特定健診保健指導における地域診断と保健指導実施効果の包括的な評価および今後の適切な制度運営に向けた課題克服に関する研究

文献情報

文献番号
201222037A
報告書区分
総括
研究課題名
特定健診保健指導における地域診断と保健指導実施効果の包括的な評価および今後の適切な制度運営に向けた課題克服に関する研究
課題番号
H23-循環器等(生習)-一般-008
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
今井 博久(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 津下 一代(あいち健康の森健康科学総合センター )
  • 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部)
  • 緒方 裕光(国立保健医療科学院)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院)
  • 成木 弘子(国立保健医療科学院)
  • 佐田 文宏(国立保健医療科学院)
  • 中尾 裕之(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目標は、生活習慣病(特に特定健診保健指導制度の対象疾病)に関する地域診断の方法論および保健事業の評価の総括を行い、それを踏まえながら保健指導の効果評価からの知見を収集及び検証を実施、本制度の推進に質する成果をまとめて提示することである。制度運営上の課題や要望の整理を行い、それらの妥当性や意義を検討することである。
研究方法
(1)地域診断及び保健事業評価
『地域診断及び保健事業の評価に関する検討会』は当時の本省生活習慣病対策室が主催し、当院が事務局を担ったもので、国立保健医療科学院内の検討会の構成委員がワーキンググループを形成し定期的に協議を行い、『検討会』の少ない議論を整理しながら適切な制度運営について内外の知見を収集整理し理論及び実証の両方の観点からまとめた。
(2)特定保健指導の効果評価
全国規模の特定健診受診者のデータベースが使用された。これらの道都県における市区町村の国保加入者を基に、傾向スコアによる重み付け推定法を用いた。また職域データベースを使用した。
(3)評価方法および効果に関する文献レビュー
医学中央雑誌のWeb版(医中誌Web)Ver5を用いた。保健指導の評価方法の確立を最終目標におき、その一端として、生活習慣病対策のための保健指導の評価に関する既存の科学的情報についてシステマティックレビューに基づき整理を行った。
結果と考察
(1)地域診断及び保健事業評価
構成はPDCAサイクル、特定健診保健指導の全体像把握(様式6-10の説明)、地域診断のスタンダードな方法論および事例、地域診断の今後の課題、保健事業の評価方法と事例研究などとなった。
(2)特定保健指導の効果評価
大規模データを使用して傾向スコアで調整した結果、積極的支援を利用した群は、利用しなかった群に比べて、統計学的に有意な改善がみられた。職域データからは、20歳代のBMIおよび肥満が、40歳代の虚血性心疾患の発症に影響していることが示唆された。また医療経済分析では、肥満なしの過剰医療費割合が大きいことが明らかになった。その理由は危険因子数が同じであれば一人あたりの単価はほぼ同等であるのに、この集団では非肥満者のほうが肥満者よりも頻度が高かったからと推計された。
(3)評価方法および効果に関する文献レビュー
国内文献レビューでは「積極的支援と消極的支援の効果の比較」「対照群と介入群の効果の比較」などに分類したが、効果の評価に関する報告はまだ十分とは言えず今後が期待された。
結論
特定健診保健指導制度が平成20年度に開始されて5年間が経過した。これまでに指摘されてきた課題が検討されているが、実効性ある議論には従来の知見の総括が必要不可欠である。本研究班は、総括班の性格を有して本制度運営に関する方法論の総括を行った。また大規模データベースを使用して施策実施の効果および影響に関する評価を行い、政府が主導した予防政策は一定の効果があったことを証明した。その他、若年者の肥満対策、非肥満者の対策など、わが国の生活習慣病対策の方向性を決めるためのエビデンスを提供した。これらの研究成果は、本制度の適切な推進に一定以上に貢献できるだろう。

公開日・更新日

公開日
2013-07-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201222037Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,900,000円
(2)補助金確定額
4,900,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 618,397円
人件費・謝金 707,359円
旅費 2,313,600円
その他 1,260,644円
間接経費 0円
合計 4,900,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
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