文献情報
文献番号
201206012A
報告書区分
総括
研究課題名
重症心不全に対する骨格筋筋芽細胞シート移植による心筋再生治療の実用化研究
課題番号
H24-再生-一般-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
澤 芳樹(大阪大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 宮川 繁(大阪大学 医学系研究科)
- 齋藤 充弘(大阪大学 医学部附属病院)
- 早川 堯夫(近畿大学 薬学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
難治性の拡張型心筋症の治療において、これまでの補助人工心臓より心臓移植への橋渡し治療のみでは、限界があるのが現状である。この限界を克服するために、本研究では、筋芽細胞シートの臨床応用の継続を行い、最終的には、その効果の検討と、保険医療化を目指している。
本年度は、拡張型心筋症に対する新規治療の開発のため、筋芽細胞シートの臨床応用を中心に研究を行った。また、ヒト重症心不全に対する筋芽細胞シート治療の可能性、安全性を解析する評価方法の確立を行うとともに、高度医療の申請を行う。また、GMP 対応の細胞培養システムの最適化を行う。
本年度は、拡張型心筋症に対する新規治療の開発のため、筋芽細胞シートの臨床応用を中心に研究を行った。また、ヒト重症心不全に対する筋芽細胞シート治療の可能性、安全性を解析する評価方法の確立を行うとともに、高度医療の申請を行う。また、GMP 対応の細胞培養システムの最適化を行う。
研究方法
1.拡張型心筋症患者に対する筋芽細胞シート移植
当院にて左室補助人工心臓を装着した拡張型心筋症患者に対して、骨格筋採取を行い、当院未来医療センターのCell processing centerにて、GMP基準を満たす筋芽細胞を単離し、温度応答性培養皿を用いて、筋芽細胞シートを作成する。新規植え込み型定常流人工心臓を装着し、筋芽細胞シート移植を行い、細胞シートによる人工心臓よりの"Bridge to Recovery"を目指す。また、人工心臓を装着していない拡張型心筋症患者に対する筋芽細胞シート移植を行う。
2.筋芽細胞シート移植治療の可能性、安全性を適切に評価できるようなシステムの開発
3.細胞培養施設(CPC)で製造される細胞製剤の薬事対応を担保するCPC図書作成に必要な施設・製造・品質保証要件を検討する。
当院にて左室補助人工心臓を装着した拡張型心筋症患者に対して、骨格筋採取を行い、当院未来医療センターのCell processing centerにて、GMP基準を満たす筋芽細胞を単離し、温度応答性培養皿を用いて、筋芽細胞シートを作成する。新規植え込み型定常流人工心臓を装着し、筋芽細胞シート移植を行い、細胞シートによる人工心臓よりの"Bridge to Recovery"を目指す。また、人工心臓を装着していない拡張型心筋症患者に対する筋芽細胞シート移植を行う。
2.筋芽細胞シート移植治療の可能性、安全性を適切に評価できるようなシステムの開発
3.細胞培養施設(CPC)で製造される細胞製剤の薬事対応を担保するCPC図書作成に必要な施設・製造・品質保証要件を検討する。
結果と考察
1.心筋症患者に対する筋芽細胞シート移植は
すでにヒト幹細胞臨床研究指針に適合した臨床研究で、安全性を主要評価項目として実施している、重症拡張型心筋症及び虚血性心筋症の患者に対する骨格筋芽細胞シート移植臨床研究において、症例数15例を完遂し、テルモ社治験において3例施行した。平成24年度においては、拡張型心筋症3例、虚血性心筋症患者2例に対して筋芽細胞シート移植を行い、テルモ社治験においては、3例施行した。全ての症例で手術は完遂し、筋芽細胞シートに関連した有害事象は認めていない。
これまでの、一部の筋芽細胞シート移植患者において左室のリバースレモデリングが認められており、症状、運動耐用能の改善を認めている。また、筋芽細胞シート移植を行った患者の術前のデータを参考に、"The Seattle Heart Failure Model"を用いて、予測生命予後を算出し、実際の生命予後と比較した。筋芽細胞シート移植を受けた患者は、予測生命予後と比較して、良好である可能性があり、今後のデータの蓄積により、さらに精度を増した解析が可能であると思われる。
2.筋芽細胞シート移植治療の可能性、安全性を適切に評価できるようなシステムの開発
臨床研究を行い、様々な心不全に関するパラメーターを集積することができた。最終的に、筋芽細胞シート移植の効果に関するエンドポイントは生命予後の延長であると考えているが、生命予後の解析には時間を要するため、生命予後と相関するパラメーターを検索する必要がある。
3.細胞培養施設(CPC)で製造される細胞製剤の薬事対応を担保するCPC図書作成に必要な施設・製造・品質保証要件の検討。
GMPではハードウエアとソフトウエアの両立が必要で、ハードとしての施設・設備・機器と、ソフトとしての文書・製造・試験方法・清掃・組織・教育訓練を両輪として初めて成り立つ品質保証システムを確立することができた。
4.心筋症に対する筋芽細胞シートの高度医療評価制度への申請
これまでの人工心臓を装着した拡張型心筋症患者に対する筋芽細胞シート移植4例の総括報告書を作成し、高度医療評価制度として、ヒト幹細胞委員会に申請した。現在スタディーデザインに関する議論を行っており、近日中には承認される予定である。
すでにヒト幹細胞臨床研究指針に適合した臨床研究で、安全性を主要評価項目として実施している、重症拡張型心筋症及び虚血性心筋症の患者に対する骨格筋芽細胞シート移植臨床研究において、症例数15例を完遂し、テルモ社治験において3例施行した。平成24年度においては、拡張型心筋症3例、虚血性心筋症患者2例に対して筋芽細胞シート移植を行い、テルモ社治験においては、3例施行した。全ての症例で手術は完遂し、筋芽細胞シートに関連した有害事象は認めていない。
これまでの、一部の筋芽細胞シート移植患者において左室のリバースレモデリングが認められており、症状、運動耐用能の改善を認めている。また、筋芽細胞シート移植を行った患者の術前のデータを参考に、"The Seattle Heart Failure Model"を用いて、予測生命予後を算出し、実際の生命予後と比較した。筋芽細胞シート移植を受けた患者は、予測生命予後と比較して、良好である可能性があり、今後のデータの蓄積により、さらに精度を増した解析が可能であると思われる。
2.筋芽細胞シート移植治療の可能性、安全性を適切に評価できるようなシステムの開発
臨床研究を行い、様々な心不全に関するパラメーターを集積することができた。最終的に、筋芽細胞シート移植の効果に関するエンドポイントは生命予後の延長であると考えているが、生命予後の解析には時間を要するため、生命予後と相関するパラメーターを検索する必要がある。
3.細胞培養施設(CPC)で製造される細胞製剤の薬事対応を担保するCPC図書作成に必要な施設・製造・品質保証要件の検討。
GMPではハードウエアとソフトウエアの両立が必要で、ハードとしての施設・設備・機器と、ソフトとしての文書・製造・試験方法・清掃・組織・教育訓練を両輪として初めて成り立つ品質保証システムを確立することができた。
4.心筋症に対する筋芽細胞シートの高度医療評価制度への申請
これまでの人工心臓を装着した拡張型心筋症患者に対する筋芽細胞シート移植4例の総括報告書を作成し、高度医療評価制度として、ヒト幹細胞委員会に申請した。現在スタディーデザインに関する議論を行っており、近日中には承認される予定である。
結論
本研究にて、筋芽細胞シート移植術の安全性を確認することができ、また、有効性の可能性を探索することが可能であった。
公開日・更新日
公開日
2013-09-02
更新日
-