文献情報
文献番号
201307040A
報告書区分
総括
研究課題名
薬用植物、生薬の持続的生産を目指した新品種育成および新規栽培技術の開発並びにこれらの技術移転の基盤構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-創薬-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
菱田 敦之(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター北海道研究部)
研究分担者(所属機関)
- 川原 信夫(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター)
- 渕野 裕之(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター筑波研究部)
- 吉松 嘉代(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター筑波研究部)
- 熊谷 健夫(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター筑波研究部)
- 河野 徳昭(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター筑波研究部)
- 杉村 康司(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター種子島研究部)
- 林 茂樹(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター北海道研究部)
- 伊藤 美千穂(京都大学大学院薬学研究科)
- 村上 則幸(独立行政法人農業食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
46,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日本では高齢社会の到来により一般用漢方薬の利用が増えている。 一方、国内の生薬原料は中国産が83%を占め、近年、中国の経済成長に伴いその価格は上昇している。このような背景から、日本の国内栽培の再開が期待されている。しかしながら、日本の薬用植物の栽培面積は1988年に3,916 haであったが、 2009年には1,839 haに半減し、この間、在来種苗が失われ、地域の指導や技術者の育成が途絶えた。また国内生産量が極めて少ない薬用植物は、品種育成、省力化栽培技術や登録農薬の整備が遅れている。
申請者らは、平成22年度から平成24年の3年計画で行った「優良形質を持った薬用植物新品種の育成及びそれら種苗の安定供給体制構築のための保存、増殖に関する基盤的研究」において、育成したシャクヤク1品種およびハトムギ2品種の試験栽培および生産栽培を開始し、さらにグリチルリチン酸高含量カンゾウ2系統の選抜に成功した。
本研究は、薬用植物の国内栽培の基盤的技術を整備するために、上記の研究をもとに薬用植物の新たな育種、栽培、生産技術等に関する研究をさらに進め、研究で得られた成果の早期実用化のために、企業、行政機関と連携して技術移転や実用化の基盤構築を図ることが目的である。
申請者らは、平成22年度から平成24年の3年計画で行った「優良形質を持った薬用植物新品種の育成及びそれら種苗の安定供給体制構築のための保存、増殖に関する基盤的研究」において、育成したシャクヤク1品種およびハトムギ2品種の試験栽培および生産栽培を開始し、さらにグリチルリチン酸高含量カンゾウ2系統の選抜に成功した。
本研究は、薬用植物の国内栽培の基盤的技術を整備するために、上記の研究をもとに薬用植物の新たな育種、栽培、生産技術等に関する研究をさらに進め、研究で得られた成果の早期実用化のために、企業、行政機関と連携して技術移転や実用化の基盤構築を図ることが目的である。
研究方法
研究の目的を達成するために次の研究を実施した。
1)薬用植物の新品種の育成とその基盤的技術の開発並びに普及:種苗の形質調査、新品種の育成と普及、品種の遺伝子識別、稀少創薬資源植物の収集を行った。
2)薬用植物・生薬の新規生産技術の開発:省力化・機械化栽培技術の開発、栽培環境条件の情報収集、薬用植物の国内栽培化、農薬の適正使用、種苗の効率的増殖と保存、品質評価を行った。
3)薬用植物の国内栽培推進に向けた基盤構築:行政機関と連携して栽培課題の調査、技術移転の拠点確立に取り組み、薬用植物における農薬の作物残留試験の考え方につて有識者による検討会を開催した。
1)薬用植物の新品種の育成とその基盤的技術の開発並びに普及:種苗の形質調査、新品種の育成と普及、品種の遺伝子識別、稀少創薬資源植物の収集を行った。
2)薬用植物・生薬の新規生産技術の開発:省力化・機械化栽培技術の開発、栽培環境条件の情報収集、薬用植物の国内栽培化、農薬の適正使用、種苗の効率的増殖と保存、品質評価を行った。
3)薬用植物の国内栽培推進に向けた基盤構築:行政機関と連携して栽培課題の調査、技術移転の拠点確立に取り組み、薬用植物における農薬の作物残留試験の考え方につて有識者による検討会を開催した。
結果と考察
1)品種の育成と普及では、薬用に適した品種育成を目的に、グリチルリチン酸高含量ウラルカンゾウ系統の特性分類調査を実施して系統No.10を品種出願の候補とした。さらに、カンゾウ属植物の簡便な苗の生産方法を考案し、グリチルリチン酸高含量ウラルカンゾウの大量増殖に成功した。
育成品種の普及では、ハトムギ新品種「はとろまん」は国内2箇所で試験栽培を開始し、北海道で生産栽培を行っているハトムギ「北のはと」は栽培指導を行い、生産栽培量は約10トンであった。
稀少創薬資源植物の収集保存では、ウコンイソマツを調査し、さらにマオウ属植物計13個体について葉緑体DNA trnK領域及び核DNA 18S rRNAの解析を行った。
2)薬新規生産技術の開発では、パワーショベルを用いた従来法と比較して効率的なカンゾウの連続機械収穫方法を考案して特許出願した。さらに薬用植物の栽培適地マップ作成を目的に気象学的手法に基づく解析法を開始した。
効率的な栽培技術および栽培指針作成を目的に、ムラサキ、ナイモウオウギ、サジオモダカ、メハジキ、トウキの栽培試験を行った。さらに除草剤を用いたカノコソウおよびカンゾウの栽培試験を実施して効果、薬害および残留性を検討した。
種子の保存・発芽条件についてウツボグサ等12種を試験し、植物組織培養を用いたアカヤジオウとダイオウの効率的な増殖法を検討した。キバナオウギの品質評価および加工技術の開発を目的に収穫物の乾燥温度による成分の変化を比較検討した。
3)国内栽培推進に向けた基盤構築では、行政、公的研究機関の担当者と検討会を開催し、共通の課題としてトウキとシャクヤクの栽培技術の開発等、さらに薬用植物における登録農薬の適用拡大は都道府県の連携が必要であるとの認識に至った。薬用植物の種苗生産基盤構築では、奈良県においてヤマトトウキ、センブリ、タチバナの実験を開始し、ヤマトトウキにおける抽苔性と生育環境、系統の影響を試験した。
薬用植物における農薬の作物残留試験の考え方について、有識者、業界団体と検討会を開催した。
育成品種の普及では、ハトムギ新品種「はとろまん」は国内2箇所で試験栽培を開始し、北海道で生産栽培を行っているハトムギ「北のはと」は栽培指導を行い、生産栽培量は約10トンであった。
稀少創薬資源植物の収集保存では、ウコンイソマツを調査し、さらにマオウ属植物計13個体について葉緑体DNA trnK領域及び核DNA 18S rRNAの解析を行った。
2)薬新規生産技術の開発では、パワーショベルを用いた従来法と比較して効率的なカンゾウの連続機械収穫方法を考案して特許出願した。さらに薬用植物の栽培適地マップ作成を目的に気象学的手法に基づく解析法を開始した。
効率的な栽培技術および栽培指針作成を目的に、ムラサキ、ナイモウオウギ、サジオモダカ、メハジキ、トウキの栽培試験を行った。さらに除草剤を用いたカノコソウおよびカンゾウの栽培試験を実施して効果、薬害および残留性を検討した。
種子の保存・発芽条件についてウツボグサ等12種を試験し、植物組織培養を用いたアカヤジオウとダイオウの効率的な増殖法を検討した。キバナオウギの品質評価および加工技術の開発を目的に収穫物の乾燥温度による成分の変化を比較検討した。
3)国内栽培推進に向けた基盤構築では、行政、公的研究機関の担当者と検討会を開催し、共通の課題としてトウキとシャクヤクの栽培技術の開発等、さらに薬用植物における登録農薬の適用拡大は都道府県の連携が必要であるとの認識に至った。薬用植物の種苗生産基盤構築では、奈良県においてヤマトトウキ、センブリ、タチバナの実験を開始し、ヤマトトウキにおける抽苔性と生育環境、系統の影響を試験した。
薬用植物における農薬の作物残留試験の考え方について、有識者、業界団体と検討会を開催した。
結論
本年度、グリチルリチン酸高含量ウラルカンゾウウラルカンゾウの特性分類調査を行い、系統No.10が栽培に適すると判断して品種出願の候補とした。さらに、ウラルカンゾウの簡便な大量増殖法を考案して、同系統の大量増殖に成功した。
薬用植物の栽培技術の開発において、カンゾウの連続収穫法を考案して特許出願するとともに、ムラサキ、ナイモウオウギ、サジオモダカ、メハジキ、トウキの国内栽培化、省力化栽培技術に関する試験を行った。
薬用植物の国内栽培推進に向けた基盤構築では、トウキとシャクヤクの栽培技術の開発、さらに薬用植物における登録農薬の適用拡大は都道府県の連携が必要であるとの認識に至った。
薬用植物の栽培技術の開発において、カンゾウの連続収穫法を考案して特許出願するとともに、ムラサキ、ナイモウオウギ、サジオモダカ、メハジキ、トウキの国内栽培化、省力化栽培技術に関する試験を行った。
薬用植物の国内栽培推進に向けた基盤構築では、トウキとシャクヤクの栽培技術の開発、さらに薬用植物における登録農薬の適用拡大は都道府県の連携が必要であるとの認識に至った。
公開日・更新日
公開日
2015-03-03
更新日
-