、2年間で精神的な健康度が向上した人が多かった。福祉サービスの利用及び登録数は、2年間で全て増加していることが確認された。見守りキーホルダーは、外出時の緊急時対応の必要性が高い高齢者により多く利用されていることが明らかになった。
結論
赤外線人感センサーを導入した本試験の結果、要介護状態への抑制効果が見られた。見守りセンサーを用いて、より詳細な独居高齢者の生活状況を把握する際には、季節、気温、来客状況といった要因に注意することが必要である。地域での大規模調査の結果からも、見守りセンサーの利用が精神的な健康度の向上につながることが示された。費用面も含めて改善し、見守りセンサーの利用を広めていくことが今後の課題である。
公開日・更新日
公開日
2014-08-26
更新日
-