東日本大震災における高齢者特有の医学的影響とその予防法に関する研究

文献情報

文献番号
201310019A
報告書区分
総括
研究課題名
東日本大震災における高齢者特有の医学的影響とその予防法に関する研究
課題番号
H24-長寿-一般(復興)-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
坂田 泰彦(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 下川 宏明(東北大学 大学院医学系研究科 )
  • 安田 聡(国立循環器病研究センター)
  • 篠崎 毅(国立病院機構 仙台医療センター)
  • 福本 義弘(東北大学 大学院医学系研究科 (非常勤))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
11,417,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東日本大震災の最大被災地である東北地方沿岸部では、高齢者への医学的影響として急性心筋梗塞・肺塞栓・脳梗塞に加え、人類が初めて経験する「高齢者における心不全激増」が特徴的であることが、我々の調査により明らかになりつつある。津波により広範囲に町が破壊され、未だに多くの住民が長期間にわたり避難生活・仮設住宅生活を強いられていることや塩分を多く含む保存食の摂取が原因していると考えられるが、これに、不十分な運動療法や慢性ストレスが加わり、高血圧症などの生活習慣病が悪化し、被災者の介護度が上昇している。
 本研究では、東北地方沿岸部で我々が既に確立しているコホート集団を用いて、被災地における高齢者の生活習慣病、日常生活での運動量および介護度の評価を行う。
研究方法
本研究では、我々がすでに確立している東北地方における大規模かつ詳細な生活習慣病患者データベースを用いて検討を行う。すなわち最大被災地である東北地方沿岸部の病院に通院中の生活習慣病を有する高齢者を対象とし、年次毎に被災後の慢性期ストレス状況下における生活習慣病の悪化・内科的薬物療法の強化・心血管イベント発症の評価を行い、日常生活での運動量および介護度の評価、その予防方法として、生活習慣病の改善、運動療法の介入の検討を行う。
結果と考察
データ収集率は平成24年度・25年度ともに約60%であった。平成24年度はその中間報告として、介護予防が必要であった症例は高齢で女性が多く、心不全が重症な傾向を認めることを報告した。
 平成25年度はその延長として更なる解析を行った。患者の予後には、種々の臨床的背景因子、基礎疾患、心機能、重症度、合併症、治療内容、社会環境要因などが複雑に関与すると考えられるが、本研究では東日本大震災の影響が、高齢者の生活習慣病のコントロール、身体活動能力、介護、さらに生命予後および心血管イベントにどのように関与しているかを検討した。
介護予防が新規に必要となった症例は経年的に増加し、なかでも整形外科的疾患を有する75歳以上の高齢者は運動習慣が阻害されやすかった。一方、75歳未満の症例に多く認められる運動習慣阻害要因は整形外科的疾患ではなく、多忙と意思の弱さであった。
結論
東日本大震災後の高齢者特有の問題として整形外科的疾患を有すると運動から遠ざかり、予後が不良となる可能性が示された。すなわち、年齢に応じて運動を指導する際に気を付けるべきポイントが異なることが示された。

公開日・更新日

公開日
2014-08-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201310019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,842,000円
(2)補助金確定額
14,842,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,406,644円
人件費・謝金 1,990,509円
旅費 2,774,190円
その他 4,245,657円
間接経費 3,425,000円
合計 14,842,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
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