複数の作用メカニズムを同時に発現する革新的抗がん剤の開発

文献情報

文献番号
201209003A
報告書区分
総括
研究課題名
複数の作用メカニズムを同時に発現する革新的抗がん剤の開発
課題番号
H23-政策探索-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
椎名 勇(東京理科大学 理学部第一部応用化学科)
研究分担者(所属機関)
  • 中田 健也(島根大学 総合理工学部物質科学科)
  • 池北 雅彦(東京理科大学 理工学部応用生物科学科)
  • 吉見 陽児(東京理科大学 理工学部応用生物科学科)
  • 森田 明典(広島大学 原爆放射線医科学研究所)
  • 長原 礼宗(東京電機大学 理工学部理工学科)
  • 旦 慎吾(がん研究会 がん化学療法センター分子薬理部)
  • 水上 民夫(長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部バイオサイエンス学科)
  • 長谷川 慎(長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部バイオサイエンス学科)
  • 深澤 秀輔(国立感染症研究所 生物活性物質部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬探索研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本事業においては、東京理科大学椎名研究室が保有する高度な有機合成技術を活用して様々な「リダイフェン」類を供給し、これらの構造薬理活性相関の調査を通じて新薬のリード化合物を探索する。さらに、薬理活性を発現した新規人工抗がん剤のビオチン化を順次行ない分子プローブを作製する。高活性な「リダイフェン」類の結合タンパク質を同定することで生体内での隠された作用メカニズムを解明し、新分野の創出につながる画期的な分子標的治療薬を開発する。
研究方法
平成24年度は「リダイフェンB」の新しい類縁体である完全対称型リダイフェン類(「リダイフェンHB(RID-HB)」シリーズ)(第三世代リダイフェン)の調製に取り組み、これを実現する。また、入手した化合物の浮遊性がん細胞株を用いた抗腫瘍活性試験、39系統固形がん細胞を用いた抗腫瘍活性試験、エストロゲン非保有白血病細胞を用いた抗腫瘍活性試験、アクチン構造変性作用試験、オートファジー活性試験、プロテアソーム阻害活性試験、抗C型肝炎ウイルス活性試験、抗がん剤候補化合物の細胞内標的分子の探索を並列して実施する。
結果と考察
芳香族アルデヒド、アリル型求核剤および芳香族求核剤を組み合わせ用いる3成分連結反応、あるいは芳香族化合物と炭素求核剤の2成分カップリングを用いることで「リダイフェンB」の新しい類縁体である完全対称型リダイフェン類(「リダイフェンHB(RID-HB)」シリーズ)の調製に成功し、これらの大量合成法を確立した。また、入手した化合物の抗腫瘍活性試験を実施したところ、これまで最も活性の高かったリダイフェンBを越える作用を示す分子を発見することができた。さらに、リダイフェンBが結合するタンパク質がGIGYF2(GYFプロテイン2に作用するGrb10タンパク質)であることを明らかとし、アミノ酸配列の745-1030残基部分との間で複合体が形成される現象を発見した。
結論
新規3成分連結反応、あるいは2成分カップリングによって「リダイフェンB」の新しい類縁体である完全対称型リダイフェン類(「リダイフェンHB(RID-HB)」シリーズ)の調製に成功し、これらを大量に供給する手段を確立するとともに、入手した化合物の機能解析を通じて従来最も活性の高かったリダイフェンBを越える作用を示す分子を発見した。この研究成果については平成24年5月1日の時点で特許申請した。さらに本年度はリダイフェンBそのものの作用メカニズムの解明にも成功し、その内容を論文発表すると共に平成24年10月16日には米国特許仮出願に申請した。

公開日・更新日

公開日
2013-09-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201209003Z