がん研究の今後のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201220067A
報告書区分
総括
研究課題名
がん研究の今後のあり方に関する研究
課題番号
H24-3次がん-指定-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 知光(独立行政法人国立がん研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 牛島 俊和(独立行政法人国立がん研究センター研究所)
  • 中川原 章(千葉県がんセンター)
  • 落合 淳志(独立行政法人国立がん研究センター東病院臨床開発センター)
  • 宮園 浩平(東京大学大学院医学系研究科)
  • 津金 昌一郎(独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)
  • 椙村 春彦(浜松医科大学)
  • 森山 紀之(独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)
  • 山田 哲司(独立行政法人国立がん研究センター研究所)
  • 斎藤 博(独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)
  • 間野 博行(自治医科大学医学部)
  • 田村 友秀(独立行政法人国立がん研究センター中央病院)
  • 藤原 俊義(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 江角 浩安(独立行政法人国立がん研究センター東病院)
  • 内富 庸介(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 若尾 文彦(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター)
  • 祖父江 友孝(大阪大学大学院医学研究科)
  • 福田 治彦(独立行政法人国立がん研究センター多施設臨床試験支援センター)
  • 高山 智子(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター)
  • 佐野 武(公益財団法人がん研究会がん研究所)
  • 田村 和夫(福岡大学医学部)
  • 中村 卓郎(公益財団法人がん研究会がん研究所)
  • 吉田 輝彦(独立行政法人国立がん研究センター研究所)
  • 山本 精一郎(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
第3次対がん総合戦略研究事業(以下、3次対がん)全体について、約8年半経過時点で評価と分析を行い、これまでのがん研究の成果と課題の背景やその解決策を模索し、今後の我が国のがん研究のあるべき方向性と具体的な研究課題等を明示することを目的とする。
研究方法
3次対がんの研究に関わった研究者を全国から集めた研究組織を作り、関係する各種資料の確保・分析を行った。具体的には、厚生労働科学研究成果データベース(国立保健医療科学院)において、「3次がん」および「がん臨床」を検索キーワードにして分析対象の研究報告書を抽出し、他関連資料等を含め、調査・分析を行った。平成24年度に合計3回の全体班会議(7月2日・7月31日・8月30日)、2回の有識者(7名の大学等の有識者)意見ヒアリング(8月17日・8月30日)や厚生労働省との意見交換及びメール及び個別小グループでの協議等を重ねて、116ページの報告書「がん研究の今後のあり方について」を平成25年5月付けでとりまとめた。報告書は平成25年5月10日「第3回今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」に提出し、その概要を報告した。
結果と考察
3次対がんを構成する9つの研究分野(うち2つはがん臨床研究事業)及び推進事業の個々の成果と評価の概要は上記「第3回今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」の資料の通り(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000032ord.html)。
なお、3次対がん全体の分析・評価を通して指摘された問題点は以下の3点である。1.既に以前から予測されていた我が国の人口の少子高齢化による、がん多死社会の到来への対策が不足していた。これまでのがん医療は主に成・壮・熟年者を対象として開発されてきたが、今後団塊の世代が高齢化を迎えることにより、がん罹患数は次の15~20年の間は増加の一途を辿り、その中で高齢者・超高齢者のがんも急速に増加すると予想されている。2.最先端のがん研究を推進するために必要な臨床医学、並びに統計学・情報学・人文科学・政策研究分野を含めた医学以外の領域の多彩な背景・専門領域の若手研究者の支援・育成、海外先端施設との人事交流、欧米以外への国際化の進捗が十分でなかった。特に、疾患や治療応答性の本態の解明や、それを革新的な予防・診断・治療開発に応用する橋渡し研究(TR)に従事するレジデント(TRR)として、臨床医学・病理学を修めた若手研究者の育成を強化する必要がある。3.各種研究資源のさらなる有効活用が求められるとともに、がん研究・がん対策の国際協調と競争が活発化する今日、我が国のがん研究全体を牽引する司令塔機能が必要である。3次対がん発足時にも指摘され、省庁をまたいだ連携に係る様々な取り組みがなされたが、恒常化していない。国内のがん登録制度の整備に基づく、我が国のがんの現状・動向と、各省庁系列のがん研究事業全体、及び海外の状況とを俯瞰・把握し、がん研究の多様性・重層性を確保しつつ、海外の一流研究者の客観的評価も取り入れながら、我が国のがん研究・がん対策を戦略性を持って推進する組織が求められる。
結論
3次対がんの分析・評価を踏まえ、平成24年6月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」に定められている「2年以内に、国内外のがん研究の推進状況を俯瞰し、がん研究の課題を克服し、企画立案の段階から基礎研究、臨床研究、公衆衛生学的研究、政策研究等のがん研究分野に対して関係省庁が連携して戦略的かつ一体的に推進するため、今後のあるべき方向性と具体的な研究事項等を明示する新たな総合的ながん研究戦略を策定することを目標とする」に答えた。すなわち、平成26年度以降の新たながん研究戦略に関して、以下の10項目の「現状」・「目標」・「取り組むべき施策」からなる提言をとりまとめた:1)がん多死社会に備えて、予防と早期発見を推進する、2)未だ治せないがん等に対する革新的な診断・治療法を開発する、3)外科療法・放射線療法等の根治性と機能温存性・QOLの調和を図る、4)明日の標準治療を創る、5)小児がん・希少がんに積極的に取り組む、6)がん患者・家族の生活の質を護る、7)高齢化社会におけるがん医療対策を急ぐ、8)がんの疾患研究・対策を「つなぐ」、9)がん研究・がん対策を支える、国際的人材を育成する、10)がんに関連する国全体の取り組みを把握し、調整し、推進する。また、新たながん研究戦略の標語候補として「がんにならない、がんに負けない、がんと生きる社会を目指す」を提案した。

公開日・更新日

公開日
2013-07-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201220067C

成果

専門的・学術的観点からの成果
第3次対がん総合戦略研究事業の分析・評価を行い、平成26年度以降の新たながん研究戦略に関して、10項目の提言をとりまとめた。研究目標は以下の7項目である:1)がん多死社会に備えて、予防と早期発見を推進する、2)未だ治せないがん等に対する革新的な診断・治療法を開発する、3)外科療法・放射線療法等の根治性と機能温存性・QOLの調和を図る、4)明日の標準治療を創る、5)小児がん・希少がんに積極的に取り組む、6)がん患者・家族の生活の質を護る、7)高齢化社会におけるがん医療対策を急ぐ。
臨床的観点からの成果
第3次対がん総合戦略研究事業の分析・評価を行い、平成26年度以降の新たながん研究戦略に関して、10項目の提言をとりまとめた。特に臨床研究に深く関わる目標は以下の6項目である:2)未だ治せないがん等に対する革新的な診断・治療法を開発する、3)外科療法・放射線療法等の根治性と機能温存性・QOLの調和を図る、4)明日の標準治療を創る、5)小児がん・希少がんに積極的に取り組む、6)がん患者・家族の生活の質を護る、7)高齢化社会におけるがん医療対策を急ぐ。
ガイドライン等の開発
無し。
その他行政的観点からの成果
がん対策推進基本計画に定められた「今後のあるべき方向性と具体的な研究事項等を明示する新たな総合的ながん研究戦略を策定することを目標とする」に対応し、平成25年5月10日「第3回今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」に報告書を資料として提出、説明した。特に、研究推進の体制・基盤構築等、行政の取り組みが求められる目標は以下の3項目である:8)がんの疾患研究・対策を「つなぐ」、9)がん研究・がん対策を支える、国際的人材を育成する、10)がんに関連する国全体の取り組みを把握し、調整し、推進する。
その他のインパクト
特記すべき事項無し。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2016-06-08

収支報告書

文献番号
201220067Z