難治性固形癌に対する腫瘍選択的融解ウイルスTelomelysinを用いた放射線併用ウイルス療法の臨床研究

文献情報

文献番号
201309042A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性固形癌に対する腫瘍選択的融解ウイルスTelomelysinを用いた放射線併用ウイルス療法の臨床研究
課題番号
H25-医療技術-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 俊義(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 白川 靖博(岡山大学病院 消化管外科)
  • 香川 俊輔(岡山大学病院 消化管外科)
  • 田澤 大(岡山大学病院 新医療研究開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究事業(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Telomelysin(OBP-301)は、腫瘍特異的なhTERTプロモーターを用いた遺伝子改変アデノウイルス製剤であり、がん細胞のみで選択的に増殖して腫瘍融解を引き起す。Telomelysinはウイルスの生活環に由来する巧妙な分子機構を基盤とする遺伝子改変生物製剤であり、従来の抗癌治療とは全く異なる作用機序を有することから独創性の高いシーズである。

本研究では、難治性固形癌である進行食道癌および頭頸部癌患者を対象に、臨床研究として3回のTelomelysinの内視鏡的腫瘍内投与と6週間の放射線治療の併用の安全性および臨床効果を検討することを目的とする。平成25年度の研究計画では、Telomelysinの臨床ロットの輸入と薬理動態解析のためのTelomelysin濃度測定方法のバリデーション実施、臨床研究の開始を達成目標とした。
研究方法
1)臨床研究のためのTelomelysinの調達:米国の第I相臨床試験のためオンコリスバイオファーマ(株)が製造したGood Manufacturing Practice(GMP)規格のTelomelysinの臨床バイアル100本を、Lonza Houston Inc.から岡山大学病院新医療研究開発センター探索的医薬品開発室に輸入・保管した。

2)薬理動態解析のための技術基盤の確立:体液中のTelomelysinの濃度およびヒト血中抗アデノウイルス中和抗体価の測定技術を確立した。

3)放射線併用Telomelysinの臨床研究開始:臨床研究プロトコールに基づいて、適応患者を選定して臨床研究を開始した。
結果と考察
体液中のTelomelysinの濃度測定およびヒト血中抗アデノウイルス中和抗体価測定を受注可能な委託先を選定し、中和抗体価を測定するバイオアッセイ、血漿、喀痰、唾液、尿中のTelomelysin DNAを検出するためのIRES配列を標的とする定量的PCR(SYBR Green法)のバリデーションを行った。

高齢で手術困難かつ腎機能障害で標準的な化学療法ができない82歳の食道癌の女性が受診し、11月25日に院内の遺伝子治療臨床研究審査委員会 安全・効果評価・適応判定部会で審議の後に適応ありと判断された。11月29日、局所麻酔下に内視鏡を用いて胸部食道の患部を注射針で穿刺し、10e10 vpのTelomelysinを0.2 mlずつ5ヶ所に投与した。Telomelysin投与後3日目の12月2日より、1日2Gy、週5日の放射線治療を開始した。平成26年1月17日から85歳の第2例目、また2月21日から92歳の第3例目の食道癌患者への治療開始が開始されている。

平成25年度の総括として、掲げた目標はすべて達成できており、計画は比較的順調に進んでいると言える。
結論
Telomelysinの臨床ロットを輸入し、薬理動態解析のためのTelomelysin濃度測定方法のバリデーションを実施、放射線併用Telomelysinウイルス療法の臨床研究を開始した。

公開日・更新日

公開日
2015-03-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201309042Z