母子保健事業の効果的実施のための妊婦健診、乳幼児健診データの利活用に関する研究

文献情報

文献番号
201219019A
報告書区分
総括
研究課題名
母子保健事業の効果的実施のための妊婦健診、乳幼児健診データの利活用に関する研究
課題番号
H24-次世代-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 然太朗(山梨大学 大学院医学工学総合研究部社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学看護学部)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター)
  • 仲宗根 正(沖縄県宮古福祉保健所)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学医学部健康社会医学)
  • 玉腰 浩司(名古屋大学医学部保健学科看護学専攻)
  • 原田 正平(国立成育医療研究センター研究所成育医療政策科学研究室)
  • 荒木田 美香子(国際医療福祉大学小田原保健医療学部)
  • 田中 太一郎(東邦大学医学部社会医学講座衛生学分野)
  • 松田 義雄(東京女子医科大学・産婦人科学・周産期医学)
  • 吉川 弘明(金沢大学保健管理センター)
  • 山本 眞由美(岐阜大学保健管理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
14,168,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は母子保健評価に必要な情報を、妊婦健診、乳幼児健診で収集・分析でき、母子保健の課題解決に寄与する仕組みを提案すること及び、将来、妊娠・出産を控えた最後の教育機会である大学における保健活動および大学生の健康状況を明らかにすることを目的とする。
研究方法
研究内容は次の4点である。
1.平成26年度に最終年を迎える健やか親子21の指標について乳幼児健診等での情報収集の準備および次期健やか親子21の指標に関する検討
2.母子保健の評価に必要な情報の選別と地域特性に応じた情報利活用の仕組みの提案
3.大学の保健対策と健康状況の調査
4.健やか親子21の推進のための情報の利活用
方法は、各研究内容順に示す。
1.最終評価の実施および次期健やか親子21策定に向けた検討会議を数回にわたり実施し、調査対象市区町村の選定、調査方法の検討、乳幼児健診時の質問票および各自治体に対する調査票の検討、また次期健やか親子21指標の検討準備を実施した。
2.妊婦健康診査受診票(妊婦健診受診票)や乳幼児健診データなどを用いて情報の利活用方法の検討を行う。
3.大学、短期大学、工業専門学校等に在籍する学生の健康情報に関して健診データを活用、また妊孕力知識等のアンケート調査を実施する。
4.本研究班では、健やか親子21の推進を目指した、母子保健サービス実施の情報収集と供給体制の整備のために、健やか親子21公式ホームページを構築、運営している。週1回の母子保健情報の更新を実施し、最新情報の提供を行う。
結果と考察
1.健やか親子21最終評価に向けた調査方法の検討、調査準備の方法や実作業の状況、次期健やか親子計画への指標検討等のプロセスに関するまとめを行い、最終評価用の乳幼児健診用質問票および自治体用調査票を作成した。平成25年度に各自治体および都道府県において調査を実施する。また、次期健やか親子21の指標策定の一助とする。
2.健やか親子21次期計画の検討を実施し、次期プランの基本的視点と推進方略を提言した。具体的には、次期計画の基本的視点を①現健やか親子21の最終評価を踏まえ、科学的根拠に基づく、②発達障害、虐待の問題の取り扱いの検討、③健康日本21(第2次)との整合性、④社会で子どもを育てることの具体策とそれを実現する母子保健体制のあり方を見直す、⑤国際的視点と国際貢献の5つにおく。また、課題を①思春期の保健対策の強化と健康教育の推進、②妊娠・出産・育児に関する環境整備と不妊への支援、③子どもの健やかな成長・発達の促進と育児不安の軽減、④社会で子どもを育てる(守る)親子保健推進体制の整備とすることを提言する。また、次期計画を推進するにあたって、「連携」と「情報の利活用」がキーワードであり、その実効性を促すために、現健やか親子21で実施された関係団体による推進協議会の設置等による連携に加え、情報共有による実態把握と事業評価のために、乳幼児健診等における情報の利活用の基盤整備とこれを含む市町村レベルでの健やか親子21計画の策定が必要である。
3.母子保健情報の利活用では、母子手帳・妊婦健診・乳幼児健診などのリンケージデータの活用から、医師や歯科医師の各種判定、幼児の健康状況や家族の生活習慣の市町差異、喫煙と在胎週数との関係、乳児貧血への関連要因、ハイリスク母児への早期介入方法の示唆を与える課題を抽出できた。母子保健情報の利活用の重要性が示された。
4.ハイリスク妊産婦・新生児や発達障害児に関する医療機関と保育園・幼稚園、地域保健機関の連携に対して、母子保健情報の利活用と連携評価を可能とする調査票作成の重要性が示された。
5. 女子大学生の健康上の問題点と各大学の対策が明らかとなり、保健指導と健康教育プログラムの推進に寄与するパンフレットの作成など成果が得られた。
6.健やか親子21のホームページは、現在まで安定したアクセス数を保持しており、母子保健に関する有用情報の提供を含め適切に運営され、80万アクセスを超えた。
結論
1.最終評価用の乳幼児健診用質問票および自治体用調査票を作成した。
2.健やか親子21次期計画の検討を実施し、次期プランの基本的視点と推進方略を提言した。
3.母子保健情報の利活用の重要性を示した。
4.母子保健情報の利活用と連携評価を可能とする調査票作成の重要性を示した。
5. 女子大学生の健康上の問題点と各大学の対策が明らかとなり、保健指導と健康教育プログラムの推進に寄与するパンフレットの作成など成果が得られた。
6.健やか親子21のホームページは、現在まで安定したアクセス数を保持しており、母子保健に関する有用情報の提供を含め適切に運営され、80万アクセスを超えた。

公開日・更新日

公開日
2013-06-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201219019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
最終評価用の乳幼児健診用質問票および自治体用調査票を作成した。健やか親子21次期計画の検討を実施し、次期プランの基本的視点と推進方略を提言した。母子保健情報の利活用の重要性を示した。母子保健情報の利活用と連携評価を可能とする調査票作成の重要性を示した。
臨床的観点からの成果
女子大学生の健康上の問題点と各大学の対策が明らかとなり、保健指導と健康教育プログラムの推進に寄与するパンフレットの作成など成果が得られた。
ガイドライン等の開発
第12回健やか親子21推進協議会総会(2013年2月26日)において、研究班によって検討した、健やか親子21最終評価及び次期指標に関して健康格差やソーシャル・キャピタルをキーワードとした今後の方向性を示した。
その他行政的観点からの成果
第12回健やか親子21推進協議会総会(2013年2月26日)で「健やか親子21の現状と今後」として、健やか親子21最終評価および次期指標の策定に関しを報告を行い、「健やか親子21」の取り組みの効果的な推進への一助とした。
その他のインパクト
第71回日本公衆衛生学会総会の自由集会で「知ろう、語ろう、考えよう 健やか親子21」を開催して、健やか親子21の各自治体の取り組みを紹介するとともに啓発に努めた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
山崎嘉久:「乳幼児健診の意義 発達支援と育て支援そして虐待予防へ.」及び「子育て支援、虐待予防としての健診の役割.」小児看護、
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
第12回健やか親子21推進協議会総会(2013年2月26日)
その他成果(普及・啓発活動)
1件
第71回日本公衆衛生学会総会の自由集会

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-07-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201219019Z