統合失調症に対する認知リハビリテーションの開発と効果検証に関する研究

文献情報

文献番号
201224083A
報告書区分
総括
研究課題名
統合失調症に対する認知リハビリテーションの開発と効果検証に関する研究
課題番号
H24-精神-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
中込 和幸(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナルメディカルセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 花川 隆(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 脳病態統合イメージングセンター 先進脳画像研究部)
  • 菊池 安希子(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 社会保健研究所 司法精神医学研究部)
  • 池淵 恵美(帝京大学 医学部 精神神経科学教室)
  • 兼子 幸一(鳥取大学 医学部 脳神経医科学講座)
  • 根本 隆洋(東邦大学 医学部 精神神経医学講座)
  • 住吉 太幹(富山大学 神経精神医学講座)
  • 松元 健二(玉川大学 脳科学研究所)
  • 尾崎 紀夫(名古屋大学 大学院医学系研究科 精神医学・親と子どもの診療学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
23,189,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の到達目標は、①わが国で実施されている神経認知および社会認知リハビリテーションが社会機能や社会的転帰に対する効果を明らかにすること、②同治療が神経認知、社会認知に関連する脳領域の機能活性化に影響を及ぼすか、脳機能画像法を用いて明らかにすること、③認知リハビリテーションの有効性を左右する重要な因子である内発的動機づけに関連するバイオマーカーを明らかにし、動機づけを向上させる方略を明らかにする、の3点である。
研究方法
①については、評価システムの確立のために、妥当性のある社会機能評価尺度の選択と検証を行う。神経認知、社会認知リハビリテーションの実施に向けて、ワークショップを開催し、レベの向上に努める。②について本年は、パイロットスタディとして、作業記憶課題遂行中のNIRS(near-infrared spectroscopy)を用いて、神経認知リハビリテーションであるNEAR(neuropsychological and educational approach to cognitive remediation)実施前後の前頭部における血液量変化について検討する。③内発的動機づけ課題であるストップウォッチ課題を用いて、自己決定感が関連する脳活動についてfMRIを用いて検証する。
結果と考察
社会機能評価尺度であるUPSA-B、SLOFの日本語版を作成し、その妥当性の検証および標準化を目指した研究の準備中である。NEAR実施前後で、左右背外側前頭前野、左腹外側前頭前野、左右前頭極部において有意な活性化がみられ、その活性化の強さと神経心理検査における言語記憶、語流暢課題の改善との間に正の相関が認められた。失敗試行について、自己決定感が得られない場合には腹内側前頭前野の活動が抑制されるのに対して、自己決定感を伴ったとされる被験者にはその活動抑制はみられなかった。今後、認知リハビリテーションの脳機能への影響を検証する上で、作業記憶課題は注目すべき課題と考えられた。
結論
本年度は、準備期間として、評価尺度の確立、認知リハビリテーションの脳機能への影響を検討する上でどのような課題、機能画像法を用いるかについて検討し、その結果、2年目の研究の方向性の道筋をつけることができた。今後、認知リハビリテーションの臨床試験の準備を行うとともに、各種評価システムの確立が急がれる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201224083Z