輸入食品のすり替え防止ステルスコードの開発

文献情報

文献番号
201234035A
報告書区分
総括
研究課題名
輸入食品のすり替え防止ステルスコードの開発
課題番号
H24-食品-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
河野 俊夫(高知大学 教育研究部自然科学系農学部門)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 昨今、食品の流通管理において、産地不明な海外産の冷凍食品を国産の取引価格の高いブランドにパッケージ偽装する事件が起こり、国民の食の安全に対する不安を煽っている。 
 工業製品であればICタグによって違法な製品を排除・摘発することができるが、食品の場合は、「梱包容器に」ICタグなどの識別ラベルを貼り付けることは可能であっても、食品自体に貼り付けることは不可能である。それゆえ、梱包内容物である食品をすり替えさえすれば、違法なものを、正規品やブランド食品として容易に流通させることが可能である。
したがって、食品の安全管理は、基本的に「食品自体へのラベル貼り付け」でなければ難しい。
 そこで、冷凍ものの多い輸入食品の、内容物すり替えを防止することを目的として、食品自体に直接貼り付け可能な食用暗号コード(食用ステルスコードと呼ぶ)について研究を行った。2012年度は、コード素材となる候補物質について検討した。
 食用ステルスコードは、非破壊検出による検査時間の短縮化と全数検査、検査費用の大幅コストダウンが期待でき、DNA鑑定の前段階としてのスクリーニングなどに利用することで、検査対象の拡大と検査スピードおよびその精度を上げるためのハイテクラベルによる「直接識別管理法」である。我が国に輸入される食品の安全を水際で「全数スクリーニング」するための技術として、将来活用できるものと考える。
研究方法
 冷凍食肉またはその加工食品(ターゲット冷凍食品)を対象として、近赤外~中赤外の波長域(主として近赤外域)での反射分光特性を測定し、その表面物性に合った食用ステルスコードの候補物質を研究した。認可された食品添加物の中から9種を選び、それを対象冷凍物にプリントして光を照射した際に、対象冷凍物と食品添加物の反射分光スペクトルを識別するための固有バンド(固有波長)を二次微処理により分析し、コード素材候補物質としての適性(識別性)を調査した。
結果と考察
 ターゲット冷凍食品、食品添加物および水分それぞれの反射分光スペクトルを測定し、二次微分処理後の波形分析により、ターゲット冷凍食品と水分の波形とは異なる食品添加物の特徴点(食品添加物の識別波長)を調査した。その結果、食品添加物の種類によるが、2点~5点の波長を、それぞれの食品添加物の識別候補波長として選び出すことができた。供試した食品添加物のうち、2種を除いた7種の食品添加物では、得られた識別候補波長に異なる波長のものが存在し、食品添加物を互いに識別することができることを確認できた。
結論
 冷凍食品の安全管理・暗号化コードに適した素材を調査することを目的として、9種の食品添加物をコード素材の候補として用い、ターゲット冷凍食品に直接ラベルした場合に、基材となる冷凍食品と区別(識別)可能な固有波長(候補)を求めた。得られた識別波長はまた、9種のうち7種について食品添加物ごとに互いに異なっていることから、複数の食品添加物をコード素材として同時に用いることができる可能性が示された。このことは、コード作成の際に同時に利用できる素材物質を増やすことができることを意味し、コードの暗号化デザインの際に役立つものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2013-06-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201234035Z