文献情報
文献番号
201231055A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子修復異常症(Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群、RAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群)の実態調査、早期診断法の確立に関する研究
課題番号
H23-難治-一般-075
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
金子 英雄(独立行政法人国立病院機構長良医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
- 深尾 敏幸(岐阜大学大学院医学系研究科 小児病態学)
- 谷内江 昭宏(金沢大学医薬保健研究域医学系 小児科)
- 清河 信敬(独立行政法人国立成育医療センター研究所 小児腫瘍学)
- 内田 靖(独立行政法人国立病院機構長良医療センター 小児科)
- 滝田 順子(東京大学医学部附属病院 無菌治療部)
- 山崎 直也(国立がんセンター 皮膚腫瘍科)
- 田内 久道(愛媛大学医学部附属病院 小児科)
- 加藤 善一郎(岐阜大学医学部附属病院 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
Bloom症候群は、生下時からの小柄な体型、日光過敏性紅斑、免疫不全を特徴とする常染色体劣性の遺伝病である。さらに際立った特徴は、高率に癌腫が合併することである。国外での報告では、20歳代までに約1/3のBloom症候群がなんらかの癌腫を発症している。また、複数の癌腫を合併することもしられており、早期に診断して、定期的にフォローすることが重要である。一方、Rothmund-Thomson症候群は、小柄な体型、日光過敏性紅斑、多形皮膚萎縮症を特徴とする常染色体劣性の遺伝病である。同様に高率に癌腫(特に、骨肉腫、皮膚扁平上皮癌等)を合併する。RAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群はRothmund-Thomson症候群の類縁疾患である。
病因遺伝子はDNAの複製・修復に関与するDNAヘリカーゼであるBLM遺伝子とRECQL4遺伝子である。これらは同様な症状を示し、診断に苦慮する場合も少なくない。今までに報告されたBloom症候群の個々の症例について詳細に解析を行った。迅速診断法の確立、免疫能の解析のためT細胞レパートアを解析した。また、RAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群の二次調査を行った。Rothmund-Thomson症候群類似の疾患の病因遺伝子解析を行った。
病因遺伝子はDNAの複製・修復に関与するDNAヘリカーゼであるBLM遺伝子とRECQL4遺伝子である。これらは同様な症状を示し、診断に苦慮する場合も少なくない。今までに報告されたBloom症候群の個々の症例について詳細に解析を行った。迅速診断法の確立、免疫能の解析のためT細胞レパートアを解析した。また、RAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群の二次調査を行った。Rothmund-Thomson症候群類似の疾患の病因遺伝子解析を行った。
研究方法
一次アンケートは、今までに当該施設においてBloom症候群またはRothmund-Thomson 症候群、RAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群の確定例または、疑い例を診療したことがあるかについて、質問した。送付先は、全国の小児科専門医研修施設515病院、皮膚科専門医研修施設500病院、がん診療拠点病院377病院に対して、アンケート調査を行った。一次調査で診療経験ありの回答を得た施設に二次調査票を送付し、詳細な検討を行った。
Bloom症候群において、長期経過観察を行った症例と、造血器腫瘍が認められた症例につきそのプルトコールを解析した。
Bloom症候群では、免疫機能に障害が認められるが、免疫細胞のどの分化段階で、障害が生じているかを明らかにするためT細胞のレパートアについてフローサイトメーターを用いて解析した。
Bloom症候群の病因遺伝子産物BLMの発現を迅速に解析することでBloom症候群の、簡易スクリーニング法を確立するために、細胞の培養条件を変えて、発現の変化について検討した。
Bloom症候群において、長期経過観察を行った症例と、造血器腫瘍が認められた症例につきそのプルトコールを解析した。
Bloom症候群では、免疫機能に障害が認められるが、免疫細胞のどの分化段階で、障害が生じているかを明らかにするためT細胞のレパートアについてフローサイトメーターを用いて解析した。
Bloom症候群の病因遺伝子産物BLMの発現を迅速に解析することでBloom症候群の、簡易スクリーニング法を確立するために、細胞の培養条件を変えて、発現の変化について検討した。
結果と考察
Bloom症候群の長期経過では、二次がんの出現がみられること、Bloom症候群の血液腫瘍における抗がん剤投与では、抗がん剤を減量したプルトコールが用いられていることが明らかになった。フローサイトメーターを用いたBLMタンパクの検出法を確立した。さらに、姉妹染色分体組み換えを簡便にフローサイトメーターにより、検出するための基礎的検討を行った。Bloom症候群における免疫不全の病態をT細胞リセプターのレパートアを解析し明らかにした。Rothmund-Thomson の類縁疾患であるRAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群の二次調査を行いそれぞれ、1例と2例を確認した。遺伝子解析は行われていない症例が多く、今後遺伝子解析をもとに、これらの疾患を整理して分類できる可能性があると考えられた。Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群の、生命予後を左右するのは、悪性腫瘍の合併である。長期経過では、2次癌の出現が観察される。今回、3症例の治療プロトコールについて検討したが、今後さらに症例を集積していきたい。
結論
Bloom症候群、Rothmund-Thomson症候群、RAPADILINO症候群、Baller-Gerold症候群の本邦における実態を明らかにするとともに、Bloom症候群の免疫機能の解析、タンパク診断による迅速な診断法を確立した。
公開日・更新日
公開日
2013-05-16
更新日
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