難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201231041A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究
課題番号
H23-難治-一般-025
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
坪内 博仁(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中沼 安二(金沢大学大学院医学系研究科 形態機能病理学)
  • 恩地 森一(愛媛大学大学院医学系研究科 先端病態制御内科学)
  • 石橋 大海(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 國土 典宏(東京大学大学院医学系研究科 臓器病態外科学)
  • 持田 智(埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科)
  • 銭谷 幹男(東京慈恵会医科大学大学院医学研究科 器官病態・治療学 消化器内科学)
  • 滝川 一(帝京大学医学部内科)
  • 上本 伸二(京都大学大学院医学研究科外科学講座 肝胆膵・移植外科)
  • 井戸 章雄(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
54,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自己免疫性肝炎(AIH)・原発性胆汁性肝硬変(PBC)・原発性硬化性胆管炎(PSC)などの肝内胆管障害・劇症肝炎・肝内結石症に関する全国調査と臨床試験成績をもとに,診断基準および治療指針の作成および改定を行う。難治例に対する基礎的,臨床的研究を通じて,新規医薬品の開発を進める。国民の健康福祉の向上と医療経済の効率化への貢献を目的とする。
研究方法
①対象疾患に関する全国調査を実施し,最新の実態を把握する。調査結果に基づき診療ガイドラインを検証し,改定する。急性型, 重症型, 治療抵抗例, 小児例, 肝移植例などに対する診療ガイドラインを作成する。
②ゲノムワイド関連解析,microRNA(miRNA)解析などにより難治例の病態を解析する。疾患モデル動物や細胞を用いた基礎研究および骨髄由来細胞やヒト肝細胞増殖因子を用いた臨床応用研究を推進する。
③有用性が期待できる治療法および新規治療薬の臨床試験を行う。臨床試験により得られたエビデンスを診療ガイドラインに反映させる。
結果と考察
自己免疫性肝炎(AIH)では,診断WGによりAIHの診断指針と重症度分類案が作成された。病態解析WGによりAIHの長期予後調査結果が報告された。治療WGにより薬物療法と予後に関する班内調査が実施された。個別研究では,急性発症型AIH,AIH+PSCオーバーラップ例,肝硬変進展例の臨床背景が報告された。NK/NKT細胞, サイトカイン, miRNA, 抗HLA抗体, PD-1抗体と病態との関連性が示された。原発性胆汁性肝硬変(PBC)では,疫学調査WGにより第15回PBC全国調査結果が報告された。病因・病態WGによりUDCAによるフラクタルカイン産生抑制効果が示された。治療WGによりPBC薬物治療についてのアンケート調査結果が報告された。診療ガイドラインWGによりPBC診療ガイドライン(2011)の英語版と患者向けガイドブックが作成された。抗gp210抗体の有用性を検討するWGにより日本人PBC発症に関わる新規疾患感受性遺伝子が同定された。個別研究では,PBCおよびPSCの長期予後と肝移植成績,北海道における疫学像,PSCおよびIgG4関連硬化性胆管炎の全国調査結果が報告された。病因および病態に関与する遺伝子多型, NK/NKT細胞, Gd-EOB-DTPA MRIの信号強度,ベザフィブラートの作用機序,miRNA,AMA反応性などの研究成果が報告された。劇症肝炎(FH)では,全国調査による2011年発症の急性肝不全の実態が報告された。WGⅠにより急性肝不全の成因分類(案)が策定された。WGⅢによりOn-line HDFの現状と課題が報告された。劇症肝炎の予後予測,ステロイドパルス療法,N-アセチルシステイン療法,脳死肝移植の実態が明らかにされた。急性肝不全の病態とオステオアクチビン,ADAMTS13,BakおよびBaxとの関連性が示された。iPS細胞,自己骨髄細胞を用いた新規治療法に関する研究成果が報告された。肝内結石症では,疫学・予後調査WGにより多施設全国調査結果が報告された。診断・治療WGにより診療ガイドラインの改定が行われている。発癌WGにより胆管内乳頭状腫瘍の病理学的特徴が示された。発癌予知WGにより肝内胆管癌合併肝内結石症のアトラスが作成されている。個別研究では,肝内胆管癌偽陽性例,肝内胆管癌合併例,胆石症の手術既往例,無症状肝内結石症例,腹腔鏡下肝切除例の解析結果が報告された。胆汁中のmiRNA発現, 胆汁酸トランスポーター,lysoPCの胆管上皮細胞に対する細胞障害性に関する研究成果が報告された。胆管癌細胞に対するHER2-lyticの抗腫瘍効果が示された。
結論
各分科会のWG研究により、①実態調査、②診断基準, 治療指針, 診療ガイドラインの作成および改訂を行った。

公開日・更新日

公開日
2013-04-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201231041Z