乳幼児健康診査の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201219026A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児健康診査の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方に関する研究
課題番号
H24-次世代-指定-007
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター 保健センター・総合診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 山縣 然太朗(山梨大学大学院医学工学総合研究部 社会医学講座)
  • 溝呂木 園子(山梨大学大学院医学工学総合研究部 社会医学講座)
  • 佐藤 拓代(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 玉腰 浩司(名古屋大学医学部保健学科看護学専攻)
  • 丸山 進一郎(医療法人アリスバンビーニ小児歯科)
  • 市川 香織(社団法人日本助産師会)
  • 加藤 恵子(愛知県半田保健所健康支援課 地域保健グループ)
  • 草野 恵美子(大阪医科大学 看護学部)
  • 石川 みどり(国立保健医療科学院生涯健康研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の母子保健の抱える課題は時代とともに重層化してきた。乳幼児健康診査(乳幼児健診)におけるスクリーニングや保健指導は実施主体である市区町村に委ねられ地域間に大きな違いがあるといわれている。このため、市区町村間の連絡調整と技術的援助という都道府県の役割がきわめて重要であるものの、その具体的な方向性については必ずしも明らかではない。
このため、本研究では乳幼児健診の実施状況、妊娠期から乳幼児期の保健指導に関する実態ならびに乳幼児健診に対する都道府県の状況を把握することから、乳幼児健診の実施と評価ならびに多職種連携による母子保健指導のあり方について検討することを目的とした。
研究方法
研究代表者、研究分担者がそれぞれの職種の立場や具体的な目的に応じて、関係者によるフォーカスグループ討論、自治体関係者からの聞き取り、文献検索、栄養指導に関する全国市区町村調査、モデル地域における健診の個別データの解析により検討した。
結果と考察
市町村が人材や予算など限定された資源の中で現場のニーズに対応してそれぞれに工夫して乳幼児健診や保健指導を実施していることが把握できた。健診情報を市町村と県で共有している愛知県の分析では乳幼児健診の判定や健康指標に地域格差が認められた。都道府県・保健所は広域的な課題や新たな健康課題に対応するため工夫して支援をしてきた。子育て支援や虐待予防を目指した要支援家庭の把握や未受診者対応には、福祉などの他部門と連携した都道府県の広域的な視点での事業展開が有効である可能性が高い。地域診断や健康格差の把握には、保健所や県と市町村が共通に実施する健診データの管理システムが有効である。都道府県の母子保健担当者は、市区町村への権限移譲後も、それぞれが法律等に基づいて役割を果たすことで、都道府県と市区町村が重層的な関係で母子保健活動を展開する必要性を強く認識していた。
保健指導については、妊娠期の保健指導のあり方、乳幼児期の保健指導に関するエビデンスや栄養指導のエビデンスとその実態を把握することができた。本研究が目指す多職種が連携した乳幼児健診では、職種それぞれがその専門性を生かしつつ、方向性を一致させた保健指導が必要である。次年度の研究において、調査やエビデンス検討を踏まえて多職種が連携した保健指導の体系づくりを検討する予定である。
結論
乳幼児健診の実施と保健指導には、実施主体である市区町村の工夫を生かすための都道府県・保健所が技術的支援や連絡調整が必要である。そして地域の健康格差の是正に向けては、国レベルでの指標の設定や評価法の統一などが必要であり、市区町村と都道府県の重層的な連携に加え、国が担うべき役割を明確にすることができた。

公開日・更新日

公開日
2013-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201219026Z