日常的な医療の質の評価指標の標準化と公表方法に関する開発研究

文献情報

文献番号
201232016A
報告書区分
総括
研究課題名
日常的な医療の質の評価指標の標準化と公表方法に関する開発研究
課題番号
H24-医療-一般-009
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
河北 博文(公益財団法人日本医療機能評価機構 財団)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 邦彦(日本医師会)
  • 福井 次矢(日本病院会、聖路加国際病院)
  • 稲波 弘彦(全日本病院協会、岩井整形外科内科病院)
  • 亀田 俊忠(公益財団法人日本医療機能評価機構、VHJ機構)
  • 森實 敏夫(公益財団法人日本医療機能評価機構)
  • 橋本 廸生(公益財団法人日本医療機能評価機構、横浜市立大学)
  • 山口 直人(公益財団法人日本医療機能評価機構、東京女子医科大学衛生学公衆衛生学II講座)
  • 長谷川 友紀(公益財団法人日本医療機能評価機構、東邦大学医学部社会医学講座)
  • 今中 雄一(公益財団法人日本医療機能評価機構、京都大学大学院)
  • 後 信(公益財団法人日本医療機能評価機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
外部からは見えにくい「医療の質」について、標準化された医療の質指標を用いて評価・公表されるようになることで、医療の質に関する情報が国民に開示されるだけでなく、医療の質向上に対する医療機関および医療従事者自身の動機付けとなることが期待され、日本全体の医療の質の向上および均てん化に貢献できる。本研究では、前述の目的のため、1. 医療の質に関する指標ライブラリの構築、2. 医療の質に関する指標の標準化 (指標の定義プールの検討・設定)、3. 医療の質の評価・向上に関する取り組みの共有、4. 医療の質評価に関する情報公開のあり方 の4つのテーマに沿って研究を進めた。
研究方法
国内で先行して実施されている診療の質評価指標を収集し、質指標を閲覧・比較できるwebサイト「医療の質指標ライブラリ」を設計した。また、DPCデータを利用した指標を中心に、今後の指標の定義の標準化 (共通化) の土台として質指標の定義の集合体である指標プールを構築した。さらに、指標を活用した改善事例を紹介し、より多くの病院での実践を促す目的で「クォリティ・インディケータ・フォーラム (以下QIフォーラム)」を開催した。一方、指標の公表のあり方については、患者・家族、マスメディア等、医療提供者以外の立場からも意見を収集し、検討を進めた。
結果と考察
1. 医療の質指標ライブラリおよび指標プールの構築
「医療の質指標ライブラリ」の設計・開発を行った。疾患名や指標の種類 (疾患領域、病院全体、等) で指標を絞り込めるようにし、同種の指標の定義を比較しやすいようにした。
2. 医療の質指標の定義プールの設定
指標の標準化については、医療現場での自主的な取り組みを推進することが重要であると再認識された。そこで、診療ガイドラインやエビデンスに基づく指標の定義をプールして共同で維持、管理、発展できるようにすることとした。まず、平成23年度厚生労働科学研究補助金 (地域医療基盤開発推進研究事業) の成果を活用してDPCデータに基づく「共有の指標定義プール」を設定した。
3. 質の改善事例の情報交換と促進
QIフォーラムを開催し、質指標を活用した改善の実績を4病院に講演いただいた。PDCAのCおよびAについてそれぞれ工夫している状況を共有することで、他の病院での活動に刺激を与えることができた。
4. 質の指標の公表のあり方について
班会議委員に患者・家族およびマスメディアの立場の研究協力者に参加いただき、患者や家族等一般国民のニーズの把握に努めた。今後、指標の標準化と公表に向けて、リスク調整等の諸課題について引き続き検討を進める。
結論
指標ライブラリの公開およびQIフォーラムの開催により、病院等において医療の質の評価・向上に取り組んでいる職員をサポートすることができ、さらに自律的・積極的な活動を促すことができる。また、患者やマスメディアを交えて公表のあり方を検討することにより、医療者だけでなく、患者や一般国民にとってもわかりやすく利用しやすいかたちで取り組みの成果を公表できるようになる。
以上のことから、本研究は、わが国の医療の質の向上・均てん化、および医療に対する患者・国民の信頼の確保に大きく寄与するものであるといえる。

公開日・更新日

公開日
2013-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201232016Z