文献情報
文献番号
201226002A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症に合併するリンパ腫発症危険因子の探索と治療法確立に向けた全国規模多施設共同研究の展開
課題番号
H22-エイズ-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 誠治(熊本大学 エイズ学研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 渡邉 俊樹(東京大学大学院 新領域創成科学研究科)
- 味澤 篤(東京都立駒込病院 感染症科)
- 永井 宏和(国立病院機構名古屋医療センター 血液腫瘍研究部)
- 藤原 成悦(国立成育医療研究センター研究所 母児感染研究部 )
- 照井 康仁(癌研究会癌研有明病院 血液腫瘍科)
- 片野 晴隆(国立感染症研究所 感染病理部)
- 田沼 順子(国立国際医療研究センター エイズ治療研究開発センター)
- 萩原 將太郎(国立国際医療研究センター 血液内科)
- 上平 朝子(国立病院機構大阪医療センター 感染症内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
22,610,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
cART導入後エイズが慢性疾患化した現在、エイズ関連悪性リンパ腫はエイズ患者の長期予後を規定する最重要因子のひとつとなった。エイズリンパ腫は難治性・再発性であり、標準的な治療法は確立していない。エイズリンパ腫発症予防と治療抵抗性エイズリンパ腫に対する有効な新規治療法の開発は、エイズ対策として厚生労働行政上急務である。本研究では、エイズと悪性リンパ腫治療の最前線に立つ臨床医と基礎研究者が有機的に提携し、多施設共同臨床研究による日本人に最適化されたエイズリンパ腫治療プログラムの確立と病因解明を軸に多面的に治療戦略を展開する。
研究方法
柱1 日本人悪性リンパ腫治療最適化に関する研究
エイズリンパ腫は予後不良であり、海外で開発されたエイズリンパ腫治療プロトコールは、必ずしも日本人に適したものではない。そこで、エイズ関連悪性リンパ腫の日本人に最適化された標準的治療法の確立を目指し、エイズリンパ腫に対する全国規模多施設共同研究を展開する。「エイズ関連非ホジキンリンパ腫治療の手引き」を改定し、エイズリンパ腫に対する認識の普及に努める。
柱2 エイズリンパ腫発症危険因子の探索と新規治療薬の開発
日本人エイズリンパ腫の病理診断の標準化、臨床病理学的・分子生物学的解析、予後因子の解明により、リンパ腫発生の分子機構解明と臨床へのフィードバックを試みる。エイズリンパ腫発症・治療マウスモデルを用いて、発症機序の解明と発症予防法開発の糸口をつかむ。
エイズリンパ腫は予後不良であり、海外で開発されたエイズリンパ腫治療プロトコールは、必ずしも日本人に適したものではない。そこで、エイズ関連悪性リンパ腫の日本人に最適化された標準的治療法の確立を目指し、エイズリンパ腫に対する全国規模多施設共同研究を展開する。「エイズ関連非ホジキンリンパ腫治療の手引き」を改定し、エイズリンパ腫に対する認識の普及に努める。
柱2 エイズリンパ腫発症危険因子の探索と新規治療薬の開発
日本人エイズリンパ腫の病理診断の標準化、臨床病理学的・分子生物学的解析、予後因子の解明により、リンパ腫発生の分子機構解明と臨床へのフィードバックを試みる。エイズリンパ腫発症・治療マウスモデルを用いて、発症機序の解明と発症予防法開発の糸口をつかむ。
結果と考察
1)エイズリンパ腫多施設共同臨床試験:治療抵抗性リンパ腫の全国規模多施設共同臨床試験を行った。最近、エイズ関連DLBCL症例数が急速に減っていることから、エイズ関連び慢性大細胞性リンパ腫(DLBCL)に関しては後方視的調査を行う事とした。最近増加しているバーキットリンパ腫の臨床試験を開始した。
2)エイズ関連血液悪性腫瘍の現状把握:本邦におけるエイズに合併する血液悪性腫瘍についての全国調査を行った結果、白血病とホジキン病の合併が多いことが判明し、その解析結果を英文誌に公表した。
3)エイズリンパ腫標準的治療法の普及:「エイズリンパ腫治療の手引き」を改訂し公表した。専門誌への総説公表やセミナーなどで、その知識の普及に努めた。
4)病理診断:エイズリンパ種は多彩な炎症を伴い非定型な病理像を示すことから病理診断が極めて困難な場合が多い。そこで、エイズリンパ腫診断のためのフローチャートを作成し、本邦におけるエイズリンパ腫の病理学的特徴について解析した。また、エイズリンパ腫病理診断コンサルテーションを継続的に行っている。
5)病因・病態解析:エイズリンパ腫の病型分類と治療標的探索に資するためにエイズリンパ腫組織のmiRNA解析を行った。その結果、エイズリンパ腫においては症例間でEBV miRNAの発現にばらつきがあり、ウイルスmiRNAの発現が宿主の免疫によって制御されている可能性が示唆された。また、エイズリンパ腫細胞ではmiR-200ファミリーはエピジェネティックな異常によって転写が抑制されていることが判明した。
6)エイズリンパ腫マウスモデル:ヒト化マウスにEBVを感染させることで、エイズリンパ腫マウスモデルを樹立した。また、リンパ腫細胞株を移植したマウスモデルを用いてNF-kappaB阻害剤やγδT細胞の有効性を示した。
7)新規原発性滲出性リンパ腫細胞株の樹立:日本人HIV-1感染者に生じた原発性滲出性リンパ腫(PEL)より、新規細胞株GTOを樹立した。
2)エイズ関連血液悪性腫瘍の現状把握:本邦におけるエイズに合併する血液悪性腫瘍についての全国調査を行った結果、白血病とホジキン病の合併が多いことが判明し、その解析結果を英文誌に公表した。
3)エイズリンパ腫標準的治療法の普及:「エイズリンパ腫治療の手引き」を改訂し公表した。専門誌への総説公表やセミナーなどで、その知識の普及に努めた。
4)病理診断:エイズリンパ種は多彩な炎症を伴い非定型な病理像を示すことから病理診断が極めて困難な場合が多い。そこで、エイズリンパ腫診断のためのフローチャートを作成し、本邦におけるエイズリンパ腫の病理学的特徴について解析した。また、エイズリンパ腫病理診断コンサルテーションを継続的に行っている。
5)病因・病態解析:エイズリンパ腫の病型分類と治療標的探索に資するためにエイズリンパ腫組織のmiRNA解析を行った。その結果、エイズリンパ腫においては症例間でEBV miRNAの発現にばらつきがあり、ウイルスmiRNAの発現が宿主の免疫によって制御されている可能性が示唆された。また、エイズリンパ腫細胞ではmiR-200ファミリーはエピジェネティックな異常によって転写が抑制されていることが判明した。
6)エイズリンパ腫マウスモデル:ヒト化マウスにEBVを感染させることで、エイズリンパ腫マウスモデルを樹立した。また、リンパ腫細胞株を移植したマウスモデルを用いてNF-kappaB阻害剤やγδT細胞の有効性を示した。
7)新規原発性滲出性リンパ腫細胞株の樹立:日本人HIV-1感染者に生じた原発性滲出性リンパ腫(PEL)より、新規細胞株GTOを樹立した。
結論
本邦におけるエイズリンパ腫の克服に向けて、長期的視野に立って基礎から臨床における多面的な治療戦略を展開した。
公開日・更新日
公開日
2014-05-26
更新日
-