文献情報
文献番号
201208011A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方薬の作用機序を解明するための研究
課題番号
H22-創薬総合-一般-011
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 洋史(東京大学 医学部附属病院・薬剤部)
研究分担者(所属機関)
- 高田 龍平(東京大学 医学部附属病院・薬剤部)
- 四ノ宮 成祥(防衛医科大学校 分子生体制御学講座)
- 松尾 洋孝(防衛医科大学校 分子生体制御学講座)
- 牧野 利明(名古屋市立大学 大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬総合推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、漢方をはじめとする代替・補完医療が欧米でも注目されており、メタボリック症候群や高尿酸血症を含むさまざまな病態において効果があることが認知されている。その一方で、治療の際には漢方医学的な専門知識が必要であり、すべての医師が自由に使いこなせるものではないのが現状である。さらには、漢方薬の作用機序についての分子レベルでのエビデンスの解明が十分ではなかったことも、西洋医学を専門とする一般臨床医に活用される機会が限られている原因の一つと考えられる。しかしながら、漢方薬が有効性を持つことは事実であり、有効成分および作用機序が解明されれば、一般臨床医にも活用可能な効果的な治療薬となりうるとともに、新規治療薬の開発につながることが期待される。このような背景のもと、本研究は、研究代表者らが同定した尿酸輸送体を含む輸送体の分子機能を指標に、輸送体を標的とする漢方薬・生薬とその成分を同定すること、ひいてはその作用機序を解明することにより、将来的に創薬に繋がる成果を得ることを目的として企画された。
研究方法
研究開始三年度目にあたる平成24年度は、平成23年度に引き続き、URAT1阻害活性やABCG2転写活性化能を持つ生薬のスクリーニングを進め、これらの作用をもたらす化合物の同定や作用機序の解明を目指した研究を行った。
結果と考察
100種以上の生薬から抽出したエキスを用い、URAT1の尿酸輸送活性におよぼす影響について検討した。細胞毒性試験の結果により除外されたものを除き、数種の生薬エキスがURAT1阻害活性を有することを見出したため、そのうちの1種であるジャショウシについて詳細な検討を行った。その結果、ヘキサン画分に含まれ、濃度依存的なURAT1阻害作用を有する単一化合物(osthol)の同定に成功し、輸送特性や構造活性相関に関する詳細な検討も加えた。ABCG2の発現調節活性についても同様の検討を行い、数種の生薬エキスがABCG2の転写活性化をもたらすことが示された。そのうちの1種については、主にヘキサン画分に含まれる活性成分としてevodiamineを同定することができた。
結論
URAT1による尿酸輸送に対する阻害活性およびABCG2の発現調節活性を指標にスクリーニングを行った結果、それぞれ複数の生薬を見出すことに成功し、活性成分としてostholやevodiamineを同定することができた。
公開日・更新日
公開日
2013-08-13
更新日
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