文献情報
文献番号
201215013A
報告書区分
総括
研究課題名
胎児不整脈に対する胎児治療の臨床研究
課題番号
H23-臨研推-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
左合 治彦(独立行政法人国立成育医療研究センター 周産期センター)
研究分担者(所属機関)
- 池田 智明(独立行政法人国立循環器病研究センター 周産期・婦人科部)
- 北島 博之(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 新生児科)
- 伊藤 裕司(独立行政法人国立成育医療研究センター 周産期センター新生児科)
- 前野 泰樹(久留米大学医学部 小児科)
- 村越 毅(聖隷浜松病院 総合周産期母子医療センター 周産期科)
- 石井 桂介(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター 産科)
- 大庭 真梨(横浜市立大学学術院医学群 臨床統計学・疫学 附属市民総合医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
薬剤の適応外使用のため、臨床応用が進まない胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤抗不整脈剤治療の臨床試験を実施して、薬剤の有効性と母児に対する安全性を評価して治療法を臨床的に確立するとともに、胎児治療を受けた児の予後評価やその他の胎児治療における研究を通して胎児治療の臨床応用を推進することを目的とする。
研究方法
1)胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的抗不整脈薬投与に関する臨床研究は、臨床試験の症例登録を継続した。また、安全性について安全性評価委員会の結果をもとに検討した。2)胎児治療を受けた児の予後評価体制に関する研究は、全国レベルで普遍的に患者が追跡できるシステムと地域の中隔病院への心理発達検査の集約化について検討した。3)胎児における臨床試験推進に関する研究は、新しい胎児治療法の薬事承認・保険収載に関する研究(胎児胸腔羊水腔シャント術の経験から)、胎児鏡下レーザー手術の適応拡大に向けた研究(重症胎児発育不全を伴う一絨毛膜双胎に対する早期安全性試験と妊娠26・27週の双胎間輸血症候群に対する早期安全性試験)、胎児治療のホームページ関する研究を行った。
結果と考察
1)胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的抗不整脈薬投与に関する臨床研究:臨床試験は2年目に入ったが、症例登録数は12例と少なかった。12例中7例は胎児期に頻脈が消失し、治療効果は期待できた。症例数を増やすべく研究協力施設の拡大をはかった。安全性の検討から、対象の除外基準を明確化するとともに、重篤な有害事象発症時における対応を強化した。2)児の予後評価体制に関する研究:長期フォローアップのためには、患者さんを長期わたり追跡するとともに一定のレベルの発達評価を行うことが必要であり、コールセンター・ポケットカルテのシステムを立案し、地域の中隔病院への心理発達検査の集約化するモデルを提唱し、試行した。3)胎児における臨床試験推進に関する研究:重症胎児胸水に対する胸腔―羊水腔シャントの保険収載に至る経緯を記述・検討して今後の参考資料を作成した。胎児鏡下レーザー手術の適応拡大として「重症胎児発育不全を伴う一絨毛膜双胎に対する早期安全性試験」は7例、「妊娠26・27週の双胎間輸血症候群に対する早期安全性試験」は4例と症例登録が進んでいる。胎児治療のホームページは、各種疾患に対して統一のレイアウト、Q&A方式で記載し充実させた。
結論
胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的抗不整脈薬投与の有効性と安全性を評価する臨床試験が2年目に入った。これは胎児に対して薬剤の適応を認めることを求める画期的な研究である。症例登録は少ないが、安全性に留意して着実に進めている。登録症例数を増やすために施設拡大やホームページの充実を行った。胎児治療を受けた児の予後評価を確実に行うためのモデルを提唱した。胸腔―羊水腔シャント術カテーテルの保険収載の検討や胎鏡下レーザー手術の適応拡大の臨床試験などにより胎児における臨床研究の推進を行った。
公開日・更新日
公開日
2013-08-27
更新日
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