児童虐待事例の家族再統合等にあたっての親支援プログラムの開発と運用に関する研究

文献情報

文献番号
201301009A
報告書区分
総括
研究課題名
児童虐待事例の家族再統合等にあたっての親支援プログラムの開発と運用に関する研究
課題番号
H24-政策-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 則子(国立保健医療科学院 地域保健システム研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 瀧本 秀美(国立健康栄養研究所 栄養教育研究部)
  • 柳川 敏彦(和歌山県立医科大学 保健看護部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、児童虐待事例の親支援にあたって各地で用いられているさまざまなプログラムを把握し、運用現場での現状や問題点を明らかにした上で、容易に運用できる形に見直し、地域類型別に選択活用出来るような汎用プログラムモジュールを開発することを目的とする。
研究方法
一年度目は児童相談所で実施される親支援プログラムの網羅的分析とアウトカム指標の整理について、日本子ども家庭総合研究所紀要や厚生労働科学研究報告書を平成14年以降レビューし、首都圏で活発な取り組みのある児童相談所にヒアリングを行い、プログラム実施体制の整理、提供体制、人材確保等の観点から児童相談所の類型化等の検討を行うための調査票を完成し、全国調査を実施した。った。二年度目には、全国調査の結果をもとに、地域類型別の実情を考慮した上で親支援プログラムを総合的に検討する。示唆に富む回答のあった児童相談所には、直接出向いてヒアリングを行う。結果を総合して、家族再統合も含め広く子どもを虐待した親への支援プログラムの提供に関するグランドメニューを構築し、児童相談所の地域類型別に親支援プログラムの取り組み方のガイドラインを作成する。
結果と考察
児童相談所で課題となっている児童虐待事例の親子再統合のための親支援プログラムのあり方について明らかにするために、プログラム遂行上の様様な課題について、その特徴や対応等を明らかにしてゆく必要性が生じた。そのため各プログラムを導入している代表的な児童相談所に、各プログラムの参考情報、プログラムの特徴、プログラムが児相に取り入れられた状況、実施のための準備、実施上の問題(導入のタイミング、親のメンタルなどの問題、中断や部分活用、効果の持続など)についての、ヒアリングが行われた。プログラムの研修法や資格は、プログラムによりまちまちであった。プログラムを児相の取り組みとして位置づけてゆくには、実施のための組織を作ってゆくことが重要と思えた。取り入れのきっかけは、熱心な職員の努力によるものであるが多かった。プログラムが外部委託されている場合が多く、人手が不十分な児相が多い現状の中で、重要な方法と考えられた。プログラムによっては、スーパーバイザーを呼べる児相もあったが、おおかたの児相は、職員の互助による研鑽を行っていた。様様な親のニードに応じた実施の方法が必要であることや、導入のタイミングを適切にするための丁寧なケースワークが必要なことも、各プログラムに共通だった。引き取りの目標はプログラム受講のモチベーションにつながること、親のメンタル問題や知的な問題には、個別対応を組み合わせている場合が多かったことが分かった。質問紙調査は、サインズ・オブ・セーフティを実施している46の児童相談所のうち、30カ所から、コモンセンスペアレンティングを実施している91の児童相談所のうち、67カ所から、回答があった。親の努力を認めることで親と児相職員の関係が良くなる場合があることがわかったが、プログラムがマイナスに働く場合については、明確に出来なかった。
結論
各児童相談所に役に立つ形で結果を返してゆく。全国児童相談所の親支援の取り組みについて、細かい情報が網羅的に収集出来ているので、活用の範囲は広い。各児童相談所が全国の児童相談ション全体像を共有することにより、日頃の悩みが多くの児童相談所に共通であることを知り、情報交換や問題解決法模索のための糸口として活用することが出来る。プログラム導入上の課題について現場の声を吸い上げまとめることが出来ているので、各児童相談所が個別の解決策を整理することが出来る。今後研究班でさらに解決策を実践的に整理し直した内容に、これらの解決策を整理した内容に、多くの児童相談所に役に立つ情報をも盛り込んで、ハンドブックを作成した。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
-

文献情報

文献番号
201301009B
報告書区分
総合
研究課題名
児童虐待事例の家族再統合等にあたっての親支援プログラムの開発と運用に関する研究
課題番号
H24-政策-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 則子(国立保健医療科学院 地域保健システム研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 瀧本 秀美(国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部)
  • 柳川 敏彦(和歌山県立医科大学 保健看護部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
家族再統合に当たっての親支援プログラムを考えてゆく上では、広く児童虐待事例における親支援をどのようにして行くかという視点が重要である。なぜならば、児童虐待をおこした親への対応の仕方の基本を押さえることが必要だからである。
本研究では、児童虐待事例の親支援にあたって各地で用いられているさまざまなプログラムを把握し、運用現場での現状や問題点を明らかにした上で、容易に運用できる形に見直し、地域類型別に選択活用出来るような汎用プログラムモジュールを開発することを目的とする。
一年度目は親プログラムの現状や地域での導入の実情を把握する。二年度目には、全国調査の結果をもとに、地域類型別の実情を考慮した上で親支援プログラムを総合的に検討する。示唆に富む回答のあった児童相談所には、直接出向いてヒアリングを行う。結果を総合して、家族再統合も含め広く子どもを虐待した親への支援プログラムの提供に関するグランドメニューを構築し、児童相談所の地域類型別に親支援プログラムの取り組み方のガイドラインを作成する。
研究方法
一年度目は児童相談所で実施される親支援プログラムの網羅的分析とアウトカム指標の整理について、日本子ども家庭総合研究所紀要や厚生労働科学研究報告書を平成14年以降レビューし、首都圏で活発な取り組みのある児童相談所にヒアリングを行い、プログラム実施体制の整理、提供体制、人材確保等の観点から児童相談所の類型化等の検討を行うための調査票を完成し、全国調査を実施した。った。二年度目には、全国調査の結果をもとに、地域類型別の実情を考慮した上で親支援プログラムを総合的に検討する。示唆に富む回答のあった児童相談所には、直接出向いてヒアリングを行う。結果を総合して、家族再統合も含め広く子どもを虐待した親への支援プログラムの提供に関するグランドメニューを構築し、児童相談所の地域類型別に親支援プログラムの取り組み方のガイドラインを作成する。
結果と考察
児童相談所で課題となっている児童虐待事例の親子再統合のための親支援プログラムのあり方について明らかにするために、プログラム遂行上の様様な課題について、その特徴や対応等を明らかにしてゆく必要性が生じた。そのため各プログラムを導入している代表的な児童相談所に、各プログラムの参考情報、プログラムの特徴、プログラムが児相に取り入れられた状況、実施のための準備、実施上の問題(導入のタイミング、親のメンタルなどの問題、中断や部分活用、効果の持続など)についての、ヒアリングが行われた。プログラムの研修法や資格は、プログラムによりまちまちであった。プログラムを児相の取り組みとして位置づけてゆくには、実施のための組織を作ってゆくことが重要と思えた。取り入れのきっかけは、熱心な職員の努力によるものであるが多かった。プログラムが外部委託されている場合が多く、人手が不十分な児相が多い現状の中で、重要な方法と考えられた。プログラムによっては、スーパーバイザーを呼べる児相もあったが、おおかたの児相は、職員の互助による研鑽を行っていた。様様な親のニードに応じた実施の方法が必要であることや、導入のタイミングを適切にするための丁寧なケースワークが必要なことも、各プログラムに共通だった。引き取りの目標はプログラム受講のモチベーションにつながること、親のメンタル問題や知的な問題には、個別対応を組み合わせている場合が多かったことが分かった。質問紙調査は、サインズ・オブ・セーフティを実施している46の児童相談所のうち、30カ所から、コモンセンスペアレンティングを実施している91の児童相談所のうち、67カ所から、回答があった。親の努力を認めることで親と児相職員の関係が良くなる場合があることがわかったが、プログラムがマイナスに働く場合については、明確に出来なかった。
結論
各児童相談所に役に立つ形で結果を返してゆく。全国児童相談所の親支援の取り組みについて、細かい情報が網羅的に収集出来ているので、活用の範囲は広い。各児童相談所が全国の児童相談ション全体像を共有することにより、日頃の悩みが多くの児童相談所に共通であることを知り、情報交換や問題解決法模索のための糸口として活用することが出来る。プログラム導入上の課題について現場の声を吸い上げまとめることが出来ているので、各児童相談所が個別の解決策を整理することが出来る。今後研究班でさらに解決策を実践的に整理し直した内容に、これらの解決策を整理した内容に、多くの児童相談所に役に立つ情報をも盛り込んで、ハンドブックを作成した。

公開日・更新日

公開日
2014-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201301009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
児童虐待対応においては、子どもの安全やケアが重要であることは言うまでもないが、保護者支援もケースワークの要素として重要である。児童虐待における親子関係再構築と再発防止のために、各種保護者支援プログラムの特徴と運用における問題点と解決策を明らかにした。これにより、各種保護者支援プログラムの特徴や限界などが明らかにされ、プログラムの特質にあったタイプの対象者の選定方法や、プログラムの効果の評価法が明らかにされるなど、専門的・学術的に大きい成果が上がった。
臨床的観点からの成果
児童虐待事例は子どもの安全やケアだけでなく、親子関係再構築や再発防止の支援が重要である。本研究は児童相談所における各種プログラムの臨床活用を促進するための研究である。児童虐待事例に各種プログラムを実施することにより、保護者の子どもへのかかわりが改善し、また、保護者自身のコミュニケーション能力が改善するため社会的つながりが良好となるため、生活面や精神面のストレスが軽減し、家族が円滑に機能するようになり、子どもの心身の健全な発達に寄与できるようになった。
ガイドライン等の開発
本研究は、全国児童相談所に保護者支援プログラムの実施状況と運用上の問題点について質問紙調査し、先進好事例について児童相談所担当者に聞き取り調査を行い、さらに運用上の課題と対応策について各保護者プログラム毎に代表的な児童相談所にヒアリングを行い、多くの児童相談所で取り入れられているプログラムについては、実施児童相談所すべてに自由記載による自記式質問紙調査を行った。これらの結果をまとめ、「児童相談所における保護者支援プログラムの活用ハンドブック」を開発した。
その他行政的観点からの成果
児童虐待対応において保護者支援の観点が重要なことが強調されている。保護者支援プログラムが児童相談所に取り入れられるようになった平成14年前後に始まって、近年全国で広がりを見せていることが本研究によって明らかになり、運用上の留意点などについて全国児童相談所に周知する行政ニーズが明確となった。本研究の成果は、「児童虐待対応の手引き」改訂時に反映された。また、2016年児童福祉法改正において反映され、保護者支援の推進、民間資源の活用、そして付帯決議において体罰によらない育児の明記に至った。
その他のインパクト
本研究成果は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局内会議で報告された。その結果として、本研究の成果は親支援プログラムに関する国会答弁等において活用された。全国児童相談所長会議において本研究成果が紹介され、児童福祉関係者から注目された。子ども虐待防止全国集会分科会において本研究の成果が発表され、児童相談所、市町村職員、児童養護施設の職員などからも、大きな関心が寄せられ、ネット上で公開されているハンドブックは、安定したヒット数が保たれている。2015年5月読売新聞の記事となった。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-06-06
更新日
2018-08-02

収支報告書

文献番号
201301009Z