難治性膵疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201231043A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性膵疾患に関する調査研究
課題番号
H23-難治-一般-027
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
下瀬川 徹(東北大学 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 雅夫(九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科)
  • 武田 和憲(独立行政法人国立病院機構仙台医療 センター外科)
  • 片岡 慶正(大津市民病院、京都府立医科大学消化器内科学(兼務))
  • 竹山 宜典(近畿大学医学部外科学)
  • 伊藤 鉄英(九州大学大学院医学研究院病態制御内科)
  • 木原 康之(北九州総合病院)
  • 成瀬 達(みよし市民病院)
  • 石黒 洋(名古屋大学総合保健体育科学センター/医学系研究科健康栄養医学(兼任))
  • 阪上 順一(京都府立医科大学消化器内科学)
  • 丹藤 雄介(弘前大学医学部附属病院内分泌代謝内科学)
  • 廣岡 芳樹(名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部)
  • 岡崎 和一(関西医科大学医学部内科学第三講座消化器内科学)
  • 神澤 輝実(東京都立駒込病院消化器内科)
  • 川 茂幸(信州大学総合健康安全センター)
  • 乾 和郎(藤田保健衛生大学坂文種報德會病院 消化器内科学)
  • 糸井 隆夫(東京医科大学病院消化器内科)
  • 峯 徹哉(東海大学医学部消化器内科)
  • 能登原 憲司(倉敷中央病院病理検査科)
  • 平野 賢二(東京大学消化器内科)
  • 白鳥 敬子(東京女子医科大学消化器内科学)
  • 真弓 俊彦(一宮市立市民病院)
  • 伊佐地 秀司(三重大学大学院医学系研究科肝胆膵・ 移植外科学)
  • 大原 弘隆(名古屋市立大学大学院医学研究科生体防御・総合医学専攻地域医療教育学分野)
  • 佐田 尚宏(自治医科大学消化器・一般外科)
  • 大西 洋英(秋田大学大学院医学系研究科消化器内科学・神経内科学講座)
  • 木村 理(山形大学医学部外科学第一講座(消化器・乳腺甲状腺・ 一般外科))
  • 杉山 政則(杏林大学医学部外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
48,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成24年度は、急性膵炎・重症急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎の全国調査を行い、平成23年(2011年)一年間の受療患者数、新規発症数を推定し、本研究班の前回全国調査結果(2007年)と比較し、これら難治性膵疾患の本邦における動向を明らかにすることを最重要課題とする。また、一次調査に回答のあった施設を対象に二次調査を行い、調査結果を解析することによって平成20-23年度に本研究班が提案した各種診断基準、各種診療指針の妥当性を評価する。急性膵炎・重症急性膵炎では、重症急性膵炎治療開始のゴールデンタイムを設定し、致命率改善のために最も有効な診療体系を提言する。慢性膵炎では、慢性膵炎臨床診断基準2009の妥当性を評価し、患者予後の改善を目指した診断・治療法を提言する。自己免疫性膵炎では、国際コンセンサス診断基準(ICDC)および自己免疫性膵炎臨床診断基準2011の妥当性を評価し、診療ガイドラインの改訂を行う。膵嚢胞線維症患者の主治医登録制度を設置し、新規薬剤の患者への速やかな提供体制を確立するとともに、患者の診療実態を明らかにする。
研究方法
平成24年度は、層化無作為抽出法により選定された診療科に対して、急性膵炎・重症急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎に関する一次調査票を送付し、受療患者数を全国疫学調査マニュアルにより推定した。また、一次調査で患者有りと回答が得られた施設について二次調査票を送付した。
結果と考察
◯ 2011年1年間の急性膵炎受療患者数は63,080人と推定され、顕著な増加傾向が認められた。重症膵炎患者の治療開始および専門医療施設への搬送のゴールデンタイムを発症後48時間以内と設定し、患者を送る側と受け入る側のアンケート調査を通じて診療連携の実態および問題点を明らかにした。重症急性膵炎医療費受給者証交付申請状況を調査し、本制度の利用状況および課題を明らかにした。重症急性膵炎の診療実態に関する解析を行い、診療報酬上の問題点を指摘した。急性膵炎早期診断、壊死性膵炎の早期予測法として、尿中トリプシノーゲン2ステイック法の有用性、perfusion CTの有用性に関する多施設共同研究をさらに展開した。また、急性膵炎・重症急性膵炎の治療と予後の国際比較を行い、本邦における診療の課題を明らかにした。ERCP後膵炎の全国調査を準備し、また、診断基準の妥当性についても検討を加えた。◯ 2011年1年間の慢性膵炎受療患者数は66,980人、新規発症患者数は17,830人と推定され、慢性膵炎患者数も顕著な増加傾向が認められた。慢性膵炎臨床診断基準2009の妥当性を検討し、早期慢性膵炎および慢性膵炎疑診例の前向き予後調査を進めた。また、早期慢性膵炎の病態阻止に関する多施設共同ランダム化比較試験を計画した。慢性膵炎遺伝子解析の全国展開を進め、次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子解析にも着手した。慢性膵炎の合併症に関する各種ガイドラインの改訂を進めた。慢性膵炎の膵癌合併頻度を明らかにし、膵癌発症阻止因子を明らかにした。◯ 2011年1年間の自己免疫性膵炎受療患者数は5,745人、新規患者数は1,801人と推定され、患者数は2007年調査に比べて、約2倍に増加した。ICDCの妥当性を検討し、1型と2型を考慮した自己免疫性膵炎診療ガイドラインの改訂作業を進めた。再発に対するステロイド維持療法の有用性に関する多施設ランダム化比較試験を遂行した。○ 膵嚢胞線維症患者の主治医登録制度を設立し、新規および未承認薬による治療実態を明らかにした。
結論
平成24年度は、平成23年(2011年)一年間の急性膵炎・重症急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎の全国疫学調査を実施し、本邦におけるこれら難治性膵疾患の動向を明らかにした。また、二次調査を開始し、本研究班が平成20-23年度に提案してきた各種診断基準、各種診療ガイドラインの有効性、妥当性を評価する準備を進めた。その他の研究課題を含めて、当初設定した各課題をほぼ達成できたと考えている。

公開日・更新日

公開日
2013-05-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201231043Z