食品に対する放射線照射による殺菌手法及び効果判定手法の開発並びに安全性に関する研究

文献情報

文献番号
201205031A
報告書区分
総括
研究課題名
食品に対する放射線照射による殺菌手法及び効果判定手法の開発並びに安全性に関する研究
課題番号
H24-特別・指定-011
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
五十君 静信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 等々力 節子((独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
11,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、我が国では食品衛生法において「食品を製造し、又は加工する場合は、食品に放射線を照射してはならない。」とされており、食品に対する放射線照射による処理は原則認められていない。このような中、牛肝臓の内部が腸管出血性大腸菌により汚染される可能性があるとともに、それらを確実に除去する手法が見いだせないことから、牛肝臓の生食の安全性を確保する知見が得られるまでの間、生食用としての牛肝臓の提供が禁止されることになったところである。
この規制については、食肉業者等から多くの反対の意見があることや経済的影響が大きいことから、牛肝臓の生食の安全性を確保する知見を早急に得、牛肝臓の生食の禁止解除が求められている。このため、現在のところ、肝臓内部の菌を殺菌する方法としては、諸外国でも利用されている放射線照射方法が、有効性等の観点から最も有望であり現実的な方法と考えられることから、本研究においては、食品に対する放射線照射の活用を検討する一環として、牛肝臓を対象食品に殺菌手法や効果判定手法の開発、安全性に関する検証を行う。
研究方法
以下の手順で、牛肝臓に対する放射線照射による殺菌効果の有効性、安全性を検証を行った。
①モデル食品の作成
②対象食品における対象菌種の浸透に関する検討
③効果判定手法の検討(採取部位、菌検出手法等)
④照射線量及び照射形態(生と冷凍の比較、包装形態等)の検討
⑤対象食品における照射後に生成する副産物及びその安全性に関する検討
⑥放射線照射による殺菌等の手法の対象となる食品の検討
結果と考察
牛肝臓での腸管出血性大腸菌の浸透に関する知見を得た。モデル食品作成、殺菌効果判定法の検討を行った。その方法に基づいて、牛肝臓中での腸管出血性大腸菌のγ線照射による殺菌効果について検討を行い、殺菌に必要とされる線量と牛肝臓部位差のデータを取得した。冷蔵・冷凍および包装条件下での殺菌効果を比較した。従来の報告で示された牛挽肉殺菌試験結果よりやや高めの線量が必要であった。凍結5kGy 照射では、チアミンの微少な減少を除き非照射試料との差は認められなかった。殺菌効果を含めて考慮した場合、上記条件下での照射は品質評価と共に慎重に検討すべきである。
結論
牛肝臓における菌の浸透に関する知見、殺菌効果の評価法の確立し、γ線照射による殺菌効果並びに照射による影響に関する実証的な知見を得ることが出来た。

公開日・更新日

公開日
2015-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201205031C

収支報告書

文献番号
201205031Z