ブレイン・マシン・インターフェースによる運動・コミュニケーション機能支援装置の臨床研究

文献情報

文献番号
201215012A
報告書区分
総括
研究課題名
ブレイン・マシン・インターフェースによる運動・コミュニケーション機能支援装置の臨床研究
課題番号
H23-臨研推-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
平田 雅之(大阪大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉峰 俊樹(大阪大学 医学系研究科)
  • 鈴木 隆文(情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター)
  • 横井 浩史(電気通信大学 知能機械工学)
  • 吉田 毅(広島大学 集積回路学)
  • 佐藤 文博(東北大学 医用生体工学 電力工学)
  • 柳澤 琢史(大阪大学 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋萎縮性側索硬化症(ALS)から脳卒中後遺症にいたるまで種々の脳神経筋疾患により、四肢の麻痺とコミュニケーション障害が生じ、患者は耐え難いストレスに晒されている。現在有効な治療方法がない重症ALSの四肢麻痺・コミュニケーション障害に対して、補助治療方法を提供するために、本研究では、重症ALS患者を対象として、3次元高密度多極脳表電極とブレイン・マシン・インターフェース(BMI)による脳信号解読を用いて、有線型の運動・コミュニケーション支援装置の臨床研究を行うとともに、ワイヤレス埋込型BMI装置を臨床試験実施可能なレベルの実用機の開発と非臨床試験実施を目指す。
研究方法
H24年度は、重症ALS患者1例に対して、3週間、3次元高密度多極脳表電極留置を伴う臨床研究を実施する。主要評価項目、副次評価項目は以下の通りである。
[主要評価項目] 有線型BMI装置(HERBS)の安全性
電極留置後10日以降における、電極留置を起因とする脳機能障害。
[副次評価項目]
(1) 電極留置17日後のHERBSによる上肢運動推定の正解率
(2) HERBSを用いたロボットアーム制御能
(3) HERBSを用いた意思伝達能
(4) 同日の学習データによる上肢運動推定の正解率
(5) その他の有害事象
また複数例のALS患者に対してMEGを用いた評価手法の探索を行う。体内埋込装置実用化開発に関しては、装置の小型・省電力化を行ってサルへの長期埋植試験を開始する。またロボットアームの改良を進める。さらに企業との連携を推進する。
結果と考察
H24年度は大阪大学医学部の医学部倫理審査委員会にて臨床試験実施が承認され、関係諸科・機関と臨床試験実施の準備を進め、重症ALS患者1例で3週間の電極留置を行い、臨床研究を実施した。臨床研究での電極留置に先立って、3次元高密度多極脳表電極の動物埋植試験を完了し、その安全性を確認した。またMEGを用いて非侵襲検査による評価手法の探索研究を、ALS患者3名に対して行った。その結果、世界で初めて皮質脳波・脳磁図を用いたBMIによりALS患者の運動内容推定とロボットアームのリアルタイム制御に成功した。本研究はALS患者の運動機能を補助してQOLを改善する可能性を初めて示した成果として極めて意義が深い。
ワイヤレス埋込型BMI装置の実用化開発に関しては、集積化アンプ・非接触充電電源・ワイヤレス通信装置のベンチテスト・最適化設計・不具合対策を、H23年度に引き続き進め、ワイヤレス通信のWLAN化等により、腹部装置の大幅な小型化を達成した。小型化した装置を用いてサルへの長期埋込実験を開始した。外部制御機器であるロボットアームを臨床研究実施に向けて改良を進めた。
埋込装置の実用化のため、PMDA薬事戦略相談事前面談を受けるとともに、企業との連携体制を進展させた。本臨床研究に関する広報を患者団体の会合、会報を通して行った。
結論
非臨床試験にて3次元高密度多極脳表電極の安全性が確認できた。重症ALS患者1名に対して電極留置による臨床研究を行い、世界で初めて、ALS患者の皮質脳波を用いて1回毎の運動内容推定とロボットアームリアルタイム制御、意思疎通に成功した。ワイヤレス埋込BMI装置の小型・低電力化ができ、サルへの長期埋込試験を開始した。臨床研究用のロボットアーム、意思疎通装置が開発・改良できた。MEGを用いた治療前評価が可能であることが示された。

公開日・更新日

公開日
2013-08-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201215012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
39,000,000円
(2)補助金確定額
39,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 15,232,067円
人件費・謝金 2,722,450円
旅費 270,830円
その他 11,774,653円
間接経費 9,000,000円
合計 39,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
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