文献情報
文献番号
201212006A
報告書区分
総括
研究課題名
高度医療技術の効率化及び標準化の開発に関する研究
課題番号
H20-活動-指定-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 知光(独立行政法人国立がん研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 荒井 保明(国立がん研究センター中央病院放射線診断科)
- 伊丹 純(国立がん研究センター中央病院放射線治療科)
- 金澤 右(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科放射線医学)
- 佐久間 一郎(東京大学大学院工学系研究科医用工学)
- 寺内 隆司(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター検診開発研究部)
- 曽根 美雪(国立がん研究センター中央病院放射線診断科)
- 竹内 義人(国立がん研究センター中央病院放射線診断科)
- 稲葉 吉隆(愛知県がんセンター中央病院放射線診断・IVR部)
- 吉村 亮一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科放射線治療科)
- 栗原 宏明(国立がん研究センター中央病院放射線診断科)
- 成田 善孝(国立がん研究センター中央病院脳脊髄腫瘍科)
- 馬屋原 博(国立がん研究センター中央病院放射線治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医療機器[ナノテクノロジー等]総合推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
120,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ゲノム解明や分子レベルからの創薬によりがんに対する薬物療法は飛躍的に進歩しているが、未だ大部分の癌腫において治癒を齎すレベルには達しておらず、治癒を齎す治療法の主軸は依然として侵襲的な外科治療に委ねられている。よって、外科治療に匹敵あるいは凌駕する非侵襲的治療法の開発は、がん患者のQOL向上のみならず、合併症低減や治療期間短縮等に伴う医療費抑制など、超高齢化社会となりつつある本邦のがん医療全般にとって極めて重要な課題である。本研究は、このような非侵襲的治療を可能とするために必要な、1)局所治療法を正確に病巣に誘導する高度画像誘導技術、2)病巣において確実な治療効果をあげうる高度局所治療法を開発するとともに臨床試験により評価し、標準化することを目的に行なわれた。
研究方法
高度画像誘導技術については、経皮的穿刺治療における誘導技術として、1)CTやMRIで得たvolumeデータと患者体表の位置情報より体表面からの任意方向の画像を表示する技術、2)磁性体を持ち込むことのできないMRI装置内での穿刺を誘導する技術を、放射線治療における誘導技術として、3)種々治療画像の統合によるAdaptive Radiation Therapyの技術、4)ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のためのPET-CT画像による画像支援技術を採り上げ、その開発を行った。また、新しい局所治療技術については、1)経皮的凍結療法、2)集束超音波療法、3)Irriversible Electroporation (IRE)、4)BNCTを採り上げ、その安全性と有効性を評価するための臨床試験計画を立案した。倫理面については、ヘルシンキ宣言、臨床試験倫理指針を遵守し、くわえて、被験者の個人情報保護対策を万全として臨んだ。
結果と考察
(画像誘導技術)
1)CTやMRIで得たvolumeデータと患者体表の位置情報より体表面からの任意方向の画像を表示する技術
は、すでに一部が臨床応用されていることから、その技術を「標的部位の動きの有無」と「仮想穿刺ラインを確認するための確認画像」の観点から再検討した。本年度は、細径穿刺針が標的をそれたとしても臨床的には問題とはならない点に着目し、先行穿刺針を新たな座標軸としてvolumeデータを有効に活用するという発想の転換に至り、これに基づく穿刺誘導装置の開発を行なった。この工学的正確を重視した考え方からの脱却は、医工連携の開発における発想の転換として大きな意義をもつものと思われる。2)磁性体を持ち込むことのできないMRI装置内での穿刺を誘導する技術は、MRI画像が影響を受けない距離からのレーザービームの照射により穿刺ラインを示す技術を開発し、プロトタイプ装置についての評価を行なった。本結果は、MRIガイド下IVRの発展に大きく影響するものと考えられる。3)種々治療画像の統合によるAdaptive Radiation Therapy(ART)の技術は、前年度までに完成した放射線治療装置に付属のCBCTから直接線量分布を表示可能とするCT値−電子密度変換テーブルについて、その評価、改良を行なった。本研究成果はARTの進歩に大きく寄与すると考えられる。4)ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のためのPET-CT画像による画像支援技術として、世界初の病院設置型BNCT開始のための基礎的検討を終了した。
(局所治療技術)
1)腹部・骨盤内実質臓器に対する経皮的凍結治療の第I/II相試験、2)有痛性骨軟部・骨盤内腫瘍に対する経皮的凍結治療の第I/II相試験、3)有痛性後腹膜・骨盤内腫瘍に対する集束超音波治療の第I/II相試験、4)腹部実質臓器に対するIrreversible Electroporation (IRE)治療の第I/II相試験、5)骨軟部腫瘍に対するIrreversible Electroporation (IRE)治療の第I/II相試験の研究計画書を作成し、先進医療Bとして施行するための諸手続きを行なった。これらの治療技術についての前向き臨床試験による評価は世界的になく、本研究の科学的意義は極めて大きいと考えられる。
1)CTやMRIで得たvolumeデータと患者体表の位置情報より体表面からの任意方向の画像を表示する技術
は、すでに一部が臨床応用されていることから、その技術を「標的部位の動きの有無」と「仮想穿刺ラインを確認するための確認画像」の観点から再検討した。本年度は、細径穿刺針が標的をそれたとしても臨床的には問題とはならない点に着目し、先行穿刺針を新たな座標軸としてvolumeデータを有効に活用するという発想の転換に至り、これに基づく穿刺誘導装置の開発を行なった。この工学的正確を重視した考え方からの脱却は、医工連携の開発における発想の転換として大きな意義をもつものと思われる。2)磁性体を持ち込むことのできないMRI装置内での穿刺を誘導する技術は、MRI画像が影響を受けない距離からのレーザービームの照射により穿刺ラインを示す技術を開発し、プロトタイプ装置についての評価を行なった。本結果は、MRIガイド下IVRの発展に大きく影響するものと考えられる。3)種々治療画像の統合によるAdaptive Radiation Therapy(ART)の技術は、前年度までに完成した放射線治療装置に付属のCBCTから直接線量分布を表示可能とするCT値−電子密度変換テーブルについて、その評価、改良を行なった。本研究成果はARTの進歩に大きく寄与すると考えられる。4)ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のためのPET-CT画像による画像支援技術として、世界初の病院設置型BNCT開始のための基礎的検討を終了した。
(局所治療技術)
1)腹部・骨盤内実質臓器に対する経皮的凍結治療の第I/II相試験、2)有痛性骨軟部・骨盤内腫瘍に対する経皮的凍結治療の第I/II相試験、3)有痛性後腹膜・骨盤内腫瘍に対する集束超音波治療の第I/II相試験、4)腹部実質臓器に対するIrreversible Electroporation (IRE)治療の第I/II相試験、5)骨軟部腫瘍に対するIrreversible Electroporation (IRE)治療の第I/II相試験の研究計画書を作成し、先進医療Bとして施行するための諸手続きを行なった。これらの治療技術についての前向き臨床試験による評価は世界的になく、本研究の科学的意義は極めて大きいと考えられる。
結論
外科的治療に匹敵する非侵襲的局所治療を行うための高度医療技術として、「局所療法を正確に誘導する高度
画像技術」と「確実な治療効果を挙げ得る高度局所療法」について多くの実用可能な技術を開発した。今後、更に評価し、改良を加える必要があるが、これらの結果は非侵襲的治療の発展に大きく寄与するものと思われる。
画像技術」と「確実な治療効果を挙げ得る高度局所療法」について多くの実用可能な技術を開発した。今後、更に評価し、改良を加える必要があるが、これらの結果は非侵襲的治療の発展に大きく寄与するものと思われる。
公開日・更新日
公開日
2013-09-01
更新日
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