国際化に対応した科学的視点に立った日本漢方診断法・処方分類および用語の標準化の確立

文献情報

文献番号
201232029A
報告書区分
総括
研究課題名
国際化に対応した科学的視点に立った日本漢方診断法・処方分類および用語の標準化の確立
課題番号
H24-医療-一般-022
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
並木 隆雄(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 貝沼 茂三郎(九州大学 大学院医学研究院)
  • 柴原 直利(富山大学 和漢医薬学総合研究所)
  • 中口 俊哉(千葉大学 工学部)
  • 藤井 泰志(東京女子医科大学 医学部)
  • 三潴 忠道(福島県医科大学 医学部)
  • 渡辺 賢治(慶應義塾大学 医学部)
  • 矢久保 修嗣(日本大学 医学部)
  • 横田 理(日本大学 工学部)
  • 山崎 真巳(千葉大学 大学院薬学研究院)
  • 元雄 良治(金沢医科大学 医学部)
  • 津谷 喜一郎(東京大学 薬学系研究科)
  • 形井 秀一(筑波技術大学 保健科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
22,976,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2009年国際標準化機構(ISO)のTC249において中国伝統医学をルーツとする医学の国際標準化への検討が始まった。中国が中医学の国際準化を狙う緊迫した国際情勢の中,日本は自国の伝統医学を守る義務がある。そこで日本伝統医学概念の標準化と連動して,本研究ではその基盤となる臨床的診断法の標準化を確立することを目的とする。

研究方法
上記を踏まえ7つの分担班で研究を行った。日本伝統医学の独自性を保ちつつ,科学的な手法で診断法(舌・腹・脈)の標準化,科学的な手法による漢方薬分類ともぐさの品質や安全性研を2012年より新たに推進する。これまでの経過を踏まえ、国際標準化と国際化の動向調査を継続した。
結果と考察
1)舌診研究班:一定の条件で舌の撮影がおこなえる舌撮影装置を用いて疾患との関連を検討実施。
日本において舌診における文献的調査は終了し、舌診所見の標準化案(臨床診断記載)が完成した。
2)腹診研究班:日本漢方における権威者の腹診DVDの文字起こしをおこなった。シミュレータで
典型的な漢方医学的腹証所見を再現した成人の腹部モデルや腹力を標準化するための腹部モデルを作成。
3)脈診研究班:手技の標準化や脈証の標準化のための脈診シミュレータ開発の基礎実験を実施した。
4)漢方薬分類班ノンターゲット分析による漢方方剤メタボローム解析方法の確立(学会発表を複数回)
5)国際標準化研究班:ISO/TC249国内対策委員会および国際標準作成作業(国際対応)を実施した
6)医薬政策研究班:中国医学標準化動向調査を行い、結果の解析を配布した
7)鍼灸研究班:モグサの安全性や規格等に関する実験研究、日中韓におけるモグサの原材料であるヨモギの実地調査、およびモグサの製造に関する実地調査を実施した。
全分野ともおおむね、初年度は予定通りの進捗状況である。
結論
近年ISO(TC249)に中医学の国際標準化を提訴した中国に対し,我が国の標準として提起できる伝統医学の資料がない。このような状況を踏まえ,日本伝統医学の学問的整備と標準化をすすめていた。漢方の診察法の研究を中心にいまだ標準化がされていない部門を研究した。
1)舌診研究班:全国の研究協力施設の専門医を中心とした舌診所見の標準化案が完成し、千葉大のホームページで公開中。また、研究成果は、年度末にオープン会の舌診研究会で公表する予定。
2)腹診研究班:腹診シミュレータとして,典型的な漢方医学的腹証所見を再現した成人の腹部モデルを平成25年6月の東洋医学会の会場で展示し、公表することとした。さらに専門家による評価を行う。
3)脈診研究班は、他の専門家との懇談により、開発の速度を速める。さらにプロトタイプを作成する。
4)漢方薬分類班:学会発表、論文作成中をとおして、漢方方剤メタボローム解析方法を周知させる。
5)国際標準化研究班:雑誌の発売や学会でのISOに関する講演会を通して、活動を知らせる。
6)医薬政策研究班:情報源として、タイムリーに日本語に翻訳整理して関係者に伝える。
7)鍼灸研究班:日本国内およびISO会議でも日本のもぐさの品質の安定性と安全性の根拠として情報提供する。
方針である。

公開日・更新日

公開日
2013-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201232029Z