臨床研究・治験のIT化推進のための実施プラン策定に関する研究

文献情報

文献番号
201309054A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研究・治験のIT化推進のための実施プラン策定に関する研究
課題番号
H25-医療技術-指定-016
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
松村 泰志(大阪大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 楠岡 英雄(国立病院機構大阪医療センター )
  • 桑田 成規(国立循環器病研究センター)
  • 横井 英人(香川大学医学部附属病院)
  • 紀ノ定 保臣(岐阜大学大学院医学系研究科)
  • 山口 光峰(医薬品医療機器総合機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
15,390,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臨床研究・治験の領域において、ITの更なる活用が目標として掲げられている。複数医療機関がネットワークを構築し、データ集積性を高めることが重要である。ネットワーク事務局が治験の配分数を決める際に、各医療機関の疾患別患者数が把握できると有効である。また、治験審査資料が電子化されていると、中央IRBを運用する際、治験事務局の負担が減る。病院では電子カルテシステムが、臨床研究ではEDCが利用されるようになったが、この2つは連動していないために二重入力が発生している。1回の入力で、電子カルテへの記録と症例報告書(CRF)への記録ができると、病院。モニター双方の負担を減らすことができる。また、遠隔から電子カルテが閲覧できると、モニタリングの負担を減らすことができる。本研究では、1)患者数調査のためのデータベースの構築、2)治験審査資料の電子化による治験審査の効率化、3)病院情報システムとEDCの連動による症例報告書作成およびデータ収集の支援、4)リモートSDVによるモニター業務の効率化、の4つのテーマについて取り組んでいる。平成25年度は、本研究の1年目となる。
研究方法
1) 患者数調査のためのデータベースの構築
EFファイルを含むレセプトデータを利用して患者数を推定する方法を検討した。投薬内容等の治療内容と病名から治療対象病名を判定し、集計することで各疾患の患者数を調べる処理プログラムを作成した。
2) 治験関連文書の電子化による治験審査の効率化
電子化された治験関連文書を扱う市販システムを調査した。また、病院情報システムに保存される患者データについて、治験における原資料の観点で考え方を整理した。
3) 病院情報システムとEDCの連動による症例報告書作成とデータ収集の支援
病院情報システムとEDCの連動による症例報告書作成システムについて、運用上の課題を整理し、システムの機能要件をまとめた。
4) リモートSDVによるモニター業務の効率化
リモートSDVについて、実施医療機関側の懸念事項をまとめ、これを解決し得るシステム構成について検討した。
結果と考察
1) 患者数調査のためのデータベースの構築
処理プログラムを大阪大学医学部附属病院のデータに適用し、患者数19,921人から16,060件の疾患名が推測できることを確認した。
2) 治験関連文書の電子化による治験審査の効率化
電子化された治験関連文書を扱う市販システムは、「医師主導治験の運用に関する研究」(研究代表者:渡邊祐司)で示された要件をほぼ満たしていること、治験依頼者から電子化資料の配付により、電子媒体での治験審査が可能であることが確認できた。また、病院情報システムの保存患者データについて、電子カルテへの直接入力データ、部門システムから電子カルテへの自動転送データ、部門システム上のみの保存データのそれぞれにおいて、原資料として保存する方法と留意点の案を作成した。
3) 病院情報システムとEDCの連動による症例報告書作成とデータ収集の支援
電子カルテシステムでCRFを作成し、CDISCのODMでEDC/CDMSに送信するモジュールであるCRF Reporterが必要であること、CRF Reporterは、センターから制御用ファイルを受け取り、入力内容、手順が制御される仕組みを持つこと、経過記録画面からCRF用のテンプレートが起動され、入力データは経過記録にも出力されること、病院情報システムが持つデータから必要データを引用できること、経過記録用テンプレートで登録したデータをCRF用テンプレートに引用できること等の必要機能を明らかにした。データ引用のためには、共通規格のインターフェイスモジュールを電子カルテシステムに応じて開発すること、データ項目を指定するためのキーワードを整備することが必要である。
4) リモートSDVによるモニター業務の効率化
リモートSDVについて、実施医療機関側の懸念事項をまとめた。これを解決し得る「通信回線を使い医療機関の電子カルテを遠隔から閲覧させる方法」、「モニタリングに最低限必要な情報を医療機関の電子カルテからデータセンター等のサーバに転送し閲覧させる方法」の2つの実装案について、具体的なシステム構成、運用方法、留意点をまとめた。
結論
各病院からEFファイルのデータを集めて本法で処理するシステムにより、各医療機関の疾患別患者数が把握できる目途がたった。治験審査資料の電子化について準備が整いつつあることが確認できた。また、電子カルテで運用している病院での部門で発生する原資料の取り扱いの留意点を整理した。1回の入力で、電子カルテへの記録と症例報告書(CRF)への記録ができる仕組みについて、システムの機能要件をまとめた。リモートSDVを実施可能とするためのシステム構成、留意点を整理した。

公開日・更新日

公開日
2015-03-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201309054Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,000,000円
(2)補助金確定額
19,635,000円
差引額 [(1)-(2)]
365,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 422,528円
人件費・謝金 0円
旅費 1,482,830円
その他 13,120,010円
間接経費 4,610,000円
合計 19,635,368円

備考

備考
自己資金235円、利息133円

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-