精神疾患患者に対する早期介入とその普及啓発に関する研究

文献情報

文献番号
201224077A
報告書区分
総括
研究課題名
精神疾患患者に対する早期介入とその普及啓発に関する研究
課題番号
H23-精神-一般-009
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
水野 雅文(東邦大学 医学部精神神経医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 道雄(富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学講座・精神医学)
  • 下寺 信次(高知大学医科学神経精神科学教室・精神医学)
  • 松岡 洋夫(東北大学大学院医学系研究科(医科学専攻神経・感覚器病態学講座精神神経学分野)
  • 小澤 寛樹(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・精神神経科学)
  • 岸本 年史(奈良県立医科大学精神医学講座)
  • 岩田 仲生(藤田保健衛生大学医学部精神神経科学講座)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部社会医学講座医療政策・経営科学分野)
  • 川崎 康弘(金沢医科大学精神神経科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の精神科医療には、外来治療や地域ケアを推進するための方策が極めて乏しい。そこで本研究では、DUPの把握された唯一のコホートである上記「水野班」の成果を継承し、初回エピソード統合失調症(First Episode Schizophrenia、以下FES)コホートの長期予後追跡を行うことで、治療ガイドラインを含めた施策立案の基礎的客観資料の形成を行っている。一方、未発症ながら精神病発症危険状態(At-risk mental state (以下ARMS))にあり援助希求行動を呈して受診した者に対する診断、治療は十分に検討さえされておらず、エビデンスに基づく合理的な早期介入方法の確立には至っていない。そこで本研究班において、全国的なレベルでARMS症例を蓄積し、ナラティブな記述も含めた臨床像の抽出、受診経路、介入・支援指針、転帰予測、海外研究成果の紹介などを検討している。
研究方法
本報告書の長谷川分担班の報告にあるように、本調査に登録をした初発統合失調症患者168名のうち、治療開始から18ヶ月が経過した約70名を分析対象とした。Pearsonの積率相関係数及び重回帰分析を行った。
ARMSについては、本年度はこれまでに集められた61症例を記述し、下位分類で整理し、わが国におけるARMS症例の特徴を把握しやすいように整理した。
結果と考察
FESスタディの結果としては、潜行性発症した患者においては、DUPが長く、初回評価時の陰性症状が不良な患者ほど、18ヶ月後の認知機能が不良であることが示唆された。発症形式を潜行性と急性に分け、そのDUPの違いと予後への影響について検討されたのは初めてのことであり、統合失調症の異種性に関する新たな知見ともいえよう。
わが国におけるARMS症例の特徴を把握しやすいように整理した「ARMS症例集」としてまとめ、別に成果物として刊行した。来年以降は、この成果をもとにARMS症例の受診経路などを各地域の精神科開業医、一般開業医などの協力も得ながら検討する予定である。
結論
ARMS症例に対する認知行動療法的介入を開始するための準備会を重ね、東北大学松岡班を中心に、プロトコールを作製し、各施設の倫理委員会の承認を得た。来年度は試験的に実施する予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2014-03-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201224077Z