ミトコンドリア病の診断と治療に関する調査研究

文献情報

文献番号
201231032A
報告書区分
総括
研究課題名
ミトコンドリア病の診断と治療に関する調査研究
課題番号
H23-難治-一般-016
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 雄一(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 飯塚高浩(北里大学医学部神経内科学)
  • 太田成男(日本医科大学大学院医学研究科)
  • 大竹 明(埼玉医科大学 小児科)
  • 北風政史(国立循環器病研究センター病院・研究開発基盤センター)
  • 古賀靖敏(久留米大学大学院医学研究科 小児科)
  • 小牧宏文(国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科)
  • 作田亮一(獨協医科大学越谷病院小児科・子どものこころ診療センター)
  • 末岡 浩(慶應義塾大学医学部産婦人科学)
  • 須藤 章(北海道大学大学院医学研究科・市立札幌病院)
  • 田中雅嗣(東京都健康長寿医療センター健康長寿ゲノム探索)
  • 中川正法(京都府立医科大学神経内科学)
  • 中田和人(筑波大学大学院生命環境科学研究科)
  • 萩野谷和裕(東北大学大学院医学研究科・宮城県拓桃医療療育センター)
  • 山岨達也(東京大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 米田 誠(福井大学医学部病態制御医学内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
23,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ミトコンドリアに異常があると、大量のエネルギーを必要とする神経・筋、循環器、腎泌尿器系、血液系、視覚系、内分泌系、消化器系などに障害が起こる。なかでも、中枢神経や筋の症状を主体とするミトコンドリア病が代表的な疾患である。本研究では、ミトコンドリア病の検査手段(病理検査、生化学検査、DNA検査)の標準化と集約的診断体制の確立を行い、本疾患に関する情報提供手段の整備等を行い、臨床病型、重症度、合併症、主な治療の内容などの全国調査を行う。患者レジストリーを進め、具体的な治療に関する臨床研究や治験を進めることを目的とする。
研究方法
1)ミトコンドリア病の診断には、多臓器に渡る臨床症状の把握と3種類の検査方法(病理検査、生化学検査、遺伝子検査)が必要で、それらの標準化と集約的な診断体制を構築する準備をした。2)ミトコンドリア病をよく診ているのは小児科医と神経内科医であるが、よく合併する臓器症状を診ている関連診療科(循環器科、耳鼻科、精神神経科など)の専門医の参加も得て、臨床的に有用な重症度スケールを作成する。3)情報提供体制の整備として、患者・家族や本疾患を診ている医療従事者に対して、本疾患の医療情報をホームページ等で提供する。4)早期に臨床研究や治験に結びつく薬物に関する研究を行い具体的な臨床試験を実施する。5)ミトコンドリア病に関して、着床前診断を含む出生前診断や核移植治療についての情報収集や研究を行う。
結果と考察
ミトコンドリア病の診断と治療に関する本研究班の活動の2年目にあたる今年度は、ミトコンドリア病の診断に必要な検査体制の整備、重症度スケール案の策定、全国的な相談を受ける体制や情報提供体制の整備、疾患iPS細胞を用いた研究の支援、医師主導型治験への協力を行った。ミトコンドリア病の診断プロセスの標準化が未決であり、疫学調査と患者レジストリーの開始が遅れ、平成25年度には着実に行う。一方、「ミトコンドリア病ハンドブック」などを含め、医療従事者、一般市民に対する病気に関する情報提供は着実に進めた。ピルビン酸ナトリウム、タウリン、EPI-743などの新たな薬剤による臨床試験の準備が着実に進めた。また平成24年度から「iPS細胞を用いた難病研究」が開始され、本研究班は患者由来線維芽細胞の提供に協力するとともに、樹立したiPS細胞を活用する研究を開始している。
結論
診断方法の標準化、診断基準や重症度スケールの確定が諸外国との調整で遅れている。病気の広報、医師主導型治験の推進援助と調整、疾患iPS細胞研究への協力を行った。

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201231032Z