医工連携のための医療・工学技術者Co-education事業の構築と実践

文献情報

文献番号
201212015A
報告書区分
総括
研究課題名
医工連携のための医療・工学技術者Co-education事業の構築と実践
課題番号
H23-医療機器-指定-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
松木 英敏(東北大学 大学院医工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 隆美(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 福田 寛(東北大学 加齢医学研究所)
  • 佐藤 正明(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 梅村 晋一郎(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 高橋 明(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 吉澤 誠(東北大学 サイバーサイエンスセンター)
  • 早瀬 敏幸(東北大学 流体科学研究所)
  • 谷内 一彦(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 福島 浩平(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 鎌倉 慎治(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 川瀬 哲明(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 出江 紳一(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 金井 浩(東北大学 大学院工学研究科)
  • 永富 良一(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 山家 智之(東北大学 加齢医学研究所)
  • 阿部 高明(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 大隅 典子(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 西條 芳文(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 小玉 哲也(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 小野 栄夫(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 田中 徹(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 吉信 達夫(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 芳賀 洋一(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 松浦 祐司(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 田中 真美(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 武田 元博(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 神崎 展(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 金高 弘恭(東北大学 大学院歯学研究科)
  • 渡邉 高志(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 平野 愛弓(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 川下 将一(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 村山 和隆(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 太田 信(東北大学 流体科学研究所)
  • 石川 拓司(東北大学 大学院工学研究科)
  • 長谷川 英之(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 出口 真次(東北大学 大学院工学研究科)
  • 沼山 恵子(東北大学 大学院医工学研究科)
  • 亀井 尚(東北大学病院)
  • 中野 徹(東北大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
過去8年間実施してきた社会人技術者を対象とした医工学基礎・応用の再教育システムを補完する社会人技術者と医師・医療技術者のCo-educationを実現する新たなエクステンションコースを実施することにより我が国医工連携研究・開発のレベルを高めることを目的とする。
研究方法
a)研究期間終了後も開発したプログラムを事業として継続できるように平成23年度に引き続き医工学実験棟の実習環境の整備を行った。さらにb)PBL講義プログラムの開発と、大型動物を対象にした外科手術実習・小動物に対する遺伝子導入実習プログラムの開発、c)新しく開発したPBL講義と大型動物(ブタ)を対象にした内視鏡手術を軸とする診断実習・外科治療実習のトライアルを実施した。また、d)動物実験および遺伝子組換え実験を含む実習を実施するにあたり、関連法令・学内規程に従って、教育研修計画を策定し、申請を行った。
結果と考察
【結果】a)医師・医療技術者と工学技術者の課題解決型Co-educationの場である医工学実験棟1階の医工学実習室の2つの実習環境の整備を行った。1)手術台・全身麻酔器・生体情報モニタリングシステム・手術実習用映像システム・音声記録設備等の追加整備。2)細胞・小動物への遺伝子導入・評価をin vivo(生体イメージング)とex vivo(蛍光組織標本)で行う実習環境として遺伝子組換え操作用安全キャビネットの追加導入。
b)35名の分担研究者が34テーマの医学医療および工学技術に関する90分の内容のPBL講義コンテンツを作成、また4名の分担研究者がブタを用いた鏡視下胆嚢摘出術を軸とする外科治療実習プログラム、遺伝子導入・生体イメージング実習プログラムを作成した。
c)平成24年11月13日から15日の3日間に、2コマのPBL講義と、診断実習、ブタを対象とする内視鏡手術を軸とした治療実習の試行事業を行った。6名の医工連携再教育プログラムREDEEM修了者(企業技術者)と2名の若手医師、1名の医学部5年生が参加した。開発したPBL講義のうち、循環器疾患の診断治療と症例検討として「肺がん術後の経過観察中に呼吸不全が悪化した症例」と、腎高血圧疾患の診断治療と症例検討として「視力障害を伴った重症高血圧の1例」の2テーマを実施した。診断実習として、超音波検査、血圧測定、聴診、心電図と、シミュレータを用いた静脈穿刺・採血を行った。また、外科の糸結び、人工皮膚を用いた切開・縫合の練習を行ったのちに、内視鏡手術についての講義、内視鏡手術のシミュレータを用いたトレーニングを経て、ブタの麻酔導入からはじまり、腹腔鏡下胆嚢摘出術、開腹下での腸管吻合、開胸による心臓の観察からなる外科治療実習を指導医のもとに実施した。
【考察】内視鏡手術、遺伝子導入および生体イメージングのテーマ選定はこれまでの社会人技術者の再教育プログラムREDEEM参加者のアンケートに基づくものである。内視鏡を用いた低侵襲化治療の体験、および将来必ず導入されることになる遺伝子治療の基礎の理解が可能になると考えた。なおトライアル実習においては、学内審査の手続きのスケジュールの関係で遺伝子導入・生体イメージング実習を実施することはできなかったが、来年度の実施に向けて準備を進めている。
トライアル実習の内視鏡手術は視野の確保、腔内でのオリエンテーションの理解が困難であるが、現場の医師が有する解剖学的な理解とイメージが手術実施にあたって重要であることを、内視鏡を通して見えた像と開腹したときに視認した実像のギャップを通して技術者に体験として理解してもらうことができ、本事業のねらいの一つは達成できたと考えられた。一方、技術者側には医師が手技やモニタリングの点で苦労している点を認知してもらい、医師との議論を通じて新たな技術的課題への気づきを促し、技術者から医師へのフィードバックによる医師へのCo-education効果も本教育プログラムの重要なねらいであったが、技術者には実習課題の遂行に全力を注いでおり、トライアル実習においてはそのような余裕があるようには見受けられなかった。実習終了後に余裕をもって振り返る、あるいは実習を撮影したビデオの視聴などの実施を次年度以降考慮したい。
生体への遺伝子導入および導入した遺伝子が転写・翻訳された結果を近赤外領域で生体内で観察する実習は、材料の選定、予備実験等を実施しており、来年度の実習プログラム化を学内審査も含めて準備を進めている。
結論
医師・医療技術者のCo-educationに必要な内視鏡手術および遺伝子導入をテーマとする実習環境の構築を行った。PBL講義コンテンツを集積し、ブタを用いた手術実習プログラムを構築した。PBLコンテンツの一部と手術実習のトライアル実施を行い、Co-education効果を確認した。

公開日・更新日

公開日
2013-09-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201212015Z