高齢者介護サービスの質の包括的評価に関する研究

文献情報

文献番号
201301019A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者介護サービスの質の包括的評価に関する研究
課題番号
H25-政策-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
池上 直己(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 石橋 智昭(公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 研究部)
  • 高野 龍昭(東洋大学 ライフデザイン学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、わが国においてアセスメントデータを二次利用したサービスの質の評価体制の実現可能性を探るため、介護保険制度導入後に日本でも主要なアセスメント方式として定着しているインターライ方式(旧名:MDS方式)を対象として、利用者の状態変化に基づく客観的な質の評価モデルを構築する。そのうえで、算出された指標の効果測定および具体的なサービスの質の改善に向けて有用性を検証する。さらに、研究対象は交通機関や通信情報環境等の社会基盤が異なる多様な地区から50か所程度を選定し、算出されたアウトカム指標の地域間の比較分析をから、対象者の生活機能に及ぼす環境因子の影響を明らかにする。 
研究方法
本研究でデータベース化されるアセスメントデータは、インターライ方式ケアアセスメントを用いて入力される。データの入力は、事業所のケアマネジャーや相談員(アセスメント担当者)が、担当利用者のケアプラン作成のために行う。インターライ方式ケアアセスメントはクラウドサービスによって提供されており、アセスメント担当者が担当利用者の状態をアセスメントした後、クラウドサービスを通じてデータ入力を行う。本年度は、対象フィールドを確保するための研修教材の開発と犬種の実施、ダウンロードプログラムの開発、およびデータベースの構築を行った。
結果と考察
対象フィールドの確保するため、研修用教材および体験用ID試用システムを開発し、ウェブ上で公開した。また、研究分担者(石橋智昭)の協力により、全国15か所で計17回の研修を行い、延べ469人のアセスメント担当者および事業所管理者が参加した。取り組みの結果、本年度は、10法人と研究協定書を締結した。
入力されたアセスメントデータをダウンロードするシステムを開発した。なお、本研究事業の実施においては利用者の個人識別番号が不可欠であるが、介護保険の被保険者番号などの既存番号では個人が特定される危険性がある。本研究事業では、居宅介護支援事業所の業務システムとして一元化されたシステム上に、「データのダウンロード時に被保険者番号を除外し、個人を識別し結合させている被保険者番号に変わり、個人情報を連結不能な記号・番号をシステムが自動的に付与する」自動変換機能を採用した。そのほか利用者の基本情報などの個人情報に関しても、ダウンロードシステムの設計段階で協議を重ね、個人情報に該当する項目が含まれないよう供与項目の選定を行った。
ダウンロードシステムを通じてダウンロードしたアセスメントデータから、データベースを構築した。7法人36事業所から、1716件のアセスメントデータをダウンロードした。
結論
本年度は、研修教材の開発、体験用ID発行システムの開発、全国研修の実施によって、10法人と研究協定を締結し、研究を開始することができた。また、ダウンロードシステムを通じて1716件のアセスメントデータをダウンロードし、データベースの構築を開始することができた。
しかし、本年度研究に参加した施設は2事業所のみであり、アセスメントデータのダウンロード件数が少なかった。次年度以降は施設の研究参加数を増やすため、重点的にリクルートを図る必要があると考えられる。
次年度は、協力介護事業所を確保し、データベースを拡大するための取り組みを強化する。具体的には、1年目に作成した教材を介護事業所管理者やケアマネジャーに配信し、アセスメント方式の研修を引き続き行うが、上述したように施設の参加数が不足しているため、重点的な募集を図る。
また、約3000人分のアセスメントデータからQIを算出することを目的とする。QI算出後は、算定された値の国際比較、リスク調整が適切に機能するかの検証、ベンチマーキングのプロフィール指標としての有用性の検証を行う。
最後に、QIを事業者にフィードバックしてケアの質改善効果を検証する予定である。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201301019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,280,000円
(2)補助金確定額
10,280,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,056円
人件費・謝金 3,322,639円
旅費 1,496,330円
その他 4,171,024円
間接経費 1,280,000円
合計 10,280,049円

備考

備考
超過分は自己資金で支出した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-