びまん性肺疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201231039A
報告書区分
総括
研究課題名
びまん性肺疾患に関する調査研究
課題番号
H23-難治-一般-023
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
杉山 幸比古(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 弘毅(札幌医科大学 医学部)
  • 西村 正治(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 海老名 雅仁(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 稲瀬 直彦(東京医科歯科大学 医学部)
  • 吾妻 安良太(日本医科大学 医学部)
  • 福田 悠(日本医科大学 医学部)
  • 本間 栄(東邦大学 医学部)
  • 酒井 文和(埼玉医科大学 国際医療センター)
  • 千田 金吾(浜松医科大学 医学部)
  • 長谷川 好規(名古屋大学 医学研究科)
  • 伊達 洋至(京都大学 大学院医学研究科)
  • 井上 義一(近畿中央胸部疾患センター 呼吸不全・難治性肺疾患研究部)
  • 河野 修興(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 西岡 安彦(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
31,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本班では、びまん性肺疾患とよばれる一群の肺疾患のうち、特に肺の線維化が問題となり、きわめて難治で予後不良な特発性間質性肺炎(特発性肺線維症)と、一部が肺の線維化・難治化するサルコイドーシスを中心に研究を行っている。特にこれらの疾患の新しい治療法の開発と、患者・家族のQOL改善を目標として研究を進めている。
研究方法
(A)特発性間質性肺炎
全国横断的に班内に以下の11の部会を設けて、各々の課題に対応しようとした。現在活動している部会は、ピルフェニドン検証部会、PMX部会、IPF合併肺癌部会、QOL・患者支援部会、急性増悪部会、膠原病肺部会、慢性過敏性肺炎部会、在宅酸素療法・リハビリテーション部会、画像部会、病理部会、気腫合併肺線維症部会である。これらをもとに、新しい治療薬の開発、患者・家族のQOL改善、疫学調査などを行った。具体的には、(1)新しい治療薬としてのピルフェニドンの評価、ピルフェニドンを柱とする併用療法、急性増悪治療としてのPMXカラムの検討、(2)患者・家族のQOL改善のための勉強会を企画し、それを基礎として患者会の創設を目指す。(3)疫学研究としての「北海道Study」の続行を行った。また、その他として、間質性肺炎合併肺癌の治療法策定、周辺疾患への取り組み、特発性間質性肺炎の診断の標準化を目指した。
(B)サルコイドーシス
疫学研究として、北海道地区の個人調査票を用いた調査を続行した。また、治療の普及と患者QOL改善を目指しての出版物を企画した。
結果と考察
(A)特発性間質性肺炎(1)新しい治療法の検討
N-アセチルシステインについては、班研究の結果の論文が刊行された。(Respirology,2012)世界初の抗線維化薬ピルフェニドンに関しては、H24年11月班主催のピルフェニドン・シンポジウムを行い、これまでの使用経験の検証を行った。(2年以上の長期例での効果、重症度4(重症例)での効果、IPF以外の間質性肺疾患での効果、ピルフェニドン+NAC併用療法の効果)ピルフェニドン+NAC併用療法については、今後多施設での検討を行う為、プロトコールの作成を開始した。PMXカラムについては、前向き試験のプロトコールを作成し、厚労省に先進医療として申請した。
(2)患者・家族のQOL改善
H24年7月7日、大阪において第1回の患者・家族の為の勉強会を行い、約200名の参加を得た。H25年7月の第2回に向け、準備をスタートした。
(3)疫学研究
H20年からの「北海道Study」を続行し、死亡数、死亡原因、予後に関するリスク要因などを明らかにし、班報告書にまとめた。
(4)その他
IPF合併肺癌の治療法策定として、手術時の急性増悪に関しては、外科学会の調査に協力し、大規模なリスク因子調査が終了、この結果を現在、英文誌に投稿中である。今後は化学療法時のレジメ検討と合わせ、公表していく。その他、気腫合併肺線維症に関して、第2回の呼吸不全班との合同シンポジウムをH24年12月開催し、検討を行った。診断の標準化については、画像面で、蜂巣肺についての統一見解をまとめ、日本呼吸器学会誌(H24年11月号)に発表した。
(B)サルコイドーシス
北海道地区を対象に臨床調査個人票を用いた疫学研究を行っており、患者数や臨床像のまとめが報告された。また、多数例の経験を有する専門医による様々な症例に対する治療の実際を示した「サルコイドーシスの治療ーその多様性に応じた適切な治療法を考えるー」を班より刊行し、全国に配布した。
(C)閉塞性細気管支炎(BO)・びまん性汎細気管支炎(DPB)
BOに関しては、H24年12月に名古屋において全国調査の報告会を行った。DPBは疾患遺伝子の研究を続行している。
結論
特発性間質性肺炎については、疫学調査、新しい治療法の検討と開発、患者・家族のQOL改善を目指した勉強会といった面で成果をあげることが出来た。サルコイドーシスについては疫学研究、治療の実際の普及活動といった面で成果をあげた。

公開日・更新日

公開日
2013-05-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201231039Z