地域医療連携の全国普及を目指した地理的境界や職種の境界を超えた安全な情報連携に関する研究

文献情報

文献番号
201232039A
報告書区分
総括
研究課題名
地域医療連携の全国普及を目指した地理的境界や職種の境界を超えた安全な情報連携に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-032
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
田中 博(東京医科歯科大学 難治疾患研究所生命情報学)
研究分担者(所属機関)
  • 原 量宏(香川大学医学部・医療情報学)
  • 水野 正明(名古屋大学医学部附属病院 先端医療・臨床研究支援センター)
  • 武藤 真祐(医療法人社団 鉄祐会 祐ホームクリニック)
  • 辰巳 治之(札幌医科大学大学院・生体情報形)
  • 柏木 賢治(山梨大学医学工学総合研究部・眼科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地理的境界や職種の境界を超えた情報連携を実現するため、現状を調査し、必要な技術面等の課題を明らかにし、その解決方法を検証し提言を行い地域医療連携の全国的普及に向けて貢献することを目的とする。
研究方法
研究には、代表的な地域医療情報連携の推進者を集め、研究班を「圏域連携分科会」と「多職種連携分科会」に分けて各課題の検討と解決案作成を遂行すると共に、全体での総括討議を行い、提言を作成する。
結果と考察
多職種連携分科会では検討の結果、疾患の三次予防における多職種連携(糖尿病透析予防指導管理に代表される慢性疾患の重症化予防)と、地域包括ケアにおける医療・看護・福祉・行政の連携とでは課題が異なり、個別的検討が必要であることが分かった。
圏域連携分科会では、検討の結果、地理的境界における地域医療連携の融合と、二次医療圏を超えた地域医療連携の全県的統合のそれぞれについて、検討が必要であることが分かった。
多職種間の情報連携については、疾患の三次予防における多職種連携と、地域包括ケアにおける多職種連携を層別化した上で、疾患の三次予防における多職種連携においては、「多職種間共通課題の設定」、「情報の共有範囲の設定」、「セキュリティ要件」、地域包括ケアにおける多職種連携においては「協働すべき医療ケアの共通課題の設定」、「情報の共有範囲の設定」、「セキュリティ要件」が検討すべき課題である。
地理的境界を越えた情報連携においては、地理的境界における地域医療連携の融合において、運用上クリアしなければならない課題として「セキュリティポリシーの違い」、「費用負担の問題」、「同意書等書式の違い」、「同意書取得運用方法の違い」、「入会運用フローの違い」、「連携施設追加の方法確立」が挙げられる。二次医療圏を超えた地域医療連携の全県的統合においては、異なる地域医療連携システム間の連携にはポータルサイトを介する方法が最初の段階としては有効であるが、最終的な方式としては、SS-MIXと日本の実情に対応させたIHE XCA (Cross Community Access)を基礎に連携を図る全県域サーバと県域共通IDをベースにした医療福祉クラウドの構築によって、圏域を超えた地域連携を行うことができる。
結論
多職種間の情報連携については、医療の三次予防における多職種連携と、地域包括ケアにおける多職種連携を層別化し、多職種間の有効なコミュニケーション形態を検討する必要がある。疾患の三次予防における多職種連携においては、糖尿病における地域医療連携のミニマルデータセットに倣い、脳卒中においては維持期ケアにおける連携が重要であるとし、維持期ケアにおける共通内容を設定する。
圏域を超えた連携については、全県域サーバと県域共通IDをベースにした医療福祉クラウドの構築を検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201232039Z