全国のサリドマイド胎芽病患者の健康、生活実態に関する研究

文献情報

文献番号
201235027A
報告書区分
総括
研究課題名
全国のサリドマイド胎芽病患者の健康、生活実態に関する研究
課題番号
H23-医薬-指定-023
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
吉澤 篤人(独立行政法人国立国際医療研究センター病院 総合診療科)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 壯介(独立行政法人国立国際医療研究センター病院 病院長)
  • 蓮尾 金博(独立行政法人国立国際医療研究センター病院 放射線診療部)
  • 森吉 百合子(独立行政法人国立国際医療研究センター病院 人間ドック科)
  • 今井 公文(独立行政法人国立国際医療研究センター病院 精神科 )
  • 新保 卓郎(独立行政法人国立国際医療研究センター 臨床研究センター)
  • 栢森 良二(帝京大学医学部 リハビリテーション科)
  • 小林 毅(千葉県立保健医療大学 リハビリテーション学科 作業療法学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
23,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
サリドマイド胎芽病者の身体および生活実態を調査することで「サリドマイド胎芽病」の医学的真実と健康および生活の実態を把握し、適切な支援のあり方を検討することを目的した研究である。
研究方法
・国立国際医療研究センター病院、帝京大学医学部附属病院および京都医療センター健診センターにおいて、計30名のサリドマイド胎芽病者に日帰り健診を行った。
・2012年6月の時点で生存している日本人のサリドマイド胎芽病者295人のうち、サリドマイド胎芽病者の福祉団体(公益財団法人「いしずえ」)が住所を把握している286人全員を対象としてアンケート調査を実施した。調査期間は2012年6月~10月で「いしずえ」を通じて調査票を郵送し、研究代表者宛で郵送回収した結果を解析した。
・「いしずえ」が全国5都市で主催した地域交流会に研究者が同席し、グループヒアリングと個別聞き取り調査を実施した。
・「いしずえ」の倉庫内と帝京大学医学部附属病院が保存されていた過去の診療情報を電子保存化した。帝京大学医学部附属病院に保存されていた頸椎レントゲン写真の所見を再検証した。
結果と考察
・健診受診者の50%が脂質異常症であった。
・上肢欠損者は筋肉量が少ないことから腎機能の評価は注意を要することを提言した。
・上肢欠損者には肥満の定義がなく、血圧測定方法も定まっていない。したがって、動脈硬化性疾患を予防する観点から高血糖と脂質異常症の評価が重要である。また、これらを早期に診断ため、定期的な健診は重要である。
・生活実態調査からサリドマイド胎芽病者が多彩な問題に直面していることと肩こりや腰痛などの自覚症状を訴えている割合が同世代の約2倍であった。
・上肢障害者の透析導入はその障害の程度にかかわらず極めて困難と推察される。人工透析の導入を避けるための腎機能の保護戦略は重要な課題である。
・生活実態調査の結果に関する理解を広めるため、概要版とその英語版を作成した。
・過去の医療記録を検証した結果、217名中24名(11%)に頸椎の塊椎が認められた。
・「いしずえ」の倉庫内にある過去の医療情報を電子保存化し、閲覧可能なシステムを構築した。
結論
・サリドマイド胎芽病者の障害の区分とその程度に大きな差があるため、日常生活で困難を感じている事項は極めて多様である。
・家事や掃除など家庭内での作業に困っているもののこれを支援するサービスが事実上ないことが伺える。
・ニーズに見合うサービスのあり方を検討することは難しいが、上肢障害者の受診を支援する移動介助、聴覚障害者の診療を支援する手話通訳の派遣などは優先的に検討すべきである。
・動脈硬化性疾患を予防するためにも健診の必要性は高い。
・サリドマイド胎芽病者の受診を支援する「医療者向けQ&A」の作成が喫緊の課題であると考えたため、国立国際医療研究センターのホームページでQ&A(試用版)を公表した。

公開日・更新日

公開日
2013-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201235027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
30,000,000円
(2)補助金確定額
30,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,955,037円
人件費・謝金 911,400円
旅費 942,788円
その他 19,290,847円
間接経費 6,900,000円
合計 30,000,072円

備考

備考
72円は銀行利息である。

公開日・更新日

公開日
2014-07-01
更新日
-