文献情報
文献番号
201237002A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機事象の早期探知システムの開発・普及に関する研究
課題番号
H22-健危-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
浅見 泰司(東京大学 大学院工学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 郡山 一明(財団法人救急振興財団救急救命九州研修所)
- 有川 正俊(東京大学 空間情報科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,647,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
健康危機情報を自動収集し、空間関係を分析・評価して健康危機事象の早期探知に資するシステムを開発し、有効性を評価する。このために、WebSDMSSというシステムを構築する。また、空間情報解析の有益性を検討するための具体的な対象として、健康危機事象の分析も行い、システム開発の方向性について有用な知見を得る。
研究方法
以前に開発したSDMSを、クラウドコンピューティングに対応するウェブ版のシステムを開発した。モデル分析では、地域情報分析方法の開発および実データを用いた適用により、健康危機事象の早期探知システムに有効な構築環境を用意することを目的として、宮城県仙台市の小学校欠席状況調査データを用い、2009年の新型インフルエンザを対象として、流行モデルを分析した。施策反映分析では、新興感染症の市町村レベルでの対応として、市町村行動計画の作成とその具体的な方法を探った。また、緊急被ばく医療チームの放射線災害対応ガイドを作成した。
結果と考察
リアルタイム情報入手先としてE-mailを想定し、システム開発を行った。また、ユーザビリティ(使いやすさ)やスケーラビリティ(データやユーザの大量性への対応)の観点から改良を行った。開発したWebSDMSSを一般公開した。
モデル分析では、仙台市内の全市立小学校125校を対象とし、インフルエンザを理由とした欠席者数を分析用データとした。感染症の時空間流行モデルより、校区内影響パラメータおよび校区外影響パラメータ、回復パラメータ、移動量に関わる校区間影響パラメータ、そして感染発症パラメータについて、それぞれの小学校の各時点での欠席者数と校区間のトリップ数のデータから推定した。同時に、対象地域外に関しては初期感受性人口、および対象地域外の感染人口を求めた。分析の結果、校区間の移動量の増加に伴って、感染への影響はほぼ一定の割合で増加していた。
施策反映分析では、小学校の在籍者数状況をクリギング化した「在籍クリギング図」を作成し、流行状況を調べた。新型インフルエンザ等対策特別措置法において、市町村が行うべきことで感染拡大に関する事項を整理した。また、放射線の緊急被ばく医療チームが確認すべき情報を整理した。これをもとに、ガイドを作成した。
WebSDMSSでは、Google Mapsを利用し世界地図の表示が可能になった。使い勝手を良くするために、改良を行った。ドキュメント上の地名や住所は、ジオタグが付けられ、ハイライト表示されているが、それをマウスなどで選択すると、それに対応する地図上の場所に地図の中心に来る表示機能を実現した。また、地図上の対象物を選択すると、ドキュメント中の地名や住所がハイライトするという表示も可能にした。WebSDMSSで抽出できた地理空間データに対して、より高度な可視化や空間解析を行う場合は、他のウェブAPIと連携できる枠組みを実現した。東日本大震災ビッグデータワークショップ-Project 311-で、朝日新聞の提供データを、WebSDMSSを使って、地図化を行い、その実用性を参加者に示した。
モデル分析では、モデルより得られた欠席者数の推定量と実際の欠席者数との間の適合度について考察を行ない、多くの小学校で欠席者数の理論値と観測値の関連性が強いことを示した。
施策反映分析では、再生産係数によって健康危機事象を整理した。
感染症から国民の生命・身体を護り、生活・経済活動への影響を最小限にするには、市町村レベルにおいても、発生の把握、病状解析、拡大状況の把握、対象となりやすい集団の把握、伝染要因の把握を、意識して行うことが有効である。
モデル分析では、仙台市内の全市立小学校125校を対象とし、インフルエンザを理由とした欠席者数を分析用データとした。感染症の時空間流行モデルより、校区内影響パラメータおよび校区外影響パラメータ、回復パラメータ、移動量に関わる校区間影響パラメータ、そして感染発症パラメータについて、それぞれの小学校の各時点での欠席者数と校区間のトリップ数のデータから推定した。同時に、対象地域外に関しては初期感受性人口、および対象地域外の感染人口を求めた。分析の結果、校区間の移動量の増加に伴って、感染への影響はほぼ一定の割合で増加していた。
施策反映分析では、小学校の在籍者数状況をクリギング化した「在籍クリギング図」を作成し、流行状況を調べた。新型インフルエンザ等対策特別措置法において、市町村が行うべきことで感染拡大に関する事項を整理した。また、放射線の緊急被ばく医療チームが確認すべき情報を整理した。これをもとに、ガイドを作成した。
WebSDMSSでは、Google Mapsを利用し世界地図の表示が可能になった。使い勝手を良くするために、改良を行った。ドキュメント上の地名や住所は、ジオタグが付けられ、ハイライト表示されているが、それをマウスなどで選択すると、それに対応する地図上の場所に地図の中心に来る表示機能を実現した。また、地図上の対象物を選択すると、ドキュメント中の地名や住所がハイライトするという表示も可能にした。WebSDMSSで抽出できた地理空間データに対して、より高度な可視化や空間解析を行う場合は、他のウェブAPIと連携できる枠組みを実現した。東日本大震災ビッグデータワークショップ-Project 311-で、朝日新聞の提供データを、WebSDMSSを使って、地図化を行い、その実用性を参加者に示した。
モデル分析では、モデルより得られた欠席者数の推定量と実際の欠席者数との間の適合度について考察を行ない、多くの小学校で欠席者数の理論値と観測値の関連性が強いことを示した。
施策反映分析では、再生産係数によって健康危機事象を整理した。
感染症から国民の生命・身体を護り、生活・経済活動への影響を最小限にするには、市町村レベルにおいても、発生の把握、病状解析、拡大状況の把握、対象となりやすい集団の把握、伝染要因の把握を、意識して行うことが有効である。
結論
WebSDMSS(ウェブ空間ドキュメント管理共有サービス)は予定どおり開発を行い、一般公開することができた。WebSDMSSに関しては、大量のデータを扱えるかどうかに関する耐久テストも行って、その安定性は確認できた。ユーザ中心デザインの観点からは、使いやすいユーザインタフェースを実現している。リアルタイム危機情報管理に関しても、拡張性が高いメールベースの枠組みとして実現した。今後は、WebSDMSSの普及活動を通して、健康危機管理の領域で貢献したい。
本研究で採用した感染症対応の考え方は、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づくものであり、原子力災害対策は災害対策基本法及び原子力災害対策特別措置法に基づくものである。空間情報を応用することで、いずれの法においても、その基本概念の具体化の質を上げることができる。
福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえて、原子力発電所立地地域以外の地域における緊急被ばく医療チームの活動ガイドを作成し、福岡県地域防災計画原子災害対策に応用した。
本研究で採用した感染症対応の考え方は、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づくものであり、原子力災害対策は災害対策基本法及び原子力災害対策特別措置法に基づくものである。空間情報を応用することで、いずれの法においても、その基本概念の具体化の質を上げることができる。
福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえて、原子力発電所立地地域以外の地域における緊急被ばく医療チームの活動ガイドを作成し、福岡県地域防災計画原子災害対策に応用した。
公開日・更新日
公開日
2013-05-28
更新日
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