成人先天性心疾患の診療体系の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201222054A
報告書区分
総括
研究課題名
成人先天性心疾患の診療体系の確立に関する研究
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-010
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
白石 公(独立行政法人国立循環器病研究センター 小児循環器部)
研究分担者(所属機関)
  • 市川 肇(独立行政法人国立循環器病研究センター 小児心臓外科)
  • 安田 聡(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
  • 森崎隆幸(独立行政法人国立循環器病研究センター 分子生物学部)
  • 中西宣文(独立行政法人国立循環器病研究センター 肺高血圧先端医療学研究部)
  • 大内秀雄(独立行政法人国立循環器病研究センター 小児循環器部)
  • 池田智明(三重大学医学部 産婦人科)
  • 中西敏雄(東京女子医科大学 循環器小児科)
  • 丹羽公一郎(聖路加国際病院 循環器内科)
  • 賀藤 均(独立行政法人国立成育医療研究センター 小児循環器科)
  • 八尾厚史(東京大学医学部 循環器内科)
  • 赤木禎治(岡山大学病院 循環器疾患治療部)
  • 市田蕗子(富山大学病院 小児循環器内科)
  • 松井三枝(富山大学医学薬学研究部 精神神経学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
7,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の小児科診断技術ならびに心臓外科手術手技の向上により、多くの先天性心疾患患者が救命されるようになった。日本には既に約40万人の成人に達した先天性心疾患患者患者が存在し、その数は既に小児患者数を上回っている。これらの患者は、年齢面から小児科施設で受け入れが困難な一方、複雑な血行動態から内科施設でも受け入れが敬遠される傾向にある。また疾患特有の続発症(心不全、不整脈)や生活習慣病(肥満、高血圧)、さらに女性では妊娠出産の問題が加わるため、専門チームによる診療体制が必要である。本研究では、今後患者数が増加の一途をたどる成人先天性心疾患の診療体制を全国的に確立するとともに、専門医師を養成するための教育体制構築を目指したガイドライン作成を行う。さらに成人先天性心疾患の診療および病態研究が循環器学の一分野として確立されることを目標とする。
研究方法
本研究では、成人先天性心疾患患者の診療体制の確立を目的とした複数科合同(循環器内科医、小児循環器科医、心臓血管外科医、産婦人科医、専門看護師、臨床心理士など)による臨床研究の遂行にある。欧米とは医療事情の異なる日本では、欧米のシステムを取り入れつつも、日本の各地域に適した診療体制を構築する必要がある。すなわち、1)循環器内科医師の参画を促すネットワークづくりを行う。
2)全国主要都市に基幹施設を設立し、規範となる修学的医療を展開する。
3)基幹施設と地域病院とを結ぶ遠隔医療支援システムを構築する
4)全国レベルの教育セミナーを開催して教育啓蒙につとめる。
5)認定医制度の確立につとめる。
などを促進する。
結果と考察
これまでに、全国の実態調査(Int J Cardiol.2011;146:13-6.)、各施設が抱える問題点、患者が希望する診療体制、循環器内科施設の診療体制の現状調査と今後の展望(Circ J.2011;75:2220-7.)、専門医制度の確立に向けた調査研究、患者の心理の実態調査、などを行ってきた。本年度の研究の結果、
1)2)ACHDネットワークの構築:循環器内科の成人先天性心疾患全国ネットワークを構築し、設立条件を満たす全国で24カ所の基幹施設を決定することができた。各施設では、循環器内科、小児循環器科、産婦人科、心臓外科により集学的医療を展開する準備を行っている。
3)遠隔医療支援システムの構築:聖路加国際病院、長野県立こども病院、千葉県循環器病センターをインターネット回線(光ネクスト)で接続し、症例検討会を行った。心エコー画質、討論など満足できる可能性が示唆された。
4)成人先天性心疾患セミナーのアンケート調査:1年に2回、東京と大阪で成人先天性心疾患セミナーを実施した。その際のアンケートでは、循環器医師の意欲は高くセミナーに対する満足度も高かった。
5)循環器内科医のニーズにより、3段階に分けた認定制度を提言している。今後成人先天性心疾患学会とともに認定制度を確立する予定である。
結論
循環器内科医師の成人先天性心疾患診療への参加の促進、全国基幹施設の認定(ACHDネットワーク)、各施設での集学的診療体制の確立、理想的な診療体制の構築のための患者および医療従事者へのアンケート調査などを行うことができた。平成25年度は各研究計画の完成に向けて更に発展させる予定である。

公開日・更新日

公開日
2013-08-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201222054Z